昨夜、なぜ夕食を食べなかったか?そらぁ、不味いからです!
ヒルデガルデさんに叩き起こされた訳だが、今から出掛けると考えれば仕方あるまい。
「いやぁ、まさか、こんなに寝れるとは」
ほんと、ビックリです。
「そう言えば、藤吾。
ソナタ、夕食を要らん、っと言っておったそうじゃが、食事はどうしたのじゃ?」
そう尋ねられたからね。
「自分の世界に戻り食べましたよ」って返したよ。
「ん?
なぜじゃ?
コチラでも用意できたのじゃが?」
そう不思議そうにね。
「申し訳ないんですけど、コチラの料理が合いませんで」
言い難いこと、言わさせんでぇー
「それは、コチラの料理が不味いと言うことかの?」
ストレートに聞くなぁ。
ぶっちゃけ、そうなんだけどね。
「そうですね。
調理うんぬん以前に、食材がダメみたいです」
「?
どう言うことじゃ?」
あら?
小首を傾げるヒルデガルデさん、って、愛らしい。
ごほん、ごほん。
「まずは、野菜なんですが」
「野菜がどうしたのじゃ?」
「僕の世界では、野菜を改良しているんです。
市場には、そんな品種改良した野菜が並んでいます」
そう告げたらな、不思議そうな目で見られたよ。
「野菜を改良?
そんなことをして、どうするのじゃ?」
そんなことを言うからさ。
「野菜が美味くなりますね。
病気ににも強く、収穫量も増えます」
「はぁ?
本気で言っておるのかや?」
実に疑わしげにね。
失敬なっ!
「なら、試しに食べてみますか?」ってみた。
「試しかや?
調理せねばならぬゆえ、時間が掛かるじゃろ?」
ん?
なぜに調理?
「いや、生で食べられるから、調理しませんが?」
「はぁ?
野菜は生では、食べられんじゃろうに」
どうやら、この世界では野菜が、生で食べられないみたいだ。
マジで?
なので、トマトとキュウリを出してみる。
むろん、創造しましたが、なにか?
「ほぅ、コレが藤吾の世界から持って来た野菜かえ?」
そんなことをな。
「ええ、僕の世界の野菜ですね。
その侭で食べても良いですし、コレを付けても良いですよ」
そう告げて、小皿とマヨネーズをだす。
後は塩が入った小瓶だな。
いわゆる塩用容器ったら良いのか?
「また、珍妙な者を出して来よったのぅ。
その黄色い物はなんじゃ?
小瓶に入っておるのは、塩かえ?」
そんなん言いながらトマトを手に取り、シゲシゲと見ている。
俺もトマトを手に取り、そして齧り付いた。
うむ、美味し!
ま、そらそうだわな。
珊瑚○という徳島県産の糖度10度以上を誇るトマトをベースに、酸味と甘味と清涼さをアップした代物。
コレは、俺が精霊力で作るから出来る品だと言えよう。
コレに塩は不用ではあるが、藻塩を創造したヤツを掛けるとな、コレがまた、美味いんだわぁ。
あっ、っと言う間に完食です。
ゴクリ、っう音が。
いや、喉鳴らすなら、食えば良いと思うよ?
「ううむぅ。
齧り付くのは、実に美味そうでは、あるのじゃが・・・
流石に淑女てしては、はしたないじゃろうのう」
あ、そう言えば、ヒルデガルデさんは子爵ご令嬢だったけか?
ならば、貴族的に齧り付くのはNGなのかもしれないな。
「なら、カットした、コチラを試して下さい。
カトラリーは、ケーキを食べる時に使ったフォークで良いですね?」
そう告げ、切り分けたトマトが乗った皿と、フォークを渡す。
「ふむ。
手間を掛けさせ済まんのぅ。
それでは、いただくわえ」
そう告げて、トマトを口へと。
「ぬ?
これは?
果物では?
コレが野菜なのかや?」
そんなん言うからさ。
「僕の世界では、野菜として売られていますね。
料理の材料としても使われておりますし」
「ほぅ。
このような品をのぅ。
して、この小瓶から塩を掛けるのじゃな。
また、面妖な。
蓋が開くように開き、複数の穴が開いた覆いかえ?
この穴から、塩が出ると?」
そう言いながら、トマトへ塩を。
そして、塩が掛かったトマトをな。
「ぬっ?
味わいが増しよったわえ。
この塩。
なんと言う旨みじゃ!
はぁ、生の野菜が、これほどとは、のぅ」
いや、まだキュウリたべて無いからね。




