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41.聖地②

 聖地ユートピアの中央には周囲のよくある街並みとは打って変わり、荘厳な建物がそびえたっていた。白い大理石の聖殿はこの大陸の聖職者の元締めであり、『教皇府』と呼ばれている場所である。

 ライナ・ライトから受け取った紹介状を入口の警備兵に手渡すと、教皇府の奥にある一室へと通された。


「よくぞお越しくださいました。魔女マーリン様。それとも、マリアンヌ・カーティス様とお呼びしたほうがよろしいでしょうか?」


 椅子から立ち上がって出迎えてくれたのは12、3歳ほどの少女であった。真っ白な僧服に身を包んだ少女はレイフェルトとメアリーの結婚式の進行をしていた大司祭ライナ・ライトである。

 結婚式のときはずいぶんと険しい顔をしていた少女であったが、今日は友好的で柔らかな微笑みを浮かべている。

 当たり前のように自分の本名を言ってくる少女に、マーリンはわずかに顔をしかめる。


「マーリンで結構ですよ。今の私は他に名乗る名前を持っていませんから」


「これは失礼をいたしました、マーリン様。私は若輩ながら司祭を務めさせていただいております、ライナ・ライトと申します」


 ライナが丁寧に頭を下げて謝罪をしてくる。

 大陸の頂点に立つ聖職者であるはずのライナであったが、思いのほかに腰が低いようであった。


「それと・・・そちらの悪魔様もはじめましてでよかったですよね?」


「・・・ああ」


 ライナの瞳はマーリンの背後で姿を消しているフュルフールを正確に見据えていた。隠れている意味もないと、マーリンの契約悪魔が姿を現わした。


「はじめまして。そちらは久しぶりだな」


「うむ、雷の上位悪魔フュルフール。まさかお前が契約を交わしていたとはな」


 ライナの背後に白い羽を広げた天使の姿が現れた。

 突然、出現した荘厳で神秘的な立ち姿にマーリンは目を見開いた。


「天使・・・!?」


「こちらは私の契約天使です。以後、お見知りおきください」


「アラムエルという。一応は君の契約悪魔と見知った仲だが、力はだいぶ格下だな」


 天使はやや不服そうに顔をしかめながらも、自分の力不足を素直に認める。


「私に彼ほどの力があったのであれば、君達をここに招聘することもなかったのだがな」


「それはどういう意味でしょうか? 私は護衛依頼としてライト様に呼ばれたはずですが?」


「ええ、それで間違いありませんよ。マーリン様とは以前から話をしてみたいと思っていましたから」


 ライナは口元にわずかに笑みを浮かべて、手の平でソファを示した。


「立ち話もなんですので、とりあえずは座りませんか? ちょうど美味しい紅茶が手に入ったのでお淹れしますね?」


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