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オーストラリア語学研修  作者: 渡辺俊介
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第一章 旅立ち

この作品は作者の経験を基に書いたものです。

オーストラリア、クイーンズランド州、タンバリンマウンテン。

ここに外国人留学生を待っている二人家族がいた。

シングルマザーの母モリーとその息子アレックス。

アレックスは現在セカンダリースクールに通う日本の漫画やアニメ、ゲームが大好きな少年だ。

モリーは家庭菜園が趣味で料理上手な母だ。

そんな二人が今回待っている外国人留学生とは日本人の高校一年生の少年だ。

アレックスは日本人留学生が来ることが待ち遠しくてしょうがない。

「ママ、日本人の留学生はいつこっちに来るんだっけ?」

「アレックス、最近あなたは同じ質問ばかりしているわよ。七月二十七日じゃない」

「でもママ、急に予定が変わって早く来られるようになったら?」

「ちゃんと予定通り来るわ。アレックス、彼が来たら多分緊張してると思うから気安く話してあげるのよ」

「はい、ママ。日本のゲームについていろいろ話したいんだ」

「あなたがゲーム好きなのは十分知っているわ。けれどわかりやすく話してあげるのよ」

「はい、ママ。質問することは全部紙に書いたから大丈夫だよ」

「good boy. 今のうち留学生を迎える準備をしておきなさい」

「はーい。」

アレックスは待ち遠しくて仕方がなかった。

どんな人なのかな?日本人ってどういう性格をしているんだろう。

アレックスは色々考えながら部屋の片づけを始めた。

アレックスの部屋は今すごく散らかっている。

とはいえ、アレックスの部屋はいつもゲームのコードで散らかっているが。

今日は今までで一番部屋をきれいにしなくてはいけない。

しかし、片づけなければいけない物の多さに気が滅入った。

何時間もして、アレックスは一つのゲーム機を残して部屋をきれいさっぱり片づけた。

このゲーム機は日本製だから多分日本人留学生も知っているだろうというゲーム機を残しておいた。

でも、何のソフトで遊ぼうか。アレックスはほとんど1人用ゲームしか持っていなかった。そもそもアレックスは自分の家で友達と遊んだことがなかった。

とりあえず4人まで対戦することのできるゲームソフトを1本置いておくことにした。

このゲームで喜んでくれるだろうか。アレックスは少し不安に思ったが楽しんでくれることを期待した。




日本、関東の東京。

ここにオーストラリアの語学研修を楽しみにしている一人の男子高校生がいた。

彼はオーストラリア語学研修に最後に申し込んだ生徒だ。

最初は気乗りしなかったが、旅行会社の人に語学研修の魅力を語ってもらってからぜひ語学研修に行きたいと思うようになった。

この少年の名前は渡辺俊介。現在都内の私立高校に通っている高校一年生だ。

俊介はもともと英語が好きだったので両親が語学研修に行くのはどうかと提案した。まずは説明だけでも聞きに行こうということになった。

夏休みに入る前の期末テストを無事に終えて俊介はやっとオーストラリアに行くための荷物の準備をし始めた。

用意するものは旅の手帳に書いてある。これは旅行会社の人が作ってくれたものだった。

俊介は語学研修に行く二週間前になっても準備をしていなかった。

まずは必要な物を全部買いに行った。隣町には旅行用品がたくさん置いてあるお店があった。

まずはスーツケースを買いに行った。スーツケースと言っても種類はたくさんあるから選ぶのに苦労したが、店員さんが勧めてくれたものがあったのでそれを選んだ。

そしてコンセントの変換プラグ、海外でも使えるドライヤーも買った。

買い物を終えると俊介は家に帰ってすぐに荷物をスーツケースに入れる作業を始めた。

日本が夏でも南半球にあるオーストラリアは冬なので服装も暖かい格好をしなくてはいけない。それと学校の冬用の制服一式も詰め込まなくてはいけなかった。

まずは制服一式をスーツケースに入れたが、これがかなりスペースを取った。次いで私服を入れたが制服がスペースを取ってしまったので結局二着しか入らなかった。こればっかりはしょうがない。

向こうで着る服を一通り押し込んでからやっとその他の身だしなみ用品を入れ始めた。歯ブラシやシャンプー、リンス、ボディソープ、洗顔料、今日買ったドライヤーとコンセントの変換プラグ。

