え?代わりに昼食たべろ?異世界料理ですか、さいですか!
支度不用なら、魔本で俺が魔術を覚えたら出発するのだろうか?
そう思っているとな。
「ふむ。
昼は、菓子を食べたゆえに不用じゃな。
しかし調理しておるのぅ。
藤吾は若いし男ゆえ、まだ食べれるじゃろ?
我の代わりに食してくれぬかえ?」
だってさ。
そっかぁ、コッチは昼前だったんだな。
結構な時間活動した気分だが、元の世界と時止め空間での活動も長かったからな。
それに俺がコッチへ来たのは、ヒルデガルデさんが朝食を食べた後らしい。
しかもコチラは朝が早く、日が昇ると同時に動き始める感じなんだとさ。
なにせ夜は明かりがない。
いや、有るには有るが、油もロウソクも高いため、特別なことが無い限りは直ぐに寝るらしい。
今の季節は日の出が早く、日の入りが遅いんだと。
1番活動時間が長くなる時期らしいな。
そのため、この時期に限り昼寝を行う習慣もあるんだとか。
なんかヨーロッパで、昼寝する習慣がある国が無かったか?
もしかして、それも同じ理由なのだろうか?
まぁ、よく分からんが、ちょうど厨房へ居ると言うことで、俺の前に配膳がな。
ヒルデガルデさんは、書庫へ戻ったよ。
魔本の選定をし直すらしい。
ご迷惑お掛けしますです、はい。
配膳されたのは、数枚の薄焼きパンを重ね、パンの間へ具材を挟んだ品だった。
コレにスープが付く。
野菜のゴッタ煮に、肉を焼いた物。
魚の切り身を焼いた物。
そんなんが具材としてな。
片手で掴める大きさで、それが3個だ。
ミルフィーユ風バーガー?
下の段が大きくてな、半分に折り曲げて食べるんだと。
使用人が教えてくれたよ。
ん?
素朴な味?
っか、薄味?
いや、味が無くないか?
思わず自宅から調味料を転移門越しに取り、時止めした料理を各層別に持ち上げてから掛ける。
なんでもかんでも、味変って言えば良い訳ではない。
コレだけ調味料掛けたら別物だからな。
料理を全否定に近いだろう。
うーん。
魚は美味い。
いや、普通か?
肉はさぁ、ワイルドっうか、結構臭い。
これ、香辛料が必須だな。
塩胡椒では追いつかない。
だから、焼肉のタレを付けてみた。
うん、食えるな。
野菜煮へは、粉末ダシとケチャップにタバスコを。
うん、なんか根菜にエグ味とか苦味があるけど、なんとか食えるな。
これをパンで挟んで。
うん、なかなかにカオスな味だ。
食えることは、食える。
だが美味いとはなぁ。
間違っても、友人には薦められない。
姉や妹へ食べさせたら叩かれて、暫くは口を聞いてくれないだろう。
つまりは、そう言う味だ。
あー、後2つも有るんですが?
調味料で誤魔化すには、限界があるぞ。
しかも魚以外は、多分だけど素材に難があるんじゃないかな?
本で読んだ話しだと、今の野菜は品種改良が進み、昔に比べたら別物くらいに美味くなっているらしい。
おそらくだが、この煮込まれた野菜は、原種に近いのではないだろうか。
肉もだ。
家畜も品種改良にて、肉が美味くなってるらしい。
それと本で読んだ限りでは、血抜きしたり肉を冷やしたりしないと、肉は劣化するんだとさ。
いや、小説知識だから、実際にそうなのかは知らんぞ。
だが、こんなに臭いのは、そう言うことじゃないかと、ね。
こうなると、この侭で食べるのは厳しいな。
仕方ないから、皿を持って自宅へと。
台所へ行き、冷凍庫を漁ると冷凍した鶏肉が。
これと、パンに挟まれた肉をフードプロセッサーへ。
ひき肉にしたトコロヘ、生姜とニンニクを追加。
お?
大葉が野菜室にあった。
コイツも追加だ。
コレを平たく形成し、両面を焼く。
焼いたら焼肉のタレを付けてからパンへ。
野菜煮はなぁ。
これ、無理です、はい。
肉から外して捨てました。
そして、具を外した侭でパンを折り曲げる。
うん、野菜煮を捨てたのは、分からないな。
この状態でアチラの厨房へと。
時を動かし、すぐさま食べ切る!
証拠隠滅?
仕方ねーだろ!
テメーらも、食ってみたら分かるわい!




