トンネル掘りのために、ビーム、放って、みたっ!
さて、転移門の提案に乗って試してみますかね。
まずは、ビームが通る場所を風魔法で掃除する。
時間は停止しているから、風魔法で除去した箇所へ異物が混ざることはない。
風が通る直前の瞬時瞬時に空間の時間停止が解かれ、風が通過後に停止する。
まさに職人芸やね。
これ、俺がヤルのは無理だわ。
ここへ属性を混ぜ合わせ圧縮した精霊力を、ビームのように放つ。
アニメで見たビームをイメージしていたんだが、虹色?いや、貝殻が虹色に煌めくような。
そう、螺鈿色とでも言うのだろうか?
そんなキラめやかな色合いの光る線がな。
で、斜面や岩肌を消滅させ、素粒子どころか、精霊力にまで分解しつつ進む。
いや、普通は物へ当ればさぁ、減衰しない?
威力を増してますが?
はぁ、なるほどね。
物質を分解して精霊力と化したあと、それを取り込みつつ進んでいるから、威力は落ちずに増すと?
この攻撃、ヤバくね?
普通は減衰して、放ったビームは消えるものだ。
だが、このビームは減衰せずに、威力を増して進む。
つまり勝手に消えない訳だ。
普通は減衰して消滅するから、バンバン、ビームを放つシーンが描かれている。
だが、このビームをバンバンと放ったら、放った先が全て消滅して行く訳だ。
永遠と。
これ、ヤベっ!
既に貫通した見たいなので、慌ててビームを消す。
え?
どうやって?
そらぁ、精霊力の塊なんだから、属性精霊力を単なる精霊力へ戻して、転移門へ吸収させたわさ。
精霊力の塊ってもな、転移門か操る力に比べたら消し粒にも満たないかんなぁ。
しかし開通したのは良いんだが、真円の穴だ。
しかも床や壁面がガラスのようになっててな、ツルツルなんだわ。
コレでは、歩くこともできない。
さて、どうしたものか。
元々の予定では、ビームで開けた穴の直径は小さいと思ってたんだ。
そこへ、プラティオンやオリハルコンなどの、硬度が高い金属粉を纏わせた竜巻を横へ放ち拡張するつもりだったんだがな。
まさか一発で開通するとは。
しかも、溶けたように固まったトンネル内は、プラティオン製の工具でさえ歯が立たない硬さになっている。
コレを技術化して壁面などを加工したら、大概の攻撃を弾く砦を造ることもできるだろう。
まぁ、面倒だからせんがな。
しかし、下手な工具で加工できないなら、加工がなぁ。
ん?
いや、まて!
時止め空間で、プラティオン製の工具加工が不可能?
時止め空間は、物理攻撃が増す性質があったハズだぞ?
じゃぁ、通常状態だったら、どんな攻撃も通じないんじゃぁ。
うん、伝えなければ問題ないっしょ。
だよね?
それよりも、加工だが・・・
はぁ?
加工したい形に想像したら、そのようになる?
え?
なに言っとんの、アータ。
っうか、転移門。
なになに。
先ほどのエネルギー派は、精霊力の塊を放ったため、物質が精霊力化して吸収された?
まぁ、そうだな。
さっきから、そう言ってっし。
で、別にエネルギー派を放たずとも、物質を精霊力化するのは可能?
転移門が、普通に干渉して分解可能、っと?
あー
つまり、俺は穴を開けるには穴を掘るか、ビームを放って破壊するしかない、って思っていたんだがな。
実は、そんなことをする必要は無かった?
俺が想定した範囲を、転移門が加工できたと?
それも、想定範囲の物質を精霊力を含む様々な力へ変換。
瞬時に穴が開通し、イメージ通りのトンネルになると?
いや、なに、そのチート?
じゃさぁ、じぁさぁ。
地面は滑らないようにさぁ。
っう感じで転移門と、しばし打ち合わせを。
そして出来ましたよ、トンネルが!
内部は、先ほどビームが変質させた物質と、同様の硬度を誇っております。
ゆえにメンテナンスフリーやね。
壊せるもんなら、壊してみろ!ってね。
で、床は真っ平らだが、滑り止めを兼ねてザラザラに。
ただ表面には、ある程度のクッション性を持つようにした。
転倒時に怪我をしないようにな。
壁面や天井へは、様々な彫刻を浮き彫りに。
トンネル両端である出入り口にも飾り彫を。
ガーゴイルみたいな彫像もな。
これ、実はガーディアンです。
ヒルデガルデさんに悪意を持つ者は、このトンネルを使えません。
獣も通過不可能です。
ふぃっ。
良い仕事したなぁ。