これらのものは全てスーツケースに付いているポケットにいれた。

残りのスペースには英語の教科書やノートなど筆記用具や電子辞書を入れた。

そして最後にホストファミリーにあげる日本の風景が印刷されたハガキを入れた。とは言ってもプレゼントはこれだけではない。オーストラリアに向かう飛行機に乗る前に、空港の和物用品を扱うお店で雑貨を買うつもりだ。

よし、とりあえずは今日はこんなところにしておこうということで俊介は準備に疲れて布団に横になるとすぐに寝た。




やがてオーストラリアに旅立つ日がやってきた。俊介はわくわくして仕方がなかった。他に同じ学校からこの企画に参加する生徒もいたが、みんな違うクラスだったり先輩だったりした。

俊介は同じく一人で愛知からこの企画に参加する生徒が来ることを旅行会社の人から聞いていた。なので俊介はその生徒と仲良くなれたらいいなと思っていた。

集合場所は成田空港だった。俊介は母と一緒に空港に来た。一番乗りだった。

他の生徒たちは後からやって来て、俊介の学校の先輩と思われる人と、同学年の女子だと思われる人がいた。

みんなお互いに知りあいらしくて話をしていた。

やがて愛知からの別の高校の生徒と思われる人がやって来た。おとなしそうな男子だった。俊介はその男子生徒に話しかけてみた。その子はマイペースな子だった。のんびりゆっくりと話した。

俊介はこういう雰囲気の人が好きだった。何となく落ち着いていて話しやすかった。

すぐに彼とは仲良くなって旅行会社の人がそれでは出発しますよというまでずっと話した。

みんなそれぞれの両親に手を振って持ち物検査のゲートに向かっていった。

まさかとは思ったが俊介は持ち物検査に引っかかった。それは何故かと言うと、普通サイズの歯磨き粉がリュックの中に入っていたからだ。それだけで持ち込んではいけない理由は知っている。もしものことに備えて、空港では一定量以上の液体は捨てなければならなかった。

俊介は勿体無いことをしたな、母に預ければ良かったなと思ったが後悔先に立たずだった。

やがて、飛行場に行くモノレールに乗った。それからしばらくして飛行機に乗った。飛行機に乗るまでが時間がかかった。

やっと飛行機に乗って、俊介と川島くんは四人席の右端とその隣の席に座ることにした。川島くんに端っこの席は譲った。

それから間もなくして飛行機が夜の空へ飛び立つ準備を始めた。だんだんスピードが速くなっていって、やがて重力を斜めに感じるようになった。みんな「おおお!」と面白がっていた。スピードがだんだん速くなっていって飛行機は離陸した。やがて空港が遠くに小さく見えるようになっていった。外灯が光の点に見える。

飛行機が空高くまで上がって重力を真下に感じるようになると、窓の外の景色もだんだん雲だけが見えるようになっていった。俊介はもう窓の外を見るのは飽きてきたので見るのをやめた。

今は九時半。オーストラリアまでは飛行機で約九時間らしい。まあ飛行機の中では夜遅い時間なのでほとんど眠って過ごすだろう。

そんなことを考えているとCAの女性が航空会社のマークがついたポーチをくれた。俊介はその人が外国人であることに気づいた。日本人ではなかった。多分マレーシア人かなと思った。

ポーチの中にはラジオを聴くためのイヤホン、空気枕、膝かけ、耳栓が入っていた。

俊介は早速空気枕を膨らませて背もたれと首の間に挟んで首を固定した。こうしないと長時間の移動は疲れてしまうことを知っていた。川島くんは枕をしなかった。すればいいのになあと思ったがそこは個人の自由なので言わなかった。

その代わり川島くんはずっとラジオを聴いていた。何か面白いものでもやっているのだろうかと思って聴いてみたが、どれも面白いものはなかった。何故川島くんはずっとラジオなんて聴いていられるのだろうかと不思議に思って聞いてみた。

「川島くん、何のラジオ番組を聴いてるの?」

「ああ、これは音楽番組だよ。僕、国内、海外、どっちのアーティストも好きだから」

なるほど、川島くんは音楽好きなんだな。しかも海外のアーティストまで知っているなんて。

俊介も音楽はよく聴くが、海外の曲となるとさっぱりわからなかった。ずっと聴いている気にはなれなかった。

川島くんはイヤホンをしたので話しかけても聞き返されるだろう。それに少し眠たそうだった。なので俊介も少し目を閉じてみた。気持よくて眠ってしまいそうだ。間もなく俊介は眠りに落ちた。

