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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ガジャラモジャ

がたん

そんな落ちがして電車が止まり

私は外に降りた

ウウィンと音を立てて閉まる電車

私ひとり雪が降り積もる駅に残して

さらに雪深い奥へと行ってしまう

広い駐車場には

まばらに軽トラとボックスが並び

私はその無人の車体を通り過ぎると歩き出す

外は異様に寒く

雪が降る程度に暖かいが

マイナス以上に暖かくはない

私の息が白い時点で

そこまで澄んだ空気ではないが

夏であれば一面 田である だだっ広い

場所に通る道を歩く

歩道は小型除雪機が明け方に通ったのだろう

うっすらと積もる雪を引きずりながら

目がまぶしい夕暮れ前の道を進む

近くの建物からは

スチームエンジンのように

建物からもうもうと煙が出ており

おがくずと菌の臭いが醸し湧き出す

きのこの家が

道沿いに並ぶ

私はその煙を突っ切り信号で待ちぼうけた


空は雲が覆い隠し

切り裂いたような切れ間には

血のように滲む青が漏れ出し空の健全さをたたえている

私は赤い信号から目をそらし

その青をにらむように目をこらし見ていた

そこで何か点のようなものを見た

始め星か何かかとも考えたが

それは明らかに大きさを増し

一ミリ角を秒速で増やし

その面積を胡麻からBB弾ほどに大きくしている

色はくすんだ白

つまりは灰色であったが

その時点で

音を聞いた

それは空気銃にしては大きく

りんご園に響くようなものではなく

何か壊れかけの途端を何万枚も合わせた建物が

嵐に遭って悲鳴を上げているような

そんな悲鳴にもにた声が聞こえたときにはそれは明らかに絶叫に変わり

その白い粒はペットボトルのキャップ大まで

肉眼で見える大きさを増して

私の眼前に捉えさせていた


それが地上に衝突したとき

山に囲まれた広大な盆地は

一瞬にして巻き上がり

田んぼという田んぼは跳ね上がり

白い山々を黒く変色させた

その奇っ怪なガラクタのカテドラルのようなものが衝突したとき

私は長方形にもにた城を前に

ただただ呆けたように

その衝突の衝撃に

ビリビリと阿呆のごとく気を失った

それは始まりでもあり

寒い寒い雪を全て赤く染めるほどの

死の前触れでもあった


自衛隊の九十%が消滅するさなか

お寺の鐘が除夜の音をゴーンと響かせた

日本のみならず誰も紅白をみず

ただ関心事は

自衛隊の続々と流れる死と

それに対する作戦への関心のみであった

かくして春になりその終焉を迎えるまで

春風は遅く

ただ骸と雪が解け流れる赤い川の上を通り過ぎたのはゴールデンウィーク前夜のことである



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