アロンさんを、顕現するぜっ!
しかし、意識を伸ばすって、なんだよ?
意味分かんねーよっ!
まぁ、兎に角だ。
アロンさんが顕現する気になってるんだから、やりますかね。
「それでは、顕現しますね」ったらさ。
『しばし待って欲しいのや。
意識を力場へ伸ばすやでなぁ』だってさ。
ま、支度が必要なら仕方ないね。
待ちますか。
しばらく待つと、アロンさんからな。
『待たせたや。
準備できたゆえ、顕現して欲しいのやが?』ってさ。
だから精霊樹の幹から手を離し、アロンさんを顕現することにな。
さて、やりますか。
先程と同じく、龍○武闘家の技を真似して!
「アロン、タルトぉ、様ぁ、顕現!」って、魔力球を放つ!
先程と同じく爆発がな。
まぁ、2度目だから、それほどは驚かない、ぞっと。
そして爆発が収まると、そこには木像美女が。
うん、なんて工芸品的な美術品?
「あら、本当に顕現できましたやぁ」って、おっとりとね。
フォーさんの時とは、えらい違いだなっ、をい!
うーん、見事なまでに木像だね。
動く木像だ。
これ、日本なら怪異あつかいじゃね?
まぁ、美人さんなんだけどね。
木目調の風合いを持つ木像なんだが、なぜか和服を纏っている。
振袖ってヤツか?
髪は腰まであるストレートヘアで、一本一本が木みたいだ。
カンザシを頭に刺しているが、コレも木。
顔は切れ長の目に、シュッとした輪郭の顔。
鼻もスラリと伸び、唇は小さめだな。
百人が百人、美人だと告げるような木像だ。
女下駄を履き、素足には足袋も履いている。
振袖へは、見事な柄が刻まれており、透かし彫りが施されたストールを羽織っている。
細かな細工がなされた木像は、本来ならば容易く壊れてしまうだろう。
だか、木なのに人と同じく動いており、細やかな細工にて脆弱そうな着衣は、本物の着物のようだ。
「顕現されたのは良いのですが、もう少し人に寄せられないですかね?」
クリスタルガールと、木像美女だぞ。
それが人のように動いてんだから、これ、絶対に驚かれて警戒されるよなっ!
「それは無理やなぁ。
妾は木の精霊やで、木で顕現するのが当たり前やでな。
フォー殿は、水の精霊であるゆえ、こちらも水で顕現するものやでなぁ」
「そだよ。
さっきも言ったじゃん」
ふぅ。
仕方ないのか。
まぁ、なるようになるか。
「それで、お二人は顕現した訳ですが、何かしてみたいこととかあるんですか?」
そう確認したらな。
「そうやなぁ。
妾は、食べる、っと言うことをしてみたいやぁ」
「あ!
それ、僕もしてみたい!」
へ?
「いや、フォーさん?
さっき、体は純水で、物を混ぜることはできないって、言ってなかった?」
だよね?
「うん、言ったよ。
だから、体に色を付けるのは無理さ」
「いや、だったら、物を食べるのも無理なんじゃ?」ったらな。
「ん?
ワーちゃん、勘違いしてるよ?
物は精霊力が変質した物でもあるんだよね。
だから、口から物を入れたら、水の精霊に変換しちゃうから大丈夫。
生きていたら無理だけど、生きた侭で食べないでしょ?」
うーん、普通は、そうだけどさ。
白魚の踊り食いなんてのも、あるからなぁ。
絶対とは言えないな。
「まぁ、普通は、そうですね。
じゃあ、アロンさんも?」
「精霊としての感覚やと、そうであるな。
自然と、そうであるやと分かるやでなぁ」
ふーん、本能的な何かかな?
まぁ、良いや。
「じゃぁ、お二人を顕現したことだし、召喚の方を試してみますね。
どんな方が召喚できるのか、興味深いです。
お二人と同じように、お話しできるんですかね?」
また、個性的な方が現れるのかな?
「それは、無理だよ?」
「そうであるや。
召喚で呼び出される精霊には意識がないであるやでなぁ。
最下位の精霊で、ある意味、精霊塊とも言える存在やで。
妾やフォー殿はコチラへ渡れる中位精霊やから、顕現できるのやで」
へー、精霊には、そんな階位があるんだなぁ。




