さて、デリバリーです。ありゃ、大騒ぎ!?
「ふむ。
下の厨房で支度しておるハズじゃて。
しかし、藤吾の世界で用意した菓子かえ?
ちと、興味あるのう。
我も一緒に行こうわい」
そんなん、仰るんですがね。
「普通の移動だと、キャリヤーが通れないですね。
だから先に行ときますよ」
「仕方あるまいの。
では、我も行こうわえ」
っうことで、やって来ました厨房です。
うん、皆さん仰天ですね、済みません。
そらぁ、なにも無い場所へ、イキナリ俺が現れたんだからなぁ。
ビックリもするわさ。
悲鳴も上がったので、周りから人が駆け付けて来たりなぁ。
あ、精霊ズもですか、さいですか。
「なぁーんだ、ワーちゃんか。
ワーちゃんなら、大丈夫だね。
行こうか」
いや、フォーさん?
ちと、扱いが酷くないですかね?
そんな所へヒルデガルデさんが到着。
全く急いでないみたいなんだが?
「騒ぎになったのに、ゆっくりでしたね」ったらさ。
「当たり前であろ?
藤吾が転移したのじゃからの。
イキナリ現れれば騒ぎにもなろうて。
それに、藤吾が転移で急に現れることは伝えておる。
それでもイキナリ現れれば、人は驚くでな。
危険はないゆえ、慌てる必要などないわえ」
あー、折込済みですか、そうですか。
「そんなことよりもじゃ。
はよう、藤吾が用意した品を見せぬか」
はいはい。
まったく、興味津々なんですね。
困ったもんです。
ヒルデガルデさんに促されて、キャリヤーから梱包されたケーキの箱を出す。
「なんじゃ?
紙のような菓子じゃのぅ?」
そう来たかぁ!
予想外だよっ!
「コレは、菓子を紙の箱へ入れ梱包しているんですよ。
写真が付いているでしょ。
その写真の品が入っているんです」ったらな。
「この絵は凄いのぅ!
こんなに精密な絵を描ける画家が、ソナタの世界には居るんじゃのぅ」てさ。
あれ?
スマフォ見せたよね?
「前にコレ、見せましたよね?」
そう告げてスマフォを見せる。
「うむ、見たぞぇ。
それが、どうしたのじゃ?」
あら?
通じてない?
なんで?
「これで、ヒルデガルデさんを写して見せたじゃないですか。
アレと同じように菓子を写して、それを印刷したんですよ」ったらな。
「なっ!
そのような魔道具が、他にもあると言うのかぇ!?
しかも、紙へ写せるじゃとぉ!
ソナタの世界は、どうなっておるのじゃ!」
あ、説明モードに入ったら長くなる!
なんとか回避せねば!
「そんなことより、ケーキですよ、ケーキ!
この菓子は有名な料理人が作った品なんです。
少々、値が張りましたが、絶対に美味いハズです!
さぁ、精霊様を持て成すだけでなく、皆で食べましょう」
俺の言葉に、興味はケーキへと。
まぁ、写真を見るだけで華やかな品だ。
フルーツ盛り沢山のケーキを最初に出したからな。
そらぁ、写真でも見栄えがよろしい。
チョコ系は、チョコを知らないと黒い物体だ。
美味いか分からんだろう。
だから、分かり易い品を先にな。
梱包を解き箱を開けると、ドヨドヨドヨってな。
そう騒めくのも仕方ないだろう。
「な、なんと言う品を、持って参ったのじゃ!
このような品は、帝都にもあるまい。
宝石のような菓子ではないか!」
ヒルデガルデさんが、仰天していますね。
あー、もしかして、この世界にはケーキが無い?
「この世界って、もしかして、お菓子が無いとか?」ったらな。
「バカにするで無いわっ!
スイートロールなどの菓子はあるぞぇ。
高価ゆえ、滅多に買えぬがのぅ。
じゃが、これほど大きくはなく、見栄えものぅ。
ふむ、じゃがの。
問題は味じゃてな」
あー、はいはい。
食べたいんですね、分かります。
とりあえずは切り分けることに。
当分に切り分けないと騒ぎになりそうだなぁ。
で、誰が切り分けるんだろーねぇ。
「さて、買って来ましたから、後は任せて良いですかね?」ったらな。
「ふむ、切り分けては、くれぬのかや?」ってさ。
いや、マジで?




