うん、ヤッちゃった?ま、良いか、な?
そんな2人を見たオーデットさんも混乱中。
ヒルデガルデさんは、落ち着いてるね。
「ふむ。
他の者が仰天しておると、コチラは落ち着いて見て居れるのぅ。
これからは、誰かを同行させるべきじゃな」
うん、生贄なんですね、分かりました。
身体の調子を確認していたマロンさんが、隣で挙動不審になっているタルトさんに気付いた。
「これ、タルト。
どう・・・あなた、誰?」
「タルトですけど。
あの〜
マロンさんですよね?」
「はぁ?
何を言っておるのですか、アナタは?
いや、アナタ本当にタルトなんです?
タルトなら、私を確認するなど、ないハズですが?」
なんか、揉めてるね。
どったんだろ?
「あの〜
私は、どのように見えてます?
若返っているんでしょうか?」
困惑気味にね。
「なぜ、若返ったなどと聞くのです?
自分の身姿など、確認ができるハズがないでしょうに」
「あれ?
タルトさんは、姿見に気付いてないんですか?
さっき、突然現れたんですけど」
姿見を指さしながら、有り得ない、っう顔でな。
「あ、確かに何かが現れて、驚いたのでしたね。
身体の調子が、イキナリ良くなったので、そちらばかり気にしてましたから」
そう告げて、姿見の方を。
「へ?
誰です、これ?」
「いや、誰って、マロンさんですけど?」
そうタルトさんが告げるとな。
「揶揄うのも、大概にしてください。
このような方が、私のハズがないでは、ありませんか!」
ん?
どゆことだろ?
「頬のアザがないですし、額の傷がありませんね。
顎の火傷によるケロイドもないじゃありませんか。
私の怪我などは、幼少期に負って癒えなかったものです。
容易く消えるものでは、ないのですよ?」
そう告げるマロンさんの後ろへ、タルトさんが移動する。
そうすれば当然のことながら、タルトさんの姿も姿見へ映る訳でな。
「ほら、マロンさん。
私も写ってますよ。
私の前には、マロンさんが居るんです。
だから、姿見へ写っているのは、マロンさんなんです。
間違えありませんよー」
そう告げてタルトさんは、マロンさんへ後ろから抱き着き、抱き締める。
うん。
マロンさん、号泣やね。
「無理もないわぇ。
マロンは顔の傷にてのぅ、周りから疎まれておった。
我と出会う前は、それは、それは、酷い生活をしとたそうじゃ。
育ての親に暴力を振るわれたそうでな。
幼い頃に怪我を負ったらしいのじゃよ。
我が雇った後は、よう働いてくれてのぅ。
賃金を払うのじゃが、本人は庵から出たがらんでな。
こたびは、無理を言って連れ出したのじゃよ。
多分、藤吾が、なにやらヤラかすと思ってのぅ。
まぁ、庵を出て直ぐにヤラかすとは思わなんだがのぅ」
いや、ヤラかす前提なんですね。
っか、ヤラかす、って、なんやねん!
「ヤラかす、って、酷い言い方ですね。
単に身体強化の魔法を掛けただけじゃないですか。
別に害もないし、良いですよね」ったらな。
「ふむ。
藤吾のコトじゃから、若返り前提でも使うと思うておったわえ。
まぉ、想定通りじゃ。
それに先天性異常も治ると言っておったじゃろ?
ならば、タルトの外傷も癒えるハズじゃでな」
あー、計算づくですか、さいですか。
まぁ、良いですけどね。
しかし、害がない、ったけどさ。
ある意味では、害があったかも。
マロンさんが号泣して泣き止みません。
先へ進めないね。
まぁ、状況が状況だから仕方ないけど。
ようやくマロンさんが落ち着き、先へ進むことに。
あ、皆は気付いてないみたいだけど、皆の服は身体に合うように、魔法で手直ししてます。
そらぁ、アレだけ体型が変われば、衣服が合わなくなるのも当然だよね。
まぁ、マロンさんと、タルトさんの変化が凄過ぎたみたいで、そちらのインパクトに気を取られたのか、誰も気が付かないんだけどね。
さて、皆が落ち着いたから、そろそろ行こうかな。




