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天を掴む手と地を探る手  作者: 結城 哲二
終章 偽りの巨龍 編(下)
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「・・・さて、神の力の見せ所じゃのう」





 張り詰めた空気の病室に静かな声が響いた。


「かつて、神の器と呼ばれた者達は雨を降らせた。そして、感謝と言う名の信仰によって力を得た。それが神と人々の関係だったのじゃ」


 厳かに響き渡るその声は小さな少女にも見える女王ーシラユキから放たれたものだった。


 何故、ここに居るのか?


 この状況が解ったのか?


 あらゆることが不明だが、しかし、それは確かな希望である。


「・・・はてさて、全く。ユーネ=マリア。これはお前の案件じゃろうて。これは還ったら借りを返して貰わんとのぅ」


 誰にも解らぬように小さく呟いて彼女は溜め息を吐く。そして、皆が驚きの表情で固まる中、エルフレッドに視線をくれた。


「神の力は信仰の力。エルフレッド。お主は多くの人々を救ってきた。故に信仰を得ておる。大きな力が宿っておるー空を見るが良い」


 言われるがままに窓の外を見るエルフレッド。その空には虹が2つ重なっていた。


「強く祈り、手を取るが良い。ー既に願いは届いておる」


 シラユキはそう言うと何かをする訳でもなく消えていった。皆が啞然とする中でエルフレッドは拳を握る。


 そうすると微かに戻るはずのない力の蠢きを感じた。そして、それは確かな希望であった。


「リュシカー」


 強く祈り、言われた通りに手を取った。


 暖かな力の奔流と絡み合う力ー。


 その流れが止まった時、エルフレッドはその手に確かな力を感じるのだった。

















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