ちょっと結界を、ついでに賊も討伐しましょう、そうしよう。
俺が告げた条件を聞いたヒルデガルデさんは、即座に答える。
「その条件に問題ないじゃろう。
町が壊滅したら町長の財産どころの騒ぎではない。
それを防いだのなら、当然の対価じゃ。
それに為政者が統治地を危険に晒すなど、言語道断じゃ!
裁かれるのは、当然のことじゃな」
そう告げるとな、門番さんがね。
「いや、しかし・・・
それを、ココで決めても良いので?」
戸惑った感じでな。
「かまわん、かまわん。
伺いなんぞ立てたら間に合わんぞえ。
しかも藤吾が動いたら、誰が成したか知る術がないでな。
証拠もなしに、藤吾を責められんじゃろうて。
ココで話した内容も、我らの戯れごとじゃと言えば、追求もできまい?
もし追求して来ても、それは我に喧嘩を売るに等しい。
つまりは、トルトゥーナ皇国の名代へじゃ。
戦争になるのぅ」
ヒルデガルデさんが、ジロリと門番さんを見てね。
したら門番さんが、困ったようにさ。
「それは、困りますねぇ。
あんな悪党と、それでは、釣り合いが取れません。
まぁ、構わないんじゃないですか?」
まぁ、門番さんに、なんの権限もないんだが、許可を得たことにしよう。
ヒルデガルデも、良いってるしさ。
で、軽く時を止める。
転移門は、既に設置済みだ。
わざわざ行く必要もないため、転移門越しにヒルゲインへ結界を施す。
そして、今回の関係者を全員捕まえた。
ん?
どうやって?
実はな、転移門は生き物を移動させれないんだが、転移門が創った亜空間へは、ある条件を満たせば入れられるんだ。
それは、生物の時が止まっていることなんだ。
死んでいるのとは、違うからな。
死んだ生物は、転移門でも移動可能だからさ。
生きてる状態で、その生物の時を止める必要があるんだ。
部分的に止めたら、止めた部分が体から切り離されてダメージを負う。
そう、以前に討伐へ使用したようにな。
だから生物全体を一瞬で止める必要があるのさ。
まぁ、俺は時止め状態で行うから、ミスすることはないんだが。
そんな感じで賊を一網打尽ってな。
実は、この件は根が深い。
あんまり関わりたくは無いんだがなぁ。
町長の表財産と隠し財産を全て回収。
あ、賊たちのもね。
当然、卵も回収しましたよ。
その後で、ヒルゲインを結界で覆う。
ドラゴンどころか、竜や龍、いや、ダイダラやデェーヴァでさえ突破や破壊は不可能だろう。
目視できないから、結界の存在は悟られない。
隠蔽もしたしなぁ。
だが、直ぐに結界はバレるだろう。
ん?
なぜ、って?
実はな、この結界は俺が悪と認定する輩は通過できないんだよ。
それが例え、この世界で悪神と呼ばれる存在のダイダラでもな。
ましてや、魔族的な存在のデェーヴァなどが行うなど無理だ。
で、当然、通過できないから騒ぎになるだろう。
そして、次第に悪人が通過できないことが知れるハズだ。
そうなると、通過できない者は取り調べられる。
悪人が減って喜ばしいことだ。
この結界、中へ居る悪人が外へ出ることは可能だ。
つまり町中の悪人が、いったん町から出ると帰れなくなる訳だ。
まぁ、悪事を働かずに、普通に生活すれば問題ないんだ。
自業自得だよな。
そんな結界を施してから移動を。
っと、その前に。
「ヒルデガルデさん。
ヒルゲインへ結界を施しました。
これから、悪党共をドラゴンへ突き出して来ますから」
とりあえず、そう告げておく。
だってな。
ドラゴンと会ってる間は時間が流れるからさ。
俺が消えたって、騒ぎになるっしょ?
だから、あらかじめね。
で、返事も聞かずに時を止め、転移門にて移動。
いや、転移門さん?
自由に転移門を設置して良いったけどさぁ。
エルダードラゴンの里にも設置してたの?
はぁ?
龍族の里や、龍界にも設置しとる?
なにやってんねん!
他の異界にも設置中らしい。
もぅ、好きにして!




