オバ様とのお話し、だよ?
「ふむ。
日本語かぇ?
それが、ソナタが話しておった言語かや?」
そのようなことをな。
不思議なことを言う。
「今、アナタが話しておられる言葉が、日本語ですよね?」ったらな。
「ふむ?
我は、この辺りで共通語として使われている「バルファル語」で話しておったぞ。
まぁ今は、我の種族語である「シルファーナ語」で喋っおるがのぅ」
はぁ?
ますます訳が分からん?
オバ様は、確かに日本語を・・・まてよ?
オバ様と話しが通じ始めた時って、何があった?
「あっ!
もしかして、爆発した本が原因か!?」
あの現象が発生した直後から、意思の疎通が可能になっている。
そう考えると、原因は、あの本だとしか考えられない。
「ほぅ、意外と冷静ではないか。
理知的だとも言えようか?
ふむ、本に適合しただけはあるようだな」
そうオバ様がな。
適合?どう言う意味なのだろうか?
聞こうと思い、話し掛ける段階で気付いた。
俺、オバ様の名前知らないや。
だから、先に名乗らないのは失礼だと気付いた訳で・・・
「色々と尋ねたいことがありますが、その前に名乗りますね。
僕は、渡部 藤吾と言います。
渡部が家名で、名が藤吾です。
お招きいただき、ありがとうございます」
そう告げて、頭を下げる。
「ほぅ。
家名持ちかぇ?
しかし、家名が先に来るとは面妖な。
ソナタらの世界では、それが普通なのかぇ?」
まぁ、家名が先に来る国は、地球でも珍しかったハズだ。
なので。
「いえ、僕の国は、そうですが、珍しい部類のハズですよ」
そう答えておいた。
「ほぅほぅ。
それは面白い。
うむ、色々と尋ねたい所ではあるが、まずは名乗るべきであろうな。
我は、ヒルデガルデ。
ヒルデガルデ・フォン・アルマデスである。
見ての通りシルファーナ族であり、トルトゥーナ皇国のアルマデス子爵家三女じゃ。
この地には遺跡探索に来ておってな。
遺跡には、古代文明の遺物が多く眠っており、太古の魔術などが知れる場合がのぅ。
我は魔術研究家でな。
それらの知識を求め、この地へ庵りを築いておる訳じゃて。
でな、先程、ソナタへ渡した本なのじゃが。
アレは、我が作り出した魔術書じゃ。
効果は言語理解でなぁ。
色々と術式を組み入れ過ぎてしまってのぅ。
書に適合できる者が居らなんだのじゃ。
アレは素養も必要なのじゃが、何よりも学術的な鍛錬が必要でなぁ。
まぁ、素養なければ、鍛錬しても身に付かんのじゃがな。
だが我には素養自体がなく、使用できなんだのじゃよ。
しかし・・・アレが容易く発動するとは、ソナタは学者か何かかぇ?」
うぇっ!
一気に話されて、なんとか理解したが・・・ちょっと勘弁して欲しい。
女性とのトークは、中々にハードルが高いかも。
まぁ、とりあえずは問い掛けに返すかな。
「いえ、学者ではないです。
学徒と言うか生徒ですから、まだまだ未熟者ですよ」
そう告げたらビックリしている。
そして感嘆したようにさ。
「それはそれは、ソナタの国では、貴族教育が行き届いているとみえる」
ん?
貴族?
あれ?
俺って、貴族だと思われてる?
「あのですね。
誤解があるみたいなので告げますが、僕は一般庶民の子ですね。
中流家庭じゃないかなぁーなんて、願望を持ってるくらいの、ごく一般的な家の子ですから」
とてもでは無いが、貴族などとは呼べないだろう。
「はて?面妖な?
ソナタはワタベと言う家名が有るのではなかったかぇ?
貴族でも無いのに、家名があると申のかや?」
あー、アレか?
家名は、貴族のみ名乗れるってヤツかねぇ?
「それなのですが、僕の国では国民の全員が家名を持っているんです。
大昔には、家名が無い人も居ましたが、今は居ませんね。
それに国には一般庶民しか居ません。
貴族制度では無いので」
そう告げたら、信じられないって顔で見られたよ。
まぁ、この世界では、そうなんだろーなぁ。