宇宙探査船ヤマト
宇宙探査船ヤマトは遂に地球外文明との初めての接触を果たしていた。それはとても素晴らしい星だった。高度な文明を誇りながらも人々は非常に親切で寛容だった。
「この星では争いごとはないのですか?」
ヤマトの搭乗員は住民に尋ねた。
「かつては争いの尽きない野蛮な時代があったようですが、文明が成熟するにつれて恒久平和を実現することができたと聞いています。当然のことですよね?」
「進んだ文明ではあたりまえのことですよ」
ヤマトの搭乗員は相槌を打った。地球ではいまだに争いの絶えない野蛮な時代が続いているなんて恥ずかしくて口に出来なかった。
「きれいな空ですね。環境汚染とも無縁のようですね」
ヤマトの搭乗員は住民に尋ねた。
「ずっと昔はたいへんだったこともあるようです。オゾンホールや温室効果ガスによる気温の上昇とか。ですが、経済的な利益のみを追及して自分たちの住む星を台無しにしてしまうなんてバカげたことですよね? 普通はそんなこと続かないですよ」
「おっしゃる通りですね。進んだ文明ではあたりまえのことですよ」
ヤマトの搭乗員は環境汚染が絶えない地球のことを思い浮かべながら言った。目先の利益を優先して日々環境を破壊し続けている。そんなバカげたことが続いているなんて恥ずかしくて言えなかった。
「この星では誰もが幸せそうです。貧富の格差もないのでしょうね?」
ヤマトの搭乗員は尋ねた。
「富を独り占めするなんてあり得ないですね。ひとりで使い切れるもんじゃあるまいし」
「おっしゃる通りですね」
ヤマトの搭乗員は言った。この星に習って自分たちの星を少しでもマシにしなければならない。そんなことを考えていた。
「今度、私たちもそちらの星に訪問させていただきたいと考えております。これを機会に友好を深めて行きましょう」
住民たちは言った。ヤマトの搭乗員たちは困惑していた。このままでは母星の不甲斐なさを知られてしまいそうだった。
「実は私共はこの周辺の宙域で警備のようなことをやっておるのです。警備というとちょっと大袈裟ですかな。まぁ、見回りのようなものです。なんでも宇宙では時折、野蛮な文明が誕生してしまうらしいのです。いつまでも国家間でいがみ合っているとか。経済的な利益を優先して自分たちの星を台無しにしてしまうとか。一部の人間が富を独り占めして多くの住民が悲惨な暮らしを強いられているとか。そういう星を放置して置くと宇宙全体が危機に陥ってしまう可能性もありますからね。そんな星は見つけ次第、吹き飛ばしてしまうことになっています。あなた方の星ではそんなことはないと思いますが」
住民たちは言った。
「帰る時にご同行しても良いですか?」
「ちょっと待ってください。おもてなしの準備とかありますから」
ヤマトの搭乗員は慌てていた。
「ちょっととは?」
「一年待ってください」
搭乗員はつい一年と言ってしまった。仕方がなかった。それ以上、引き延ばすのは不自然だった。
「それでは再会の日を楽しみにしています」
なんとか訪問を一年先延ばししてくれるよう頼み込んでヤマトは地球に帰還した。
「急いでください。一刻の猶予もありません。人類滅亡の日まで、あと一年なんです」
地球を救うため、ヤマト搭乗員は各国政府や各種経済団体の説得に奔走していた。




