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09 例の山に登る事になった僕

 これで終わりだな・・・サッサと終わらすか。

「あの~~ここに倉持富夫いますか?」

「あっ、はいそれじゃあ、今調べてみますね。」

チャッチャと終わらせて帰ってビールでも飲むかな

「倉持富夫様ですね、いますがすいませんがどちら様ですか?ご家族の方ですか?」

「あっ・・えっと・・そうそう息子、息子。」

「あっ、そうですか息子さんでございましたか。」


セキュリティー甘いなー

何号室だったけ?あっ、ここか


「オイ、入るぜ。」

「貴様誰だ?」

「おお、申し遅れました、わたくし金融屋の藤谷です。」

「金融屋?何故金融屋がワシの所に?」

「前に大変、お世話になりましたもんで。」

「前に?・・・お世話になった。はて?何の事だか?」

「前に金借りたろ。」

「ワシがか?」

「そうだよ。あんたがだよ。」

「さぁ~~な~覚えておらんな~」

「まぁ良いや、返した金返すから、ここに置いておくぞ、じゃあなオッサン・・ビール!!ビール!!っと!!」

「オイ!!チョット待ってくれ!!」

「何だよ?俺は早く帰ってビールが飲みたいんだよ。」

「その金持って行ってくれ。」

「はぁ~~金返さねーとこっちが困るんだよ。」

「しかし・・なぁ~本当にいつ借りたのか身に覚えがないのじゃよ・・・もしや、あらての詐欺か今流行ってるじゃろ後になって倍になって返せって言うんじゃろ。」

「違えーよ!!」

「私は誤魔化せんぞ若ぞう。」

「仕方ねーなホラ名簿、これ、あんたの字だろ!!」

「どれどれ、ホー確かにワシの字とよく似てるな。」

「だろ。」

「どこで覚えたワシの字?裏の奴等からの情報か?」

「はぁ~~めんどくせ~~な~ハンコもちゃんと押してるだろ!!」

「それも、そうだな、まぁ信じてやるか。」

「それじゃーな。」

「ちょっと!!待て!!」

「何だよったく!?こっちは帰ってゆっくりビールでも飲みてーんだよ。」

「まぁ、そこをチョット抑えて・・・でも何故、今更金なんか返しにきたんじゃよ?」

まさか神のヤローに金返して来いって言われたから返したって言っちゃあ、ただのバカだとしか思われねーからな・・・ここは、適当に誤魔化すか。

「まぁ、罪滅ぼしって言うヤツかな。」

「罪滅ぼし?」

「まぁ今まで俺ロクな事してこなかったしなぁ、色んな人に迷惑かけたし、それに闇金やって他のヤツラから絞りとれるだけ、金絞り取ってきたからな・・・その罪滅ぼしってヤツだよ。」

「・・・・・・」

「・・・・・・」

・・・・やけに静かだな・・って何泣いてんだよオッサン!!

「・・・・若ぞう!!見直した、見直したぞ!!そうか前の後悔を悔いてザンゲをしようって事だな、良いぞ、若ぞう!!」

「じゃあ、オッサン俺はもう行くぜ!!」

「ちょっ!!ちょっ!!ちょっ!!ちょっと待ってくれ!!若ぞう、その、そなたの純粋な心にワシは感動した!!決めた!!そなたにワシの願いを託したいと思う。そなたなら信用できようワシの頼み願ってくれるか?」

オイオイ!!待てよ!!何勝手に見切り発車してるんだよ、このオッサン!!

「オッサン、ゴメン俺ちょっと用事あるんだった。又今度な!!」

「ちょっと!!ちょっと!!待って!!」

「キャッ!?」

「おおゴメン。」

「あのすいません、藤谷様でしょうか?」

「おお、そうだけど。」

「これ、神と名乗る方から手紙が・・・」

「はぁ~~。」


また、このパターン始まったよ!!


