分かった、では、解説しよう!
ことの経緯を軽くヒルデガルデさんにも説明しました。
流石はヒルデガルデさん、各陣営のことは、ご存じでした。
けどな。
「その、ダイダラとか、セリアムとか、何なのでしょう?」
そう門番さんがな。
マロンさんと、タルトさんも、後ろで頷いている。
仕方ないなぁ。
「そうですね。
まずセリアムですが、善神と言われている神々の総称、つまり種族名です。
ランピアルは、俗に言われている天使ですか。
別にセリアムの眷属ではありませんが、彼らの考えに賛同して動くことが多い存在です。
セリアムは、善神と言われていますが、自分の正義を押し付けますから、背くと滅ぼしたりする存在です。
結構、厄介な存在だから、皆が思う神とは異なるかもしれませんね」
そう告げると、彼らは戸惑っている。
いや、まぁ、神が実在し、その存在が自分の思う神とは異なればなぁ。
「次にダイダラですが、悪神や邪神、または悪魔と呼ばれている者達の種族名です。
デェーヴァは魔族と呼ばれている者達の種族名ですね。
まぁ、ダイダラは悪戯好きな者が多いですが、中には人にとって良い行いをする者もいます。
例えば、慈愛の女神として有名なラヌマ様とかですね」
ったらな、ヒルデガルデさんを含め、皆がビックリしている。
「皆さん勘違いしているみたいですが、彼らは別空間に住まう種族であり、別に神でも悪魔でもありませんから。
その空間で、普通に暮らしています。
コチラの世界を知らない者も多いですし、貧富の差もあります。
コチラに来るのは、富裕層ですね。
王族や上位貴族などは来ませんが、下級貴族や力がある者が、チョッカイを掛けて来ます。
まぁ、お遊び的な感覚ですか?
逆に、この世界を見守るとして、普段は中立のホルトザ陣営が厄介かもしれません。
彼らは、法の番人と自認しており、どこで介入して来るか分かりません。
それも彼らの価値観で判断し、悪と見做せば容赦しませんから。
それが善行でも、彼らが悪と見做せばダメです。
価値観の相違など、普通にあるのですがねぇ」
うん、門番さんを含め、みなドン引きだね。
「まだ別の空間に居る種族も多数存在しますが、コチラへチョッカイ掛けて来るヤツは居ないので、割愛しますね。
で、今回の件は介入しましたが、あまり首を突っ込むと、コレらの騒動に巻き込まれます。
僕が全てを平定して支配すれば収まりますが、正直関わりたくありません。
自由がなくなりますし、正直面倒ですから」
俺が言うとな。
「そうじゃな、関わる必要などないわえ。
元々、藤吾は、この世界の住人ではない。
なんの義務も、有りはせぬ。
ただ、我らを助けて貰えれば、嬉しいがのぅ」
まったく、この人は。
師匠の我を助けよ!って、命令しても良いのにさ。
「ま、身近な人達は守りますよ。
掛かる火の粉は払わないと、ですから」
さて、この騒動の話しは、終わりで良いかな?
それは、それとしてだ。
「それで、精霊さん達は、どこ行ったんです?」
姿が見えません。
え?
アカシックレコードで調べないのか?
なんでも、かんでも調べてたら、ツマランでしょ。
「ああ、精霊様方は、里を散策中じゃ。
それぞれ、アロンタルト様とフォートナ様が、引率してな。
人里は珍しいと、ハシャいでおったぞ」
あー、人里を楽しみにしてたからねぇ。
しかし、騒動にならんのか?
「精霊様達だけで行動させて大丈夫なんです?
騒ぎになりません?」ったらな。
「大丈夫じゃ。
巡回兵に託したゆえにのぅ。
彼らが付いておれば、騒ぎにはならぬであろうよ」
まぁ、大丈夫なら良いんだが。
「それで、コレからどうするんです?」
当初の予定は済んだんだよね。
結界を俺が張ったしね。
「まずは、里長のトコじゃな。
次は宿の手配かや。
事態をドラグスケイルへ知らせるべきじゃが、明日、我らが向かった方が早かろう。
じゃから、里長の家へ向かうぞえ」
そう言うヒルデガルデさんに従って、移動を始める。
わざわざ挨拶かぁ。
面倒だなっ!




