火精霊、召喚!ってぇ、あにすっだぁ!
バンっ!バッシュっ!
結構な音を立てて火精霊が現れた。
現れたが、現れた場所から動こうとしない。
術式に縛られているからか?って思ったんだけどな。
いきなり、フォーさんとアロンさんへ、火球を放ったんですが?
なにするんじゃぁっ!ごらぁっ!
「どう言うつもりだぁ、コラァ!」って、火精霊へ怒鳴るとな、軽く火球を掻き消した2人がさ。
「ふぅ、無駄であるや」
「そうだよね」
ん?どゆこと?
不思議そうに2人を見ると、放たれ続ける火球を消しながらな。
「やはり最低位の精霊が召喚されておるやでなぁ。
まだ意思も確立しておらぬやろうからのぅ。
本能で動いておるやで」
いや、なんで最低位?
俺が困惑していると。
「ワーちゃんの力が強過ぎるんだよ!
意思のある精霊なら、怯えて召喚に応えないと思うんだぁ。
もう少し、力を抑えられないかなぁ?」
フォーさんに、そんなことを言われたんだけどさぁ。
「いやいや。
召喚は術式が自動で行ってるからね!
だいたい、精霊力自体が分からないのに、力を抑えるなんて無理だよ!」
そしたらアロンさんがな。
「まぁ、そうであろうやなぁ。
ゆえに、最初は最低位の精霊が召喚されると思っておったやでな。
ほれ、早く送還せぬかや」ってことをな。
まぁ、確かに送還の仕方は確認しているから出来るけどさ。
ハッ!
コレを想定して確認させたのかっ!
俺は直ぐに送還をな。
「火精霊、送還!」ったら直ぐに術式が発動して、火精霊が送還されたよ。
しかし、なんでイキナリ2人を攻撃したんだ?
「2人共、大丈夫?」ったらな。
「あの程度の精霊からの攻撃やと、全く問題にならぬであるなぁ。
妾らは中位精霊やでな、最低位精霊ていどなど相手にならぬのやで」
「そだよ。
それにさ、僕たちはワーちゃんが両手の魔力球を纏めて顕現した存在じゃない。
片手の魔力球で召喚した精霊より強くて当然さぁ」
ん?
どゆこと?
いや、魔力球の魔力総量が違うんだから、当然なのか?
そう思っているとな。
「精霊を呼び出す際の精霊力量によってやな、呼び出される精霊の格が変わるのやでなぁ。
しかも召喚と顕現では、呼び出す世界に対する親和性が違うのや」
「そうそう。
だからさ、あの程度の精霊から攻撃されたって、大したこと無いんだよね。
むしろ、ワーちゃんが攻撃される方がヤバいからね。
まぁ、火精霊は水精霊と対極存在だからさ、無意識に嫌悪するんだよね。
意思があれば、それも抑えられるけどさ、意思のない最低位精霊は本能で動くからねぇ」
「逆に木精霊は、火精霊にとって燃やす対象であるや。
ゆえに、本能に従い燃やそうとしたのやなぁ」
あー、精霊同士の相性があるって訳ね。
「まさか、2人を攻撃するとは思っても無かったんだ。
ごめん!
他の精霊を召喚してみるよ」ったらな。
「それは待つのや」
「そだね、火精霊を召喚した方が良いよ」
?
その心は?
首を傾げる俺へな。
「先ほど召喚したゆえ、火精霊との親和性が生まれておるハズやでなぁ。
続けて行くと、召喚術式へ火精霊力が馴染むやろうから、馴染ませて行くと良いやろうやぁ」
「そうそう。
そしたらさ、精霊力も何となく分かるようになるかもよ?」
そう、2人に説得されて、まぁ、納得した訳なんだがな。
「なぁ」
「なんやえ?」
「これ、いつまで続ければ、良いんだよ?」
既に57回ほど続けてんですが?
キリ無いわっ!
「あのね、ワーちゃん」
ん?
なんだろ?
「ワーちゃんって、途中からさぁ、惰性で、お座なりに召喚してないかなぁ?
良く集中したら、精霊力の流れとか、分かるんじゃないの?」
フォーさんが呆れたように。
え?
い、いや、確かに途中からさ、面倒になってけどさぁ。
そりゃ仕方なくね?
人間、そんなに集中力を持続できるもんでもないしさぁ。
それに、セミオートでの発動だからね。
しかし、言われてみたら、そうなのか?
で、意識しながら召喚してみたら・・・
「分かったぁ!
精霊力、感じられたよっ!
これが、精霊力なんだなぁ」
「ようやくであるや?
ちと掛かったのぅ」
アロンさんに呆れられたよ、グスン。