「オッサン分かったよ、何だよ頼みって。」

「おお!!そうか若ぞう!!」

「・・・・・」

「実はなワシはエレクトロニックの会社の会長でな・・・」

「エレックトロニック?なんだ、それ?」

「ERYって知ってるか?」

「ERY!!あのCМでやってる、ヤツか!?電子な~~ら♪ERY~♪ってヤツだろ!!チョー有名な所じゃんか!!オッサン、あの会社の会長なんか!!」

「・・・そうじゃ、まぁそれは、良しとして実は、ワシは後、余命3ヶ月なんじゃ・・・」

「余命3ヶ月もうすぐ死ぬだろー!!」

「そうじゃ、それでな・・・遺産の事何じゃが・・・」

「遺産?・・・それがどうしたんだよ?」

「ある人に配分したいんじゃが・・・」

「ある人?ある人って誰だよ?」

「それがワシの義理の娘なんじゃが・・の。」

「義理の娘?義理の娘なら遺産何ってスグにあげれるだろ。」

「それが、義理と言うのは、ワシの都合で呼んでるだけなのじゃ、実は再婚しようとした女性が、その前に亡くなったんじゃよ。」

「再婚しようとした女が死んだ?」

「そうじゃ、実はその女性の娘なのじゃよ。だから、義理と言う訳には、いかなく全くの赤の他人になってしまうのじゃよ。」

「それで、何でその娘と言うか、その子供に遺産なんてあげたいと思っているんだよ?」

「それがの、今その娘は、女で一人子供を育てているのじゃよ。」

「あっ。その娘ってヤツは子供いるんか!?」

「だから、ワシの遺産で少しは楽にしてあげたいんじゃよ。」

「じゃあ、遺言でも書けばいいんじゃないか。」

「それがの~~遺言書は、書いていたのじゃが問題は、その後なのじゃよ。」

「はぁ~~?」

「ワシには、実の子が4人いるんじゃが・・・」

「何だよ?どうしたんだよ?」

「その実の子供らがな義理の娘の事を認めていないのじゃよ。だから、遺産がその娘に渡るとしたら、即反対するじゃろう、と言うか有り金使って弁護士雇ってでもそれを阻止しようとするじゃろう。」

「じゃあ、どうやってそれを止めるんだよ、策がねーだろ策が。」

「だから、それをおぬしに頼んでいるんじゃないか。」

「はぁ~~?」

2人は、病室の中で誰にも知られない様にこっそりと長い間喋り通していた

その会話は、空に星が見える程続いていた。


 翌日、龍典は、ERYの会長である、倉持富夫と病院を出ていた。

「それにしてもよーオッサン病院のヤツラは、すんなり出してくれたな。」

「まぁ後、余命3ヶ月だからな、残り少ない自分の時間を十分楽しめと言う事じゃろう。」

「そうか、でもオッサン位の金持ちなら有名な医者にでも高額な金払ってでも延命治療でも、すれば良いんじゃんか。」

「ハハハ、若ぞう、2回死にそうになって2回とも手術で命を助けてもらったからな、もう手術なんて御免じゃよ。それに、もうこんな老いぼれなんじゃ、例え手術が成功しても、もう長くはないじゃろう。」

「それもそうだな、ただの年寄り一匹助けたとしても、何の意味もネーもんな。ハハハハ・・・・何か音鳴ってねーか、どこからだ?」

「あっ!?ワシのケイタイからじゃな・・・・またヤツからか・・・はい、何?どうしたんじゃ?はっ?事故を起こした!?それで、どの程度の事故なんじゃ!?何!?そんなの指に唾つけとけば治るじゃろ!?そんな事で、いちいち電話してくるんじゃないよ!!それといつも言ってる事じゃが、労災には、するんじゃないよ・・はい・・分かった。それじゃあ後でな・・・ったくヤツラいちいち、小さい事で電話よこすから、困ったもんじゃ。」

「会社のヤツからか、一体何って?」

「はっ、それがのう派遣がたった機械で指切った位でどうしますか?と内の側近から電話かかってきたんじゃよ、そんな事社長であるワシの息子に言えばいいのに。」

「労災がどうのこうのって言ってたけど、そんなケチケチしないで、労災おろせば良いのに可哀想に派遣のヤツ。」

「それがのぅ。おろしたいのは、やまやま何じゃが、一回労災おろすだけで厄介な事になるんじゃよ、国から審査がきてのぅ。色々と調べられるんじゃよ。

今使っている機会が悪いじゃの、設備が悪いから変えろじゃの、そうなると今使っている機械だのなんだの、いちいち一から十まで変えねばならんくなるんじゃ、そうなると作業もストップするじゃろ、

