世は弱肉強食!って、あんなん倒せるかぁ!
「コイツら、そんなに危険なんです?
っか、普通は、ココらには居ないんですか?
じゃぁ、どこから来たんだろ?」
謎だ。
「いや、山の山頂付近ならば生息しておるのじゃ。
じゃが、あまり暖かな場所へは降りて来ぬハズなのじゃかのぅ。
山頂付近で何かあったのじゃろか?」
あー、山頂付近ねぇ。
万年雪でも積もっている場所なんだろうか。
このテイガとトラルは、白い毛皮を纏っている。
そう言う種と言うか、雪山へ住まうからなんだろう。
そうだなぁ、テイガは白虎って言えば分かるだろうか?
左右に2つの目が、それぞれ並んでおり、前足の爪が異様に長いけどな。
さらに言うと、かなりの巨体だ。
一般乗用車より大きい、って言えば想像できるたまろうか?
そしてトラルだが、イエティとか雪男っう感じ?
全身が毛で覆われた猿?
うーん。
猿やゴリラよりも人に近い感じか?
口の中は鋭い牙がゾロリと並び、額にも目がある。
転移門へ映るヤツは、棍棒らしき物を持ってるな。
凶暴そうで知性があるようには見えない。
今も狩った獲物へ齧り付いているんだが、当然生肉だ。
血が滴り落ちて毛を汚しても、頓着してないしな。
うん、明らかにヤバいヤツらだな。
「コイツらって危険ですよね?
避けてリバーウッズまで行く道は在るんですか?」
転移門を上空へ上げてから俯瞰した感じでは、無いみたいなんだけどな。
「川を船で渡り、対岸の道沿いに向かうことも可能じゃ。
じゃが、船は物質調達へ出しておってな。
しばらくは戻って来ぬのじゃ。
徒歩や馬車を使うならば、この道しかないのぅ」
あ、馬車もあるのね。
「移動は馬車で?」ったらな。
「コチラもドラグスケールへ遣いに出しておるのじゃよ。
ゆえに、コチラも使えぬのぅ。
しばらくは怪我の養生もあり、出掛ける予定はなかったでなぁ」
ああ、本人は出歩く気はなかったから、遣いを出してた、っと言う訳ね。
「ん?
じゃぁ、馬車が帰る前に討伐しないと、馬車が襲われません?」
不味いよね。
「まぁ、行商人や旅人も使う道じゃてな。
この侭では不味かろう。
じゃが、今、我の庵に住まう者じゃと、退治が厳しい。
戦える者は、遣いで出しておるゆえにのぅ」
そう困ったようにね。
うーん。
虫以外で、生き物を殺したことは無いんだけどさ。
これ、退治した方が良いよな。
「僕、生き物は虫しか殺したこと無いから、ちょっと抵抗があるんですけどね。
僕が退治しましょうか?」
あんまりしたくは無いんだが・・・
「はぁ?
またイキナリ、ソナタは何を言うのじゃ?
アヤツらをソナタが倒すと?
できるハズあるまいが」
そう呆れられたよ。
だからさ。
「いや、多分ですけど、簡単に倒せますよ。
しかも危険を犯さずに、ですね」
「いや、藤吾よ。
アヤツらを侮るでないぞぇ。
魔術も効き難いゆえ、ヤツ等から術者を守る者が必要じゃ。
容易く倒すなど、軽々に申すでない」
そう叱られたんだけどさぁ。
「いや、現地で討伐しないですからね!」
そんなん怖いやん!
「はぁ?
ソナタは、なにを言っておるのじゃ?
分かるように告げぬか」
そう促されたから、説明をね。
「いや、転移門を使うだけですよ。
魔虫を倒したみたいにです」
そう告げると、ハッっとしたように、俺を見た。
「なるほど、時を止めてから、ヤツらへ攻撃するのじゃな。
それなら安全で、容易く退治もできような。
そうなると、欲も出るのぅ。
ヤツらの肉は臭くて食えぬらしいのじゃが、毛皮は極上じゃ。
高値で取り引きできるでな、あまり傷付けて欲しゅうないのぅ」
へー、そうなんだ。
「他にも高値で売れる箇所とかあります?」
一応は聞いておく。
「ほうじゃのぅ。
牙や爪は売れるし、他にも薬材になる箇所もあると聞いたわぇ。
家の使用人に解体が上手い者がおってな、その者が詳しかったハズじゃて」
そうなると、あまり傷付けない方が良いだろう。
さて、どうしよう。




