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天を掴む手と地を探る手  作者: 結城 哲二
番外編
449/457

2

「バーンシュルツ公爵子息、レイウッド様が来られました」


「ー入りなさい」


「はっ!」


 短なやりとりを聞きながら、中に入ったレイウッドは騎士礼の形を取って頭を垂れた。


「多忙の中、謁見の機会を下さり、誠に感謝しております。女王陛下におかれましてはー」


「ふふーん。堅苦しいのは大丈夫だよ。レイウッドは親友達の子だしねぇ。まあ、色々大変だろうから、許可関連は全然問題ないけど・・・そのエルフレッドの御両親はー」


「・・・祖母は父が弱っていく姿に耐えられず、心労から急遽。その後を追うようにして祖父も亡くなりました。元々、魔力の少ない方々でしたから50でも長く生きた方かと」


 元々、平民であり特別、魔力が高かった訳でも無い2人は皆よりも寿命が短かった。それでも、何もなければもう十年は生きただろう。


 エルフレッドの身体に変調が起きてから2人は、あらゆる方法で彼を助けようとした。当然、世界を助けた英雄を救う為、多くの人々が協力し、考えうる数多の方法を試した。


 しかし、エルフレッドが回復することはなかった。魔力がなくなり、急激に衰えていく我が子に胸を痛め、救う方法が見つからぬことに嘆き、遂には心を病んでしまい、亡くなかった。


 その後、エルフレッドに代わり領主代行を勤める長男のリベリウスを支え、指導していた祖父エヴァンスもその役割が一段落ついた頃に静かに息を引き取ったのだった。


「そう・・・お二人共、やり方は違えどエルフレッドの事、本当に大切にしてたから・・・辛かっただろうなぁ。エルフレッドは相変わらず、だよね?」


「父の状況は相変わらずー、いえ、悪くなる一方です。こうして、私がライジングサンを訪れたのも父の病を治す糸口を探すため、アルドゼイレン様に手伝って貰っているのです」


 溜め息と共に深々と腰を沈めながら、ライジングサンの女王となったルーミャは天を見上げた。


「そっかぁ・・・お母様が天に還ってなければ全て解決してたかもしれないのにぃ・・・こう、運命ってなんなんだろうねぇ・・・」








 それはエルフレッドがルシフェルを倒し、5年の歳月が流れた頃の話である。


 シラユキのような万物を操る能力こそ取得出来なかったルーミャだったが、次代として立派に王政を熟せるようになった頃、唐突にシラユキに呼び出された。


 そこには王配としてシラユキを支えていたコガラシの姿もある。しかし、何故呼び出されたかは自身同様、全く解っていないようだった。


「唐突に呼び出してすまなんだ。しかし、大事な話故、聞き漏らすことのないよう心掛けよ」


 静かな口調ながら彼女の放つ並々ならぬオーラに2人は息を飲み、全ての意識をシラユキへと集中させる。


「何から話そうかのぅ。五年前に妾に起きた出来事からか、はたまた、目覚めたきっかけか・・・まあよい。端的に言おう」


 シラユキは気怠そうながら、何故だか誰も近づけないようなオーラを放ったまま告げた。












「妾は真にアマテラスじゃった。故に天に戻り、神としての役割を果たさねばならん」

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