第25話 玉野ハウス2
玉野ハウスは山の中の県道に面しており、付近には別荘地がある。
沙衣と美湖は、テレビ局が用意した制服を着て、仮面をつける。
テレビ局の車が着いた時には夕方である。
沙衣は懐中電灯を持ちながらアシスタントに言う
「どうして夜に取材するんですか。」
「夜の方が怖いという雰囲気が出るからね。」
美湖はどっちでもよかった。
沙衣と美湖が玄関から中に入り、カメラマンが続く。
沙衣が美湖に言う
「いるよ。」
「気配があるの。」
「うん。」
カメラマンは緊張する。
廊下を進んで右手の引き戸を開けると広間になっている。
「ここにはいないね。」
美湖が言うと沙衣が
「おかしいな、気配がするんだけど。」
と振り向くとカメラマンの後ろに男の霊が立っている。
沙衣はカメラマンに
「後ろ。」
と言う。
カメラマンがカメラごと振り返るが、カメラマンには見えない。
沙衣はてをかざして陽の光で霊を消し去る。
2人は広間を出ると浴場の前に来る。
沙衣は、ミネラルウォーターのペットボトルを取り出し蓋を開ける。
美湖が引き戸を開け中に入ると女の霊が睨んでいる。
沙衣はペットボトルの水を出すと水の刃を作り、霊に切りつける。
女の霊は水の刃と共に霧散する。
沙衣がカメラに向かって言う
「今、風呂場の女の霊は除霊しました。」
2人は2階に上がり、カメラマンも後に続く。
沙衣はまっすく奥から2番目の部屋へ行く。
彼女は扉を開ける。
美湖は部屋の中央に黒い靄を纏った霊を見る
「これ悪霊よ。」
「そうね、こいつで最後よ。」
沙衣は答えるとペットボトルの水で、水の刀を作る。
美湖が手をかざして悪霊に陽の光を当てる。
悪霊は怯み、隙ができる。
沙衣は、悪霊に迫り、上段から切りつける。
しかし悪霊はかわし、黒い靄を沙衣の首に巻き付け締め上げる。
沙衣は耐えながら、刀で悪霊の首をはねる。
悪霊は霧散し沙衣は解放される。
2人はカメラに向かって
「悪霊に勝ちましたー」
と手を振る。
3人は玉野ハウスから出てくる。
沙衣と美湖はアシスタントに言う
「除霊したりした後に、いちいちポーズ取るの嫌なんですけど。」
「ディレクターの指示ですから。」
「何か私たちバカみたいよ。」
「ディレクターに伝えときます。」
アシスタントは攻撃から逃れようとする。
しかし、玉野ハウスの除霊が放送されると視聴者の評判は良かったため、2人は除霊するたびにポーズをとることになる。