それに、それより厄介なのがある、それはこの会社の評価が下がると言う事じゃ、

そうなれば株式にも若干、影響が出るんじゃよ。」

「たった一人指怪我した人、一人でもか?」

「そうじゃよ、会社にとっては、一大事じゃよ。それに、たった軽い怪我だけで労災出してたら皆が皆、労災・労災となってくるじゃろ、そうなれば一日一人が当たり前の様に怪我しては、労災、怪我しては、労災という事になるじゃろ、そうなれば会社は、終わりじゃな、国内の企業、嫌、世界の企業からの信頼が失われる、

今まさに苦戦している我が社にとっては、たった一つの指の怪我でも、命取なんじゃよ。」

「ハハ、そうなんか、でも働いてる人達にとっては、納得いかねーだろ。良心的じゃねーなオッサン。オッサンがなんだか、小さな悪党に見えて来たぜ。」

「まぁ、そう見えるのも仕方のない事かもしれんのぅ。」


・・・・


「着いたぞオッサン。」

「・・・おぉ!!ここが競馬場か!!」

「オッサンまさか、競馬着た事ねーのかよ?」

「そうじゃが・・・それがどうした?」

「って、普通大企業の社長、会長っつったら、競馬だろ!!競艇だろ!!オートレースだろー!!博打だろギャンブルだろーマカオだろー!!」

「ほほ、それで、これでどうするのじゃ?」

「って、マジ馬券の買い方も知らねーのかよ!?って、どれに賭けんだよ?」

「そうじゃなぁ、あの馬が良いな。」

「ってオッサン!アイツは、ねーって、いくらなんでもアイツはねーよ。」

「だって、あの馬ずっと連敗してる馬だぜ。ありゃー無いって、ありゃー。」

「そうか、ワシには凛々しく見えるがのーあの目が。」

「オッサン目とか関係ねーから、馬は足だから!これ!何つーの、この太もものハリ具合つうの、分かってねーなホントに・・って・・・・


 オッサン3連単当てやがったー!!


「じゃろ、だから言ったじゃろ目が違うんじゃって目が。」


さすが大企業の会長、ハンパない洞察力だわ!!

さすが、目利の才能あるわ、だってホントにあの馬ずっとおちぶれてて、ニュースでも、ダメ馬だって取りあげられてた。今話題な可哀想な馬だぞ!!

それを、勝つと目利しやがった。タダ者じゃないな、やっぱり、このオッサンさすがここまで会社をとりまとめた事があるって言うのは、納得できるは、3口100万円って大穴じゃねーかよ、

一体この金何に使うんだよ!?

「これ、お前にやろう。」

「えっ!?いいの!?マジっすか!!」

「おぉ、良いぞ、そのかわりワシにまだ付き合えよ。」

と言われなくても付き合うよ、神のヤローに又、何か言われそうだからな。

「結構面白いもんじゃったな、競馬とやらも、あの声と熱と活気が表れて、」まぁ、オッサン見たいに勝てたら楽しいんだけどな、

「まぁ、息子と一緒に応援したかったなー」

「それで、次どこ行くんかい?」

「そうじゃな・・・・・山・・・」

「・・・えっ!?・・・えっ!?・・もう一回言って!!」

「だから山。」

「えっ?ウソだよね。」

「いや本気じゃよ。」

「あ~あ~山の周りを車とかで周るヤツか・・?」

「いや、登る。」

「いやいやいや、こんな病状だし、無理なんじゃねーのかな~~?(;´∀`)」

「嫌、ワシにはもう後先ないからな。ホレ、医者の診断書もコレ。」

「・・もうあなたが何やっても、どうやっても良いです・・」との医者のコメント何なのコレ!?

って言うか、こんな医者いるのか?無責任過ぎるだろー・・って

えっ!?

マジ?マジ登んの山に・・・わゎ~罰ゲームだわ~ってもう登山用の服屋に来てるし、

「これ、良いの~これ頑丈そうじゃの~。お前さんは、もう決まったかの?」

って俺行く気しねーんだけど、ホントに困るよなー、年寄りの急な発想って

「じゃあ明日じゃぞ!!」

登るんっスね山に、いざ出陣てか、

明日イヤだわー明日行きたくないわー明日来ないで欲しいわー、

まぁ明日だから寝て起きりゃあ、何もしないでもくんだけどね・・・・ってオッサンどこまで、行くの?新幹線にまで乗って・・・まさか、まさか、あそこじゃねーよな、あの山では、ないよな・・・まさかな・・・聞くの恐えーわ。チョー恐えーわ

あの山以外こっち方面の山ってあったけ・・・?

