全人類幸せ計画
平穏な一日。鳥がさえずり、虫が鳴く。そんな日に私はテレビをつけた。つまらないが暇潰しには丁度良い。しかし、急に画面は乱れる。砂嵐の後、ある男が映った。
---やあ、人生に疲れたそこの君。私はそんな疲れた君たちに幸福の手を差し伸べにきた。是非ここに来てほしい---
しばらく謎の住所が映し出される。その日から、その瞬間から全てが狂ってしまった。この謎の放送は数時間も経たない内にニュースとなった。そして一日も経たない内に警察と、人生に疲れた者共がそこへ向かった。そして何時まで待っても彼らは帰ってこなかった。
そこからはもう、負の連鎖でしかなかった。そこに行ってしまった人々の家族、他の警察、自衛隊までもがそこに行ったきり…。そして今に至るのだ。そんな状況で私は、何もしなかった。
「薄情者。」
そう自分が言う。否定は出来ない。ただ、怖いという感情が最初に来てしまう。最初こそ誰かのいたずらだと思った。そう思いたかった。でもこれは違う、いたずらなんかではない。これはテロだ。
あの放送から一ヶ月。昨日、家族が行った。唯一の家族である私の父がだ。それでも私は怒りではなく恐怖だった。またテレビをつける。ニュースは勿論その話だ。内容は、聞くに耐えない物だが。
---とうとう海外にも進出。海外の政府の対処とは---
あいつは、この国だけではなく、世界も視野に入れていた。ネットではこう言われている。
『全人類幸せ計画』と
一年後、世界問題となってしまったこのテロは、被害を進め、テレビも何も言わなくなった。とうとうこの世も終わる。私は首吊りのロープを用意した。その時、消していたはずのテレビが砂嵐となる。
---そろそろ、疲れて来ませんか?---
私は首吊りをやめ、その言葉にひかれるように書かれていた住所へと向かった。
そこには巨大な施設がそびえていた。怯むことなく、惑うこともなくそこに入る。中は暗かったが、男が明かりをつける。あの男だ。
「…君が、最後だ」
通りで。テレビも、ネットも騒いでない訳だ
「…至って簡単な事なのだよ。私は遂に夢を叶えた。私だけじゃない、全人類のだ。」
もう何も言うことはなかった。今更人の夢などどうでも良い。
「…まず、全人類の夢。幸せになることだ。そして私の夢。限りなく人に近いロボットを作ることだ。…それが今叶わんとしている。」
………
「さあ、君の脳を使わせてくれ。」
平穏な一日。鳥がさえずり、虫は鳴く。自然そのものがそこにあった。辺りは静か。誰も何もしなくて良い。皆幸せになると信じてるから。
---大変長らくお待たせ致しました。皆様、手を伸ばしてください。---
自然と手は伸びる。
---うんうん、成功の様です。では皆さん、支配な一時をお楽しみ下さい---
ぐったりと、力が抜けていく。意識も、記憶も、歴史も消えていく。…しかし
「嗚呼、幸せだ…」
--shut down--