山道が見えたんですが、急過ぎませんかね!
で、そんなことをしている間に、山へ上る道が見えて来た。
実際に見ると、結構急な坂道だな。
え?
この道を馬車で移動してんの?
それって、大丈夫なのか?
気になったから、アカシックレコード経由で調べてみた。
ん?
調べないて分からないのか?
当たり前だろ。
常時情報を受けてたら、俺がパンクしちまうよ。
俺は普通の高校生なんだからな、キャパシティなんざぁ限られているんだ。
っか、人と言う存在自体、一度に得られる情報は限られている。
聖徳太子が、一度に10人の言葉を聞き分けた、って話がある。
そんなレベルじゃ、ないことになるからさ。
全てを知る、っうことは、情報の海、洪水、いや津波に飲まれるようなもの。
人の許容量を越えるからさ。
まぁ、転移門は制御できるみたいだから、時々情報をフォロー的に提供してくれるんだがな。
なので、自分から知りたいことは、自分でな。
っても、結局は転移門にて情報を得るんだが。
で、馬車なんだが、ブレーキを掛ける機構と魔道具を使用して、安全に下山しているみたいだ。
っか、魔術を仕込んだ道具である魔道具の力に頼っている感じか?
これ、ヒルデガルデさんのお手製みたいだな。
だから、ヒルデガルデ館の馬車でないと、この道を通れないみたいだ。
無理して通ろうとしたヤツも居たみたい。
だが、大概が崖下だな。
ふむ。
この道を上るのかぁ。
徒歩は、しんどくね?
思わず立ち止まると、頭を抱えていたヒルデガルデさんに気付かれたようだ。
「これ、藤吾。
どうかしたのかや?」ってね。
だからさ。
「いや、山へ上る道がキツそうだなぁ、って思いまして」
素直に、そう告げるとな。
「そんな先の心配かや。
まだ着かぬであろうに」
そんなん言うんですが?
「いや、既に着いていますが?」
「はぁ?
また、なにを・・・なぜ、もうココへ辿り着いておる?
ほんの少ししか歩いておらぬのじゃが?」
あー
オーデットさん?
いや、マロンさんと、タルトさんもか?
流吾、流吾って、念仏みたいに、呟かないで貰えます?
怖いんですが!
「そりゃぁ、歩いてたら着くでしょ?」ったらな。
「早過ぎるのじゃが?」ってね。
だからさぁ。
「そらぁ、“身体強化”と“地走り”の魔法を使いましたからね。
しかし、この道を上るのかぁ。
丘を越えるっうか、低い山を越える感じだよね、
道が急過ぎません?」
そう告げるとな。
「仕方あるまい。
この辺りは、岩盤が硬ぅてのぅ。
丘陵地沿いにしか道が造れなんだのじゃよ」
まぁ、ヒルデガルデさんが館を築いたのは、精霊樹があるからだし、場所へ行くために道を造ったのなら、仕方がないのかもね。
でもなぁ。
「ココから真っ直ぐ道を延ばせば、ちょうど橋近くの道へ出ますよね?
道、創っちゃいますか?」ってみた。
ヒルデガルデさん唖然。
したらオーデットさんがな。
「ヒルデガルデ様?
この方、なにを言われておられるので?
まったく、理解できないのですが?」
そんなことをな。
んー、そんなに、難しいこと言ったかなぁ?
したらな。
「大丈夫じゃ。
心配するでない」ってさ。
流石はヒルデガルデさんだね。
「我にも理解できぬでな」
前言撤回です。
「もう良いっす。
道創りますから」
もう、勝手に遣りますからね!
言うと同時に時を止める。
さて、どうしよう?
あ、アレしてみよう。
皆んな大好き、エネルギービーム!てぇヤツ!
ただなぁ。
時止め中は、魔力や精霊力の干渉を物体が受け付けない。
物理だと、サクサクなんだがなぁ。
ん?
転移門?
なんか提案か?
ふむふむ。
放ったエネルギーと物体が接触する場所の時間停止を解けば良い?
部分的に解除して行使すれば、魔力や精霊力でも物体への干渉が可能ねぇ。
いや、言わんとしていることは分かる。
分かるんだけどさ。
そんな繊細なコントロールは、無理なんですが?
え?
転移門が行う?
いや、マジかぁ。
では、試してみるかね。




