ヒルデガルデさぁーん、相談に乗って、ください、なっ、と
まぁ、居たい、っと言うなら、そのまま放置してさ、別の精霊を召喚すれば良いかな。
そんな考えを見透かされたようでな。
「間違えても今の状態で、別精霊を召喚するでは無いやえ。
低位や最下位の精霊やと、あの精霊を襲うやもしれぬやでなぁ。
まぁ、下位精霊ならば意思の疎通が可能やが、あの火精霊ごとく、コチラへの滞在を望むやろうなぁ。
面倒に思わぬならば、やっても良かろうがのぅ」
そんなん言われましたが?
いや、そんなの嫌なんですが?
うーん、どうするべきか・・・
「ちなみに、どれくらい滞在したいとか、あるんですかねぇ?
聞いて貰えません?」
顕現でなく召喚の場合は言葉を発せられないみたいでな、俺ではコミニュケーションが取れそうに無いんだわ。
「ふむ。
渡部殿は念話が使えぬからのぅ、仕方が無いやろうや。
ちと、待つのや」
そうアロンさんが告げて黙り込む。
多分だが、念話で火精霊と話しているんだろう。
「ふぅーむ。
どうも、この世界の生き物を見てみたいようやな。
できたら知的生命体と会ってみたいんやと」
ん?
「なら、ココに居るじゃないですか?」
俺って、生物で知的生命体だよ?
「規格外は論外じゃと、言っておるやなぁ」
ヒデェっ!
「いや、俺は一般的な人間だぞ。
まぁ、転移門が着いて来るようになったけどさ」
俺は普通だ、普通!
規格外なのは、転移門だからなっ!
抗議しても聞き入れて貰えませんでした。
グスン。
かと言って、あの集落へ行くのはダメだろう。
火の精霊だから召喚して近付けば、害意ありと取られても文句は言えないだろーなぁ。
「あー、ちょっとヒルデガルデさんに確認して来ます。
ココで待ってて貰えます?」
そう告げると納得してくれたよ。
「分かったやぁ。
なれど、早めにやでな」
そう言われたからさ、言われたからには最速っしょ!
俺は転移門を潜り、時止め状態で転移門を瞬間移動させる。
ヒルデガルデさんの館なら、移動可能だからな。
彼女が何処へ居るかを探り、書庫に居ることを確認。
流石に、直接部屋へ入るのは、NGだろう。
だから部屋の扉前に出てからドアをノックする。
「誰じゃ?」
そう応えがな。
だからさ。
「藤吾です。
相談したいことが出来たので、お時間いただけないでしょうか?」ってね。
したらさ。
「良かろうわぇ。
入るが良いぞえ」ってね。
許可貰えたからさ、書庫へ。
「何か有ったのじゃ?」
そう尋ねられたからさ、火精霊のことをな。
「はい?
もう、精霊力が分かったと言うのかえ?
大概じゃの、ソナタは」
呆れたようにな。
「それで精霊様方の顕現は、後回しかえ?」
ん?
どゆこと?
「フォーさんとアロンさんは、既に顕現していますけど?」
なんで、そんなことを聞くんだ?
「はぁ?
顕現は、召喚より遥かに難しい技術じゃぞ?
なのに召喚に慣れる前に顕現を行えたじゃと!?
なんと言う出鱈目じゃ!」
あ、そうなんだ。
しかし、そんなに難しかったか?
「いや、術式発動で頭に浮かんで来た内容へ従っただけですけど?」
「はぁ?
術式が、頭に浮かんだじゃとぉ?
なんじゃ、それは?
普通は召喚を意識すると、眼前に術式から魔法陣が展開し、それを起点に召喚するのじゃが?
え?
まさか、ソナタ・・・術式を理解したとは言わぬよな?」
理解?
理解は無理だなぁ。
「構築理論や、術式の意味を1つ1つ理解できてはいませんよ。
ただ、なんとなくですが、どの術式が、どのような効果を発するかは分かりますね。
その程度ですけど?」
「十分過ぎるわえっ!
誰も、長年術式を研究して来た研究者みたいなことは、のぞんどらんわい。
と、言うかじゃ、どうして術式の効果を理解できておるのじゃ?
普通の魔術師が、その領域に達するに、何年研鑽を重ねるか知っておるのかえ?
ズル過ぎぬかえ?」
いや、そんなキィィって感じで言われてもなぁ。
困ったなぁ、これ。