しかし一時間もしないうちに川島くんに起こされた。

「渡辺くん、夕食だってよ」俊介はまだ眠くて「うーん」と答えた。なんだかおいしそうな香りがしてきたので目をパッと覚ました。CAの女性が英語で話しかけた。

「パスタとカレーと焼肉のうち、どれがいいですか?」

「カレー」と俊介は答え、川島くんは「パスタ」と答えた。

するとCAの女性はカートからアルミホイルに包まれたプラスチックのお皿を取り出した。

俊介たちはありがとうと言って受け取った。そのあと俊介にCAの女性が質問をしたのだが、うまく理解できなかった。ドリンクがどうたらこうたら。川島くんがすかさず助けてくれた。

「今、サービスでドリンクをつけてるんだけどどうする?だって。レモネードとコーヒーと紅茶があるんだって。どうする?」

「レモネードで」

CAの女性はレモネードをカートから取り出して俊介に渡した。

そのレモネードは多分アメリカ製だった。容量が大きい。普通の缶の二倍はあった。俊介は初めて英語の先生以外の人と英語で話した。

そんな風に外国人の人と話したので、俊介は楽しくなってきた。なんだか不安なんて全くなくなって、ワクワク感がこみ上げてきた。

そして早速初めての海外行きの飛行機での夕食をいただくことにした。カレーは多分インスタントだったが普通においしかった。

「川島くん、どう?おいしい?」

おいしいよと川島くんはパスタを食べながら答えた。パスタの方はもともとミートソースがかかっていた。機内食にしてはパスタの方もおいしそうだった。

初めての機内食を食べ終えるとしだいに眠くなってきた。さっきのレモネードは一気には飲み干せないので明日の朝飲むことにした。それからほどなくして俊介は再び眠りについた。

目が覚めた。トイレに行きたくなったからだ。隣で川島くんはスヤスヤ眠っている。俊介は川島くんを起こさないように気をつけて川島くんの膝の前を通った。

トイレにを探しに機内の前の方に行ったが、トイレがどこにあるのかわからない。きょろきょろあたりを見回しているとCAの黒人の男性が不思議そうな顔で見てきた。

「トイレット?」

男性はあそこと指を指した。俊介はありがとうと言ってトイレに向かった。

そこはトイレだと言われないとわからない外見をしていた。ドアが引き戸で最初はただの壁だと思って通り過ぎていた。

トイレは水洗ではなかった。空気の圧力で流し込むタイプのトイレだった。現代の技術に感心した。

トイレから出ると席に戻った。相変わらず川島くんはスヤスヤ眠っていた。俊介は川島くんの膝に当たらないように気をつけて自分の席に戻った。しかし膝に当たってもいないのに川島くんは起きた。

「おはよう。まだ朝じゃないよ?もっと寝てていいよ」

「もう眠れないや。座ったままじゃ眠りづらい」

と言って川島くんは大きな欠伸をした。俊介は背もたれに寄りかかって眠ろうとした。

「無理して眠ることはないさ」

と川島くんに言われてその通りだなと思ったので俊介は眠くなるまで起きていることにした。川島くんは再びラジオを聴き始めた。俊介も読書をして過ごすことにした。

そうしているうちにだんだんと眠くなってきて三度目の眠りに落ちた。

空気枕は首を固定するのに役に立った。おかげで俊介は首を凝ることなく快適に眠ることができた。

目が覚めると朝になっていた。朝と言っても朝四時くらいだった。

朝食の時間になった。朝食はトースト、ラザニア、カレーだった。俊介は昨日の夕食にカレーを頼んだので今朝はトーストにした。川島くんはラザニアを頼んだ。

トーストはフレンチトーストだった。フレンチトーストもなかなかおいしかった。川島くんのラザニアもおいしそうだった。昨日飲まなかったレモネードの缶を開けた。やはりサイズが大きい。海外は何でもかんでもサイズが大きいんじゃないかと俊介は思った。

朝食を食べ終えるとちょうどアナウンスが流れた。

「本機は間も無くオーストラリアのゴールドコーストに到着いたします。お忘れ物などございませんよう、ご注意ください」

やがて飛行機はゴールドコーストの空港に到着した。完全に飛行機が止まってから降りてくださいと指示があった。俊介たちは添乗員さんに連れられて飛行機を降りた。

オーストラリアに着陸して最初に感じたことは暑い!ということだった。

ここから俊介の初めて経験する海外での二週間の旅が始まった。


読んでいただきありがとうございます。

この作品は作者の経験を基に書いたものです。続きもこれから投稿していく予定ですのでよろしくお願いします。気に入っていただければ嬉しいです。

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