探索系魔術覚えたよ、出掛けないの?あ、今日はダメ?そなの?
懸案であった探知系魔術を習得した訳だが、今日は出掛けないらしい。
既に昼を過ぎているし、出掛ける準備もあるからな。
俺とヒルデガルデさんに精霊ズで、リバーウッズへ出掛けるのかと思ってたんだが、メイドさんの1人、若い方の方は同行するらしい。
お年を召されているメイドさんは、この屋形を取り仕切る家令らしい。
ヒルデガルデさんが留守している間、館を取り仕切るんだってさ。
後、ヒルデガルデさんの世話係として、使用人が2人同行ってね。
いや、大所帯やねぇ。
ああ、若いメイドさんだけど、ヒルデガルデさんの護衛らしい。
子爵家所縁の騎士なんだってさ。
普段はメイドとして仕えているけど、外出時は騎士の身姿になるらしい。
ん?
くっ○さん?
なんちゅーこと言うねん!
あ、ちなみにオークみたいな種族が居るみたいです。
人族だから、モンスターあつかいを、しないように!
「出掛けず、探索系魔術も覚えたし。
さて、どうしましょう?」
「暇なら、防御系の魔本でも複写しておれ。
複写した魔本はドラグスケールなれば売れるしのぅ」
あ、お小遣いですね、分かります。
「分かりました。
けど、僕が複写したら、すべて原本になりますけど、売れるんですか?」
確か、原本を売ったら、入手経路を問いただされたりして騒ぎになる、ってたよね?
「素直に藤吾が複写して作った原本じゃと告げるわい」
いや、そんなことをされたら、俺の身が危険になるんじゃぁ。
「それって、僕が狙われたりして、危なくないです?」
だよね?
「藤吾じゃから大丈夫じゃ」
いや、あつかい酷くありません?
「なんで、僕なら大丈夫なんです?」
そう尋ねたら、呆れられた。
「探索系魔術を覚えたソナタは、どうせ常時発動させておるのじゃろ?」
「いや、そのですね。
僕が発動させている訳ではなく、転移門が発動させているんですよ。
僕は、転移門から情報を貰っているだけなので」
そう告げたらさ、軽く頭を左右に振られたんですが。
なんか呆れられた?
「無茶苦茶じゃのぅ。
流吾じゃわい。
つまり常時索敵され、危険など、何かあれば知ることができる訳じゃ。
しかも藤吾だけが入れる、時を止めた空間じゃ。
そこへ入れば我らにとっての刹那に、休息を取ることも出来よう。
つまり、寝込みを襲われることも無い訳じゃ。
それに、ソナタへは顕現させた2精霊方々が居られるじゃろ?
あの方々が、藤吾へ害なす者を放置するハズも無いでな」
あー、そう言う意味では安全なのか?
だけどさぁ。
物語の定番的には、俺の周りの人達が危険かな?
「僕へ害を及ばせれないなら、周りへ、ちょっかい掛けないですかね?」ったらさ。
「じゃから、防御の魔術なのじゃ」ってね。
いや、どゆこと?
「どうせソナタのことじゃ、術式を行使したら掛けっぱなしじゃろうの。
そして、ソナタの力は、ソナタの力場範囲内となるのじゃが、この地方を軽く覆うほどらしいのぅ。
つまり、ソナタが守りたい者へ防御系魔術を掛けておけば、その者を守れようぞ。
さらに拉致されたとしてもじゃ。
ソナタの探索系魔術と転移門とやらで、容易く見付けられようし、時止めや転移門にて楽々救出可能じゃ。
なんとなく纏めてみたがのぅ。
ほんに、ソタナは滅茶苦茶じゃのぅ」
なんか、呆れられてばかりですが、コレ、俺が悪いのか?
って、ん?
「ヒルデガルデさん」
「なんじゃ?」
「なんで、僕の力場範囲が広いのを、知っているんです?」
教えてないよね?
「精霊様に聞いたぞえ」
いつの間にぃ!
「え?
いつです?」
そんな暇あったけか?
「ソナタがケーキを食べて惚けておった時じゃな。
結構な時間、惚けておったぞえ」
あの時かぁ!
あ、あれは、ね。
美味いケーキが、悪いのだよ!
そう、そうに違いない!
「そ、そうだったんですね。
さぁーてぇ、魔本を複写しますかね」
誤魔化した?
なんのこと?
定番?
様式美と言いなさい!




