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隣の席のヒーロー  作者: 由妃
1/1

私の世界は…

ガラガラガラ

ガラガラガラ。ピシャッ!

 (校門開けるのめんどくさいな…もう飛び越えて行こうかな…)

 「おはよう幽梨さん。今朝も早いわね」

 「おはようございます如月先生。如月先生も早いですね」

 「ちょっとね。そうそう、教室の花の水替えが終わったら私も花壇の所にいるから文化祭について話しましょうか」

 「はあ、分かりました」

 先生どうしたんだろうと思いつつ教室に入る。カバンを机に置き水を入れてくる。望君の席を見るとカバンが置かれている。

 (珍しいわね、この時間に。まあいっか。)

 水を入れて次の教室へそしてまた次の教室へ。

 プルルルルルルルッ

 「もしもし。はい、わかりました。学校が終わりしだい行きます」

 さて…そろそろ外に行かないと。

 「あっ!来た来た。」

 「お待たせしました。文化祭の話って何ですか?」

 文化祭についてなんてもう話すことなど無いはずだ。ほとんど私がやり当日は先生がやるからだ。

 「いやーね去年はアーチとかだったから良いけど今年は売り物だから人手が足りなくなったら困るから助っ人頼んだのよ。どうせなら一位取りたいしね。自己紹介ってことで顔、合わせておこうかなーと」

 「別にいいですけど、私が見えないといろいろと大変ですよ?」

 そう、私が見えないと先生は文化祭で1人寂しそうな先生だ。

 「あと、私が人一倍人見知りなの知っていますよね?あのかクラスだって慣れるのに1ヶ月かかりましたからね。実質上何もかわりませんよ?」

 「大丈夫大丈夫。あなたも知っている顔だし見える人だから」

 私が見える人?いたっけこの学校で如月先生以外に?なんだろう、嫌な予感がする。

 「如月先生。お腹が痛いのでトイレに…」

 早くこの場から離れねば!直感が告げる。肩をガシッと捕まれる。

 「逃がさないわよ」

 「先生。見逃してくれませんか?」

 「売上のためだから」

 もう無理だ。諦めよう。

 「あれ?如月先生。何しているんですか?幽梨ちゃんも?」

 「いらっしゃい。霧隠君ちょっとね」

 「やっぱりあなたですか…」

 望君はいまいち状況が把握できないらしい。

 「とりあえず、幽梨ちゃん。文化祭よろしく」

 「売上のためですし、しかたないか…」

 「はい!自己紹介て言うか会ったことあるから大丈夫よね?」

 「まあ、はい」

 「今日は文化祭の準備とかで昼までだから2人で考えなさい」

 「如月先生。私今日帰ります」

 「そう。じゃあこっちはいいか。霧隠君もクラスの方メインでいいから」

 「うちのクラスも服のサイズ測るだけで解散ですけど」

 「そっか…幽梨さんいないと出来ることは特に無いし今日は無しってことで。解散!」

 そのまま職員室に向かって歩いて行く如月先生

 「予想以上に明るい先生だったね…」

 「いつもあんな感じよ?」

 「そうなんだ…ところで幽梨ちゃん今日用事?」

 「あなたに話す義理は無いんだけど…」

 「今日こそ一緒に帰れないかと」

 「まあ、いいわよ。利益にはなるし」

 利益?と彼は思っているだろう。ついて来るなら対価は払ってもらわないと。

 ♠

 暇だわ。文化祭が近いからかな。早く帰りたい。

 「望君!今日服の採寸するつもりだったけど明日でいいから今日は帰って!」

 クラスの家庭科部が叫ぶ。

 「わかった。それじゃあ先に失礼するね。皆、バイバイ」

 彼がドアを開ける時に一緒に出る。チラッと後ろを見るとクラスの女子全員が不適な笑みを浮かべていた。あれか、お楽しみは最後にってか。心の中でひっそり望君に手を合わせる。

 「幽梨ちゃんどこ行くの?」

 「神社です。お爺さんとお婆さんが営んでいる」

 「へぇー」

 意外だったのだろうか少し驚いている。

 「お邪魔します、お爺さんいますか?。」

 「いらっしゃーーーーーーい、我が孫幽梨!」

 お爺さんがタックルしてきた。私はそれを冷静に横に避ける。

 「コラー!爺さん!あれだけタックルするなと言ったはずですよ!」

 「お婆さん、久しぶり」

 「いらっしゃい幽梨。また一段と可愛くなったね。後ろの子はお友達?」

 「うん、同級生」

 「いらっしゃい。ちょっと待っててね。」

 お爺さんを引っ張って隣の部屋に移動する。

 「元気なお爺さんだね…」

 「えっ!普通じゃないの?」

 いろいろと感覚がずれているらしい。

 「お待たせ」

 「お帰り」

 「お邪魔しています」

 「かしこまらなくていいの。ゆっくりしていきなさい」

 「ありがとうございます」

 優しいお婆さんだなと思う。さっきの怒鳴り声が嘘みたいだ。

 「お婆さん、電話で言ってたこと本当?」

 「ええ、できましたよ」

 そう言いながらお守りを差し出す。

 「ありがとうお婆さん。ちょっと試してくる」

 そのお守りを持って外に出る。

 「すみません。あのお守りって何ですか?」

 「そうかい、あんたは見える人だったね。そうだね、簡単にいうとあの子の姿を認識させる物かな」

 頭の上に?マークがつく。

 「あの子は産まれたときから姿が認識しにくいんだよ。原因は不明ときて子供のころは私達と一緒にいるか、1人でいるかどっちかだったんだよ。それで家は神社だからせめてでも姿が見えるようにってことであの子が10才の時から作って今日出来たってわけさ」

 ああ、だから後ろから忍び寄っても気づかなかったのか。

 後ろから戸がいきよいよく開けられる。

 「お婆さんすごいよこれ!いままでならぶつかってもスルーされてたけど反応してくれるようになった!しかもこんなに名刺貰っちゃった!」

 「良かったね、幽梨。けど今日はもう遅いから早く帰りなさい。幽梨はどうする?泊まる?」

 「じゃあ泊まる!」

 「じゃあ僕は帰りますね。幽梨ちゃん、また明日」

 「さよなら」

 嬉しいそうだったな幽梨ちゃん。明日は本格的に始まるから早く寝よう。

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