やっぱ聞くの恐えーなー、いっそ聞くのよそう・・と・・・このまま僕はこの某会社の会長と一緒にとある山に登る事になった。

ひ~~~恐ろしい~~~

ひ~~~死ぬ~~~

ひ~~~後、何合目だ?

ひ~~~オッサンこのまま死ぬんじゃない?

僕たちは、互い違いになった人達と時には励まし合い、時には助け合い、こんな感じで頂上まで辿り着いたのであった。

「息子とこの景色を見たかったなー。」

「そうなんかい・・・俺で悪かったな。」

「まぁ、これで良いんじゃよ。お前さんとこうやって頂上の景色を見れて良かった、ハハハ。」

笑い事じゃねーよ!!こっちは、体ガタガタだよ、

まさか、本格的に登るなんてよ、一体何泊したと思ってんだよ!!でも、

良く死ななかったなーこのオッサン・・と俺も・・・と思ってたら、翌日病院で安らかに息をひきとった、余命より早かったんじゃないかと医者に聞いたら本当は、余命2週間位だったって言ってたな、何か本人にもうチョット意欲をもたらしたかったらしく、本当の余命を伏せて置いたらしいが、

多分オッサンは、自分がもうチョイ早く死ぬと予測してたのかもしれんな。

それにしても、息子たちは誰も来ねーな、親の死に目には会わず・・・か・・・でも、この義理の娘はオッサンの手を握りながら、泣いてりゃー、

相当好きだったんだな、このオッサンの事が・・その義理の孫も泣いてたな、

まぁ後は、これから、どうするかだな、

この娘はオッサンの遺産はいらない自分の力だけで自分の子供を育てると周囲に漏らしていたが、こんな小さい子供を女で一人育てるなんて、そうそうこの世の中は、甘かねーし、かと言って俺がその場に出て行ってオッサンの遺産この女にも分けてくれねーかって言うのもなー皆納得しないだろう、

それも部外者の俺が言やーなお更な、

はぁ~~めんどくせ~~な~


「なぁ七恵どうするよ~~」

「そうだね・・・でも、私ならその義理の娘さんに遺産は、渡すけどね。可哀想だから。」

「お前はだろ。」

「そうだけどさー。」

一体オッサンは俺にどうしろって言うんだよ。全然分かんねーよ、何でこういう、めんどくせー事託すかねー、この俺に?

はぁ~~

「でも、龍ちゃんが人の為に色々考えてるって・・・何かカッコいい・・」

「急に何だよソレ!!」

「何か尊敬しちゃうって言うか、誇らしいと言うか男の人と言うか人間として、カッコいい。」

ハハハ・・・こっちは、本当はやりたかねーんだけどな、こんなめんどくせー事でもやらねーと私の上の者がコレで・・って言った所で誰も信じねーのが僕のツライ事で誰か一人でも分かってくれねーかなー僕の気持ち、

まぁ・・でも、人の為!?やる事って周りのヤツラに評判良いから、俺の株がドンドン上がって気分は良いわ。確かに・・「あ!!分かった!!その娘さんの子供を育てるって言う大変さを教えるって言うのはどうかな?」

「はぁ?」

「このままじゃ養育費が払えないとか、生活して食べる物もロクに取れないとか・・・」

「うまく行くか~?だってヤツラは、大富豪の大企業の会長の御曹司ドモだぞ、凡人の生活してる俺等の気持ちなんて分かりやしねーよ・・・だって子供の時から何の不自由なく育って欲しい物は、すべて与えられてる、やからだぜ。そういうヤツラに並の庶民の気持ちなんて到底分かりやしねーって。」

「そうなのかなー?そう言うモノなの?」

「そうなの!!まぁとりあえず、やるか!!」

「もう何よー!!龍ちゃん、真面目な話ししてるのに・・もう!いや!やめて!!せっかく龍ちゃんの事男らしいと思ってたのに!!」

「男ってそう言うモノなの。」

「ホントに嫌だサイテー!!相談したいから会いたいって言ってたのに結局、こういう事するんだから、ホント最低ー!!」

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