俺のトルコライスぅ!ドコ行っただぁ!え?俺食った?うせやろ!?
いやぁ、デカいのなんのって、デカかったなぁ。
しかし、デカいだけで不味い、てのがあるらしいが、コレは美味かった。
しかも食べる組み合わせで、味わいが変わるからな。
だから飽きない。
本来、一緒に盛るパスタを分けたのが、良い。
これさぁ、ハヤシやカレーと混ざると、多分変な味になるんじゃね?
カルボナーラも、ナポリタンも、俺が食べた感じでは極上。
っか、完成された味だ。
つまり、その一品で完結した品だと言える。
だから、ワンプレート上へ盛り、食べる最中に混ざると味がなぁ。
いやな。
ハヤシとか、カレー食った後、パスタを食べたらな。
ハッキリ言って、この組み合わせはアカン。
ま、俺的には、だがな。
で、そんなことを考えながら食べてるとな、無くなったん、だよ。
え?
何がって?
決まってるだろ、トルコライスが、だよ。
なんで、美味い物はさぁ、無くなるのが早いかねぇ?
まだ5分も経ってないんだぜ。
ドコへ消えたんだ、って、言いたいが、俺の腹の中だな。
正確には、腹ん中からエネルギー化して転移門へ、だな。
ジックリ味わって食べて、腹八分か。
3キロって、意外と少なかったか?
「お客さんさぁ、本当はフードファイターでしょ?
しかも、上位勢?
見たことないけど、海外所属なの?」
そんなん、言って来たんですけど?
「はぁ?
なんで、そうなる?
俺は一般人だてーの」
本当に、いきなり何を言い出すのやら。
「いやいや。
一般客が、この量を完食したりできないからね!
しかも5分、って、なに?
普通はフードファイターでも、30分以上は掛かるからね!」
いやぁ、そんなことを言われてもなぁ。
「美味かったんだから、夢中で食べただけだ。
マスターの腕が良いからじゃね?」っといたよ。
したらな。
「お客さん。
嬉しいこと言ってくれるねぇ。
このムースをサービスしよう」
厨房からマスターが出て来て、俺の前にピンク色のムースをな。
あー、小丼クラスのガラス製器がな。
いや、デカくね?
まぁ、食うんだけどさ。
なんかウェイトレスさんが、信じられない、って目で見るんですが?
だがぁ、そんなの関係ねぇっ!
だって、美味そうなんだもん!
スプーンで掬って食べる。
うん、滑らかかつフワフワ?
淡雪のように口の中で解け溶ける?
なんじゃ、コリャ?
世の中に、こんな食い物があったのか?
「こ、これ、ムースって言うのか・・・
こんなモン、初めて食ったよ。
え?
これ、サービスった?」
「おぅ、サービスだ。
本来は、賄い用に作ったんだが、どうも最近は皆の受けがな」
「そりゃ、さぁ。
美味くても、毎日は飽きるよ。
研究中だからってもねぇ」
女将さんが、呆れたように。
ん?
店内の客へは、全て配膳が終わってるみたいだ。
もう直ぐ昼の部が終わるため、手が空いたんだろうな。
ウェイトレスさん達がテーブルを片付けたり、厨房で皿を洗う音が。
さっきのウェイトレスさんも、マスターと女将さんが来たら、ココから離れたよ。
テーブルを片付けてるみたいだな。
「いや、コレがサービスは、イカンですよ。
千円以上はするんじゃ無いっすか?
払いますって!」
慌てて告げるとな。
「アンちゃん、お人好しだなぁ。
まぁ、そんなに美味そうに食われたら、料理人名利に尽きるてぇもんだ」
ん?
どゆこと?
あ、話しながら、合間に口へ入れてたら消えた!
え!?
いつの間にぃ!
「あ?
ムース、無くなった?
溶けたか?」
「いやいや、お客さん。
凄い速さで食べられてましたよ。
あれ、無意識なのかい?」
女将さんが呆れたようにな。
「そ、そうでした?
いやぁ、あまりの美味さに、手が止まりませんで」
後ろ頭を掻きつつ告げるとな。
「ここは料理屋でメシ食うトコだ。
だから食うのが当たり前だぜ。
しかし、良い食いっぷりだなぁ。
本当にフードファイターじゃないのか?」
そんなん言われてもなぁ。
「間違えなく、普通の一般人ですよ。
しかし、美味かったなぁ」
いや、店へ居る人全員で顔の前で手を立て、左右に振らなくとも良いんですよ。




