歩くの遅くね?ちょっと魔法掛けて良いっすか?
歩き始めたんだが、あまりにも遅い歩み。
まぁ、俺基準だがな。
っても、俺の体が新陳代謝魔法にて、強靭になりつつあるせいでもある。
だから、普通の人にとっては、遅過ぎるてぇことはないだろう。
だがな。
「身体強化の魔法と地走魔法を使いたいんですが、良いですかねぇ?」ったらさ。
「ふぅ、また藤吾は。
身体強化と言っても、色々とあるのじゃが?
どのような魔法なのじゃな?」
いや、そんな諦めたように言わんでもさぁ。
「え?
新陳代謝魔法をベースに、筋力増強、神経伝達増幅に骨や腱とか筋とか諸々をですね。
無論、視力や聴力に嗅覚もです。
あ、もちろん、触覚もですよ。
諸々強化したら、移動も速くなるでしょ」ったら、ため息吐かれた。
何故に?
「まぁ、藤吾じゃから可能なのじゃろう。
無論、害はないのじゃな」
そんなことを言うからさ。
「害なんてありませんよ。
益はあるかもしれませんが。
使用人のお2人は、多分、若返っちゃうかもですけど、健康になるから良いですよね?」ったらな。
「ヒルデガルデ様?
この者は、何を言っておるので?」って、オーデットさんがね。
あれ?
そんなに難しいこと、言ったけか?
「聞いた通りじゃ。
良いか、オーデット。
いや、皆の衆。
意味が分からんでも、飲み込むのじゃぞ」
何が分からんの?
まぁ、許可が貰えたってことで。
貰えたんだよね?
「では、掛けますね?」ったら、な。
「まぁ、良かろうて。
その力が知られても、誰も藤吾を害すことなどできぬ。
藤吾ゆえにの」
「いや、ヒルデガルデ様?
仰られている意味が分からないのですが?」
そうだよ。
藤吾ゆえ、ってなんだ?
まぁ、良いか。
それより魔法を掛けよう、そうしよう。
で、皆へ魔法を掛けました。
あ、精霊ズには掛けないよ。
意味がないからね。
精霊さん達は、顕現した2人と召喚にて存在している8人。
一応は実体化しているが、霊体がベースなんだ。
だから物理法則から外れたりしている。
だってさ、全員が軽く宙に浮いてるからな。
歩いてないんだよ。
え?
そんな体を維持し、活動するエネルギーって膨大だろ?
どこから得ているんだ?って?
むろん、俺からだけど?
いや、正確には転移門からだな。
そんな彼女たちへ、身体強化の魔法は不要なんだよ。
つまり、魔法を掛ける対象は、ヒルデガルデさん、オーデットさん、それと使用人の2人だな。
魔法を掛けると、ヒルデガルデさんの姿は変わらない。
いや、肌ツヤと髪の質が上がったか?
オーデットさんの場合、元々若いから若返ったりはしない。
だが、肌ツヤが増し、髪がツヤツヤでサラサラにな。
なんとなくなんだが、体が引き締まったような?
胸部装甲が増してないっすか?
まぁ、とりあえず、スルーで。
いや、だってさぁ。
使用人の2人が激変してっからね。
いやぁ、見事に若返ったなぁ。
うん、劇的なアレだ。
ビフォア・アフターてぇヤツだな。
ヒルデガルデ邸は待遇が良いのだろう。
使用人に痩せ細った者は居なかった。
逆に小太りさんがな。
彼女たちも、ふくよか、さんではないが、ちょっと、ふっくらっう感じだったんだ。
それがなぁ、痩せ過ぎではなく、スッキリとした感じへと。
しかも、ボッ、キュ、ボンっう感じかな。
ヒルデガルデさん程のダイナマイト・ボディではない。
だが、俺の世界で歩けば、皆が振り向いて見てしまうだろう。
顔がフツメンなのは、ヒューマンなんだから仕方ない。
シルファーナ族の2人が居るしね。
しかし肌ツヤが良くなり、髪質も上がっている。
ヒューマンとしては、別格だろうな。
で、術の行使は一瞬で、効果も即座に。
体から出た老廃物は、転移門が処理している。
ヒルデガルデさんに、「意味が分からない」ってたオーデットさんは、ヒルデガルデさんを見ているから変化に気付かない。
術を掛けるため立ち止まり話をしていた関係上、ヒルデガルデさんは振り向いていた。
だから、使用人たちの変化に気付いたみたいだ。
呆れてるな、サーセン。




