さぁ、取り引きだっ!内心は、ガクブルなんです。
「コレなんだがね」ってから、24金製のトランプカードを出す。
ジョーカー2枚入りで、綺麗にカードの柄が彫り込まれた品だ。
昔は180万円くらいで手に入ったらしい。
だが、大災害時代に、貴金属を保管していた場所が、かなりヤラレタそうなんだよ。
レアメタルもだが、金やプラチナなどは市場では枯渇気味でな、この程度の品でも300万円は下らないらしいぞ。
まぁ、だからトランプカードに加工したんだがな。
しかもカードケースも金。
ある意味、悪趣味な品だ。
「ほぅ?
トランプか。
18金かね?」っうからさ。
「24金だ」ってね。
「ううむ。
24金製のトランプカードと来たかぁ。
セレブ連中で、探しているヤツが何人か居たな。
そうだな。
50,000コルドで、どうかね?」っうからさ。
「日本円でも可能か?」
そう尋ねてみたよ。
「ふむ、日本円ならば700万ってとこだな」
うや?
予想の倍以上なんだが?
「俺は構わんが、えらく高値だな?
大丈夫なのか?」
そう告げたらな。
「そうだな。
トランプ柄が稚拙ならば、350万くらいか。
しかし・・・この精密な柄はなんだね?
これほどの細工がされていたら、芸術品としても通用するだろうさ」
いや、魔術でイメージを刻み込んだだけで、大した手間は掛かってないんだがなぁ。
「つかぬことを聞くが、細工がされてない金。
そうだな。
素材として使える金は、持って無いかね?」
ん?
何故だ?
「100gインゴットが有るが、何故だね?」
昔は1gが1万5千円程度だったが、今は1g 3万円はするだろう。
だが、このような場所だと、インゴットは買い叩かれたハズだ。
ネット情報だがなっ!
「100gかぁ。
大きいのは無いのかい?」
そんなん言われてもなぁ。
金って、結構な重量なんだぜ。
ネットで調べたら、俺がイメージしたのは12.5kgの金塊だな。
アレは商取引きで使用される物で、個人投資などでは使わない。
まぁ、個人用なら1kg程度までだろう。
100gなら数個を楽々運べるが、あまりデカいと重くて運べないからな。
「いや、生憎、100gが数枚だな。
1kgが数個は入手できるかとコレを持って来たが、無駄だったよ」
そう言って、ジュラルミンケースを持ち上げて見せる。
これは昔に親父が出張で使ってたヤツだ。
今は新しい鞄を買ったから、倉庫で埃を被ってたんだわ。
「なるほどな。
無いなら仕方あるまい。
その100gインゴット、引き取らせて貰えぬかね?
そうだなぁ、1枚350万で買い取るぞ」
いやいや、おかしいだろ!
「いや、オヤジ、その値付けは、おかしい。
今の相場は1gあたり3万だったハズだ。
1g 3万5千は、破格過ぎないか?
まぁ、俺は得するんだが・・・」
「ははぁーん。
お客さん、古い相場をネットで見なすったね?」
ん?
どう言うことだ?
「金てぇのは、投資などの商取引きで使うだけでは無いんでせ。
精密機器には欠かせない素材でしてねぇ。
この度、新たなモバイルが発明されたんですが、コレにも金が必要なんですわ。
ただ、金は不足気味でしてね。
間の悪いことに、複数の企業が新製品を新たに開発したらしいんですが、コレらにも金が必要でねぇ。
取り引きしてる企業から取り寄せを頼まれるんですわ」
オヤジの口振りから、企業は高値で買い取っているのだろう。
買い取りとの差額がオヤジの取り分だから、損しない値段では企業が買うんだろう。
なら企業へ直接持ち込むか?
それは、ダメだな。
絶対にトラブルになるだろう。
まぁ、元々魔力から作り出した代物だ。
だから、売れた分が純利益となる。
あまり欲を掻いても、良いことにはならんだろうしな。
「分かった。
コレで良いか?」
そう告げ、5枚の100gインゴットを。
オヤジは受け取ったインゴットを確認し頷く。
「えらい質の高いインゴットだね。
インゴットで、千750万だ。
トランプが7百万。
合わせて2千450万だが・・・お客さんは、まだインゴットの当ては有りなさるかね?」
ん?
なんで、そんなことを聞くんだ?




