第29話 歩道橋の妖2
翌日の夜、沙衣と美湖は、運転手に頼んで浜田町1丁目の歩道橋の上に水が入った18リットル入りポリタンク2個を運んでもらう。
沙衣は他に水の入った2リットル入りペットボトルを3本持ってきている。
2人はポリタンクとペットボトルの蓋を開けて、陣を張り待つ。
日付が変わり、午前2時頃霧が出てくる。
2人はポリタンクの水を歩道橋の上に流し始める。
水は沙衣にコントロールされ歩道橋の上に水たまりとなる。
霧が濃くなり、複数の足音が聞こえてくる。
一つ目の赤鬼が3匹歩いてくる、そして水たまりの上に3匹が来ると沙衣は右足でとんと地面を踏む。
すると水たまりから水のとげが3本飛び出て赤鬼を串刺しにする。
3匹の赤鬼は突然のことに
「ぎやああぁ」
と叫び声を上げる。
美湖が手をかざし陽の光を先頭の鬼の目に当て目くらましをする。
沙衣が水の刀を作り、陣を出て、先頭の鬼の首をはねる。
さらに、美湖は2番目の鬼の目くらましをする。
沙衣は2番目の鬼の首をはねる。
美湖は最後の鬼の目くらましをする。
沙衣は3匹目の鬼の首をはねる。
沙衣は仕事を終えると陣の中に戻る。
美湖が聞く
「どうしたの。」
「この霧変だから、陣の中に戻ったのよ。」
沙衣が答える。
しばらくすると霧が晴れてくる。
歩道橋の上には鬼の死体がなくなっている。
沙衣は美湖に言う
「陣の中にいなかったら、一緒に消えていたりして。」
「そうかもしれないわね。」
美湖は青くなりながら答える。
翌日、沙衣と美湖は浜田稲荷へ行く。
すると稲荷の使いの美女が現れる
「2人ともよくやってくれた、礼を言うぞ。」
「霧の中にいたらどうなっていたのですか。」
美湖が使いに聞く
「彼らの世界に行ってしまったかもしれぬ。」
「そういうことは教えておいてください。」
使いの答えに美湖は怒りながら言う。




