探知系魔術を覚えに来ましたよ、え?在庫ないの!?
忙しそうなヒルデガルデさんが、チラッとコッチを見てな。
「なにか用かぇ?」ってね。
だからさ。
「探索用の魔術を、魔本で覚えろ、ってたじゃないですか。
だから来たんですが」
そう返したんだがな。
「うーむ。
それは、ちと待つのじゃ。
対象を選定しておるのじゃが、在庫がのぅ。
複写本を作らねばならぬゆえ、直ぐには行えんでな。
それに、この手の魔本より属性魔本を優先しておったでな、魔力も心許ないでなぁ」
あ、在庫ないんだぁ。
なら仕方ないかな。
「我以外に、魔本が複写できる者が居れば良いのじゃが、ふぅ」
大分、お疲れみたいだ。
「できる者かぁ。
ハッ!
可能がある者が居るではないか!
当初、それも視野に入れておったのに、失念しておったわい」
ん?
なんだろね?
「藤吾。
ソナタ、複写魔術の魔本を使うのじゃ!
さすれば、探知系魔術の魔本を複写できるでな。
我の苦労も軽減されると言うものじゃて」
ああ、確か、そんなこと言ってたけか?
「別に構いませんよ」
そう告げると、ヒルデガルデさんが魔本を渡してきたよ。
複写魔術ってヤツの魔本なんだろう。
受け取った俺は、早速魔本を開く。
しかし、この魔本って不思議だよなぁ。
読む必要すらなく、適合者が開いたら自動習得なんだぜ。
だからさ、何が書いてあるのか分からない。
なにせ、開いた途端に爆発して、魔術陣が瞬時に展開して瞬時に俺へと吸い込まれるんだからな。
だから、読む暇なんて無いわさ。
っか、前は魔術陣が展開していることに気付かなかったんだよ。
本当に、気付けない刹那に展開し吸収されるからな。
なんか、意識するようなことがあると、時の流れが遅くなっている。
今、確信したよ。
「やはり習得しおったわぇ。
流吾じゃのぅ」
だぁーらぁ、流吾ちゅーなっ、ちゅーねん!
「これで魔本を、複写できるようになったんですかね?」ったらな。
「そうじゃ。
まぁ、試すなら、生活魔術からじゃの。
コレならば、原本を作るのも容易いでな。
それでも3日は掛かるのじゃが」って、ため息を。
あー、原本を作るの大変なんだね。
「複写魔術みたいには、できないんですか?」ったらな。
「流石に原本は手書きじゃな。
しかも、魔力を込めつつ魔法陣を刻み、発動術式と呪文を綴らねばならんのじゃ。
コレが手間でのぅ。
間違えたりしたら破棄して、最初からじゃ。
かなり疲れるで、あまり、しとうないのぅ」
かなりキツそうだね。
俺は遠慮しときます。
「むろん、藤吾にも覚えて貰うでな」
イーヤァー!
「さて、実際に生活魔術の魔本を複写してみるが良い」
そう告げ、ヒルデガルデさんが本を渡して来る。
術を発動しようとすると、術式がなんとなく分かる。
それから遣り方を得て発動なんだが・・・
「これ、素材が要るんでしたよね?」
素材がないって、発動しなかったんですが。
「ふむ。
正しく発動しておるな。
素材も貴重ゆえ、最初は空撃ちするのじゃよ。
さすれば、素材なしと術者が判別できるでな。
それを確認してから、初めて複写となるのじゃ」
なるほどねぇ?
確か、精霊樹の落ち葉が素材だったけ?
しかも、それを加工した物を使用するハズだったな。
ん?
複写の魔術陣から知識が。
え?
樹精霊力で代替え可能?
陣へ樹精霊力を流せば、複写できるってぇ!?
マジでぇ!
ふむ、試してみるか。
そう考え、樹精霊力にて複写魔術を発動する。
すると、スンナリ発動したよ。
派手な現象などは発生せずに、生活魔術の複製魔本が5冊現れていた。
「はぁ?
藤吾、ソナタ、なにを、した、の、じゃ?」
なんか、片言みたいな話し方になってますが?
「いや、魔本を複写したんですが?」ったらな。
「素材無しでや?」ってね。
「なんか、樹精霊力を使えば、創れるみたいですね。
コレなら素材要らずですよ」
お得だよね!




