1.増殖
あらゆる創作者に対して、
ターミナルシステムという
モノが生まれた。
ターミナルシステムとは?
バーチャル空間を用いて、
創作をする場所を、利用者に
提供するサービスのことだ。
利用者は、創作物のアイデア
や、創作物の売買、展示など。
バーチャル空間を利用した、
創作の世界、それがターミナル。
創作者なら、ターミナル
システムでのAIを利用した
創作活動を、するのが当たり前
という風潮があるようだ。
かくいう私は、
イラストを描いたり、
執筆したりとするが。
どうにもターミナル
システムというのが、
流行だからと、するのは、
何だか違う気がする。
ターミナルに興味は、
ないわけではないけど。
始める切っ掛けが、
見当たらない。
そもそもの話し、
バーチャルって何?
私には、わかんないよ。
セッティングできる
自信ない…。
そういえば、チラシ
チェックをしてなかった。
特売情報は、あるかな?
うーんと、卵1パック、
150円!!安い。
タイムセールは、18時から、
今の時間は~17時だね。
スーパーまでは、
15分かかるので、
そろそろ準備を
始めよう。
財布を鞄に入れ、
ガチャりと鍵を閉めて、
歩道を歩き、商店街を通る。
ふと視線が、
たこ焼き屋の壁の、
貼られたポスターへ目が行く。
『創作の世界で、
あなたの夢を、
叶えませんか?』
「夢っ?」
私は、創作を、
趣味にしていた。
いつから夢と、
語らなくなったの
だろう。
線引きは、高校生に
なってから。
中学までは、ただ漠然と、
夢を語っていた。
しかし、夢って何だ?
と思うようになった。
「お嬢ちゃん、興味あるのかい?」
柔らかく笑う、
たこ焼き屋のオジサンに、
声をかけられる。
「興味があるなら、1枚いるかい?」
何のチラシなのか、
よくわからなかったが。
「ありがとございます」
と、受けとることにした。
チラシをリュックに入れ、
その後、スーパーでは、
無事に卵をゲットできた。
家に帰り、チラシのことを
思い出し、ぐちゃぐちゃになった、
チラシを広げる。
《TML SYSTEM》
TMLのチラシだった。
「あなたの夢を応援します。
通過者には、VR機器の無償
提供を致します」
「応募資格、あなたの価値を、
世界に残したい方へ」
私の価値?世界に残す!!
脳が揺さぶられた。私の
表現が、世界に知れ渡る?
表現とは、コミュニケーションの
一部といっても過言ではない。
伝えたいこと、知ってほしいことを、
形にする。
チラシのQRコードにアクセスして、
住所氏名を登録する。
そして簡単なアンケートに答え、
私の想いを綴った。
『わたしだって、夢を叶えたい』