さぁ、複写だ、魔術習得だ!
「ハァ?
なにを言っておるのじゃ?
訳が分からんぞぇ?」
うん、絶賛パニック中なんですね。
分かります。
「いや、魔術陣から樹精霊力を代替えに複写できる、って感じられたんですよ。
だから試してみたら出来たんですよねぇ」
「いや、そんな規格外なことを、サラリとされてものぅ。
しかも5冊できておるようじゃが?」
ああ、コレね。
「なんか、込める樹精霊力を増やせば、複写して出来る魔本を増やせるみたいですよ。
試してみました」
あ、盛大な、ため息を吐いてらっしゃる。
どうしたんだろ?
「アレは藤吾なんじゃから、藤吾なんじゃ。
じゃから、藤吾みたいなことが起こるのは当然じゃ。
良し、証明完了じゃて」
いや、なに?その理論?
確かに、俺は藤吾だけどさぁ、なんか釈然とせんぞ!
「あ、そうそう」
「今度はなんじゃ」
凄く疲れてらっしゃる。
魔本の選定って、大変なんだなぁ。
「生活魔術の魔本を複写したじゃないですか」
「うむ、そうじゃな、それで?」
「複写したら、生活魔術が習得できたみたいなんですよ。
まぁ、原本を通して作るんだから、当たり前ですよね?」
そう告げたらさ。
「そんな訳、あるかぁっ!」って、怒鳴るんです。
酷いよねぇ。
「はぁ、もぅ、なんと言うデタラメじゃ。
うん、アレは藤吾、藤吾じゃ。
だから藤吾だからじゃ」
なんかさぁ、人の名前をブツブツと繰り返してるんですが?
どったんだろ?
「それで、複写する探知系魔術の魔本は、どれなんです?」
そう尋ねたら、盛大に、ため息を吐かれたよ。
なんか疲れてるみたいだね。
そんなに魔本選びって、大変なの?
なんか気の毒になってきたよ、俺。
「探知系には色々と有るんじゃが、気配を探知する魔術はないのじゃ。
もし興味があるなら、遣いに出ておる者に詳しい者が居るでな、帰って来たら聞くが良い。
魔術で習得できるのは、熱源探知、生命探知、音探査、匂い探査、振動感知などじゃ。
まだ有るらしいのじゃが、我が持つ魔本は、コレくらいじゃのぅ」
なるほど、5種類かぁ。
全部覚えられるかは分からないけど、試してみるかな。
「じゃあ、5冊づつ複写しますね」
そう告げて、魔本を複製しました。
うん、俺を介して魔本が精製されるからさ、魔術を自然と習得できたよ。
「出来ました。
魔術も習得できましたよ」
いや、なんかさぁ。
呆れたように俺を見るだけで、何も言わないんですが?
しかし原本と複製本との違いって、なんだろね?
俺には同じに見えるんだけど?
聞いてみるか。
「あのですね」
「なんじゃ?」
なんか機嫌が悪いなぁ。
どうしたんだろ?
「いや、僕には、原本と複製本の違いが分からないんですよ。
どちらも同じに見えまして」
そう告げると、ヒルデガルデさんが、ホッとした顔にね。
しきりに頷きながらさ。
「そうじゃろ、そうじゃろ。
藤吾にも出来んことがあるわなぁ」
なんか嬉しそう?
どったの?
「ふむ、藤吾が作った複製本を貸してみるが良い」っうからさ、作った複製本を渡したんだ。
したらな。
「いや、原本ではのぅて、複製本の方じゃぞ?」
そう返されたんだけど、あれ?
間違えて原本渡した?
俺は首を傾げながら、もう一冊、渡したんだけどね。
「いや、複製本を・・・
なぜ、同種魔術の魔本に対して、原本が2冊あるのじゃ?
まさかっ!
お主ぃ!
複製本ではなく、原本を複写にて作りよったのかぁっ!」
え?
そなの?
ああ、道理で原本と複製本の違いが分からないハズだ。
両方ともが原本なら、違いがないんだろうね。
疑問が解決して、スッキリしたよ、うん。
「原本複写にて、原本を作り出すでないわっ!
規格外にも、程があるわっ!」
え?
なんか不味かった?
「原本から原本を作ったら、何か問題があるんですか?」
なんか、やっちまったかぁ?
「い、いや。
悪いことでは、ない、うん、無いんじゃぞ。
」




