仕方ない、一応は解決するかなぁ、ふう。
移動は一瞬だ。
転移門を潜れば良い。
まあ、時を止めてるから、一瞬もクソもないがなっ!
ここがエルダードラゴンの里かぁ。
里?ねぇ。
家なんか無いんですが?
崖のアチコチへ穴が空いてる感じか?
崖の前には湖と森が広がる。
羽が生えた大きなトカゲが、水辺や岩棚へ寝転び日向ぼっこ。
湖へプカプカ浮かんでいるヤツもな。
リザードマン?
トカゲみたいな人が、ドラゴンを磨いたりしているな。
小鳥や水鳥が、普通に遊んでいる。
リスやウサギみたいな小動物の姿もな。
いや、捕食されんの?
ん?
このクラスのドラゴンになると、地脈や大気中の魔素などで体を維持できるらしい。
ただ、ドラゴンの子供は違う。
キチンと餌を食べないとならない。
そのため、下級ドラゴンへ預けて育てさせるんだと。
ドラゴンにも階級があり、下級→中級→上級→最上級となり、その先にエルダーとエンシェントドラゴンがな。
エンシェントドラゴンから竜へ至り、竜から龍へと。
だが、簡単に級は上がらない。
大概は、その級にて生涯を終えるみたいだ。
で、ドラゴンにも様々な種類が居り、その眷属となるドラゴンがな。
そんな眷属である下級ドラゴンへ、托卵して育てさせるらしい。
この度、あのアホぅが盗ませたのが、そんな托卵中の卵な訳だ。
この、のんびり空間にて、一部ピリピリした空間がな。
うわぁ、剣呑な空気だなぁ。
多分、アソコへ卵を盗まれたドラゴンたちが居るんだろう。
エルダードラゴンの里近くへ出て、転移門経由にて様子を伺ってたんだが、アソコへ行くのか?
嫌だなぁ。
まぁ、行かないと話しにならないからなぁ。
仕方ない、行くか。
あ、そうそう。
アカシックレコードで情報や、ある程度の状態は分かる。
分かるんだが、現地の雰囲気までは分からない。
だから、時を動かして確認してました。
で、転移門で、母ドラゴンと思われるドラゴンの前へとな。
「なんじゃ!
猿が紛れ込んでおるぞっ!」
誰が猿やねん!
「コレでもヒューマンなんですが!?」ったらな。
「ぬ?
あの盗っ人の一味かぁ!」
いや、いきなり攻撃するのは、どうなのよ?
まぁ、踏まれても、結界に阻まれて効きませんがね。
「ふぅ。
では、アナタは悪事を働くダーディードラゴンと、同一にされても、文句は無いんですよね?
アチラもドラゴンなんですから、同じなんでしょ?」ったらな。
「コチラを愚弄するのか?」ってさ。
「いやいや。
先に愚弄し、攻撃もしたのは、ソチラですが?」
もう帰るかなぁ。
なんか、腹立ったし。
「少し控えよ!」
「しかし!」
「黙れ!
控えよ、と申した!」
「くっ!」
あ、母ドラゴンが下がったね。
「妻が失礼した。
力ある方と思われる。
何用かな?
今は、取り込んでおるのだが?」
機嫌は悪いようだな。
まぁ、いきなり音連れたんだから、当然か。
「端的に告げます。
バカが、ソチラの卵を盗んだみたいなので、奪還して持って参りました。
ココへ出して良いですか?」
そう告げたら、惚けられた。
どったの?
「それは、まことかぁっ!」
うん、母ちゃんは、元気やなぁ。
とりあえず、卵を亜空間から出して時止めを止める。
「ほんに、我が子やぁ!
良かったぁ!
無事やったぁ!」
あ、ドラゴンでも涙を流すんだね。
トカゲとは、違うんだなぁ。
で、卵を渡した後にね。
「で、コイツらが、首謀者と関係者に、盗んだ当人達ですね。
ソチラで裁いてください。
あ、それとですね。
邪竜の分体が混ざっています。
コイツです。
この度の騒ぎは、邪竜が聖竜派に町を襲わせる企てが原因です。
ですが、これも、帝国皇帝が竜狩りを目論んだことが原因であり、さらに、それもダイダラが関与しています。
色々と思惑が絡んでいるみたいですねぇ。
僕は頼まれたから関与しましたが、正直面倒ですから、後はお願いしますね」って帰ったよ。
丸投げ?
そうですが、なにか?




