さて、里長の家へ行こうか。ん?放し飼いの家畜、多いくね?
ヒルデガルデさんと共に、里長の家へと。
流石に、この規模の集落だと屋敷とまではいかないみたいだ。
まぁ、そうは言っても、周りの家よりは大きいがな。
行っても不在だったら行き損なので、在宅中であることは確認している。
むろん、転移門を経由したアカシックレコード情報だ。
だが、それ以外は伏せて貰っている。
なんでも、かんでも、全てを知ってしまうと、楽しくないからな。
まぁ、危険な場合や不利益を被る場合は、自動で教えてくれるがな。
里長の家へ向かう途中で、子供達が遊んでいるんだがな。
あのぉ、アロンさん?
っか、5人の精霊が子供達と遊んでいるのを、アロンさんが見守っている。
な、仲、良さそうやね。
っか、子供達と違和感なく遊んでる。
精神年齢は同じか?
子供達は犬を囲んでおり、その犬を撫でているみたいだな。
いや、違う。
良く見ると、子犬が居るな。
ああ、子犬を構っているのか。
っと、ん?
なんか、毛色が違う子犬・・・ちゃった、子猫やん。
子犬が5匹で子猫が3匹。
それを毛足の長い母犬が面倒を見ている。
っか、子猫へも乳をやってるんだが?
あれ?
犬猫の仲って、悪くなかったか?
ん?
犬が子猫を育てることはあるらしい?
この集落では、猫と犬の仲は悪くないらしい。
猫はネズミなどの害獣を駆除し、犬は里へ入り込もうとする獣を追い払う。
集落には、無くてはならない存在らしい。
今までの結界では、狼以上の獣が結界へ弾かれており、小型の獣は入り込めていた。
イタチやキツネにタヌキなどだな。
集落内の畑を荒らすため、害獣扱いだ。
そんな獣を犬が追い払ってた訳だ。
集落と言っても、結構広い。
牛や羊に鶏が放し飼いだな。
豚は居ないみたいだ。
え?
俺の世界に居る豚は、人が家畜化させて造り出した生き物?
元はイノシシであり、それを家畜化した、と?
この世界にもイノシシは居るが、俺たちの世界のイノシシより気性が荒く、しかもデカい。
ん?
俺たちの世界に居るイノシシも、結構デカいが?
軽自動車くらいあるヤツも居るし、軽自動車を横転させた話しもあるそうだ。
はぁ?
4トントラック並みのデカさ?
いや、アホぅなの?
それで気性が荒いんだよね?
家畜化できる訳ないやん。
だから豚は居ないのかぁ。
で、そんな放し飼いの家畜の面倒も、犬が見ている。
変なトコへ行ったり、集落から出ないようにな。
そんな感じで働いている犬の中にも母犬がな。
どうやら交代で子犬の面倒を見ているみたいだ。
ん?
それにしては、子犬の数が少なくね?
はぁ?
犬なのに、1匹か2匹しか産まない?
大丈夫なのか、それ?
え?
人里へ居る場合は、出産する頭数が減るらしい。
危険が減るのに適応するんだと。
いや、そんな話しは、聞いたことないんですが?
はい?
この世界では、一般的な話し?
そうなんだなぁ。
流石は、異世界。
で、そんな家畜などを眺めつつ移動し、里長の家へと。
辿り着くと、里長が家から出て待っていた。
巡回兵が先触れで伝えたみたいだな。
まぁ、ヒルデガルデさんは、他国とは言え貴族令嬢だ。
妥当な対応だろう。
「おぅ、出迎えてくれるとは、感謝じゃて。
久しいのぅ」
そうヒルデガルデさんが告げるとな。
「ヒルデガルデ様は、様変わりされましたなぁ。
以前も、お美しかったですが、さらに輝かんばかりでは、ないですか。
まことに、羨ましい限りで」
あ、里親は女性だ。
うん、以前のヒルデガルデさんに負けない程の、おばちゃんだね。
「いやのぅ。
魔術の事故みたいなもので、こうなってしもうたわえ。
まぁ、以前より身体が動くでのぅ、重宝しとるわい」
なんかさぁ、ちょっと火花散ってません?
錯覚か?
「それは、それは。
それで、本日は結界を張り直して頂けるので?」
里長が雰囲気を変えてな。
それへヒルデガルデさんがな。
「ふむ。
結界じゃが、すでに張り終わっておる。
で、じゃ。
結界張りに訪れるのは、本日で最後にするでな」
いきなりの爆弾発言です。
里長、唖然。
いったい、どうしたぁ!




