さぁ、2人と会えたことだし、ヤーヤマーサ様邸へ帰りますかねぇ。
迎えに行った2人を連れてヤーヤマーサ様の館へと。
いや、なんで後から、ぞろぞろと着いて来るんです?
なんかさぁ、学び舎へ居た講師さん達が着いて来るんですが。
「いや、君の力量は察せられるのだが、この短期間に屋敷を建て直すなど、ちょっと想像できなくてね。
ちょっと見てみたいかなぁーってね」
あー、信じられないから確認を?
つまり、野次馬さん?
帰れやぁっ!
「ふぅ。
着いて来るのは構いませんが、許可ない者は入れませんからね」ったら、キョトンとされた。
まぁ、何事にもオープンなセリアム界だからなぁ。
家屋や部屋へ鍵を掛ける風習がない。
元々、犯罪自体が起こり難く、さらに犯罪を犯してもセリアムによる検挙率は100%に近い。
まぁ、個人所有と言う認識も薄く、良い物ができたら使って貰いたい者たちばかりだ。
飢えることは皆無で、寝るだけなら空き家を自由にできる。
衣類や家具に小物なども、作るのが好きなアムズや一部のセリアムが作り、それを分け与えているからな。
それようの展示家屋まであり、そこへ置いておけば、誰かが持って行くんだわ。
で、良いと思われた品は直ぐに無くなる。
つまり、人気が出る訳だ。
そんな存在になるのが、アムズさん達の目標ってな。
ただ、人気を得るよりも、己の技量向上や芸術性に特化した方々もな。
人気がなくて空き家となっている家屋の大半が、そんな家だったりする。
で、な。
そんな環境だから、他人から何かを奪うと言う感情が芽生えないみたいなんだよ。
つまり、泥棒や殺人などは皆無でな。
鍵なし家屋や部屋と、なる訳だ。
なので、田舎のご近所さん宅へ村人が遊びに行くかの如く、無許可で家屋へ立ち入ることもな。
まぁ、声掛けして返事が有れば、程度のマナー?は有るんだが。
そんな風習を持つセリアム界の方々には、立ち入り禁止と言われても理解がな。
っか、なんで許可が?ってなもんだわなぁ。
「私の結界にて、ヤーヤマーサ様の許可なく立ち入れないようにしています。
迎えた2人は、ヤーヤマーサ様から許可いただいておりますから問題ないですが、皆様は違いますから」
そう告げたら、ちょっと不満そうにな。
だからな。
「放置したヤーヤマーサ様が悪いのでしょうが、勝手に立ち入るなら廃屋になる前に手を打てたでしょ?
皆さんは、廃屋になったことを知っていたと言うことは、放置したんですよね。
そんな方々へ、私が建てた家へヤーヤマーサ様の許可なく、立ち入って貰いたくありませんので」
実は、ちょっとな、腹を立てたりする。
知らずに放置と、知って放置だとなぁ。
ヤーヤマーサ様は、基本的にお人好しだ。
そして、皆の成長を楽しみ、手助けするのが大好きな方だからな。
ちと、俺も肩入れしたくはなっている。
そんな彼女が、アソコまでショックを受けるようなことに、なったことへ、心底腹を立ててるんだわ。
これなぁ、軽い嫉妬から始まってんだよ。
アカシックレコードは偽れない。
その時の感情もな。
例え本人が忘れていようと、記録は残ってるから。
ヤーヤマーサ様が館を献上された際に、メンテナンスのことに気付いてないと、数人のセリアムは気付いていた。
いずれもが、男神だ。
ヤーヤマーサ様の人気に嫉妬し、さらに男として相手にされない憤りからだな。
女性って、なんかさぁ、メンテナンスとかには気が回らない人が多いみたいなんだよね。
身の回りのことや、細々としたことには気付くんだが、家屋のメンテナンスとかで、行わないと後々どうなるか、とかさ。
まぁ、女神様だからかも知れんけどね。
けど、男神は気付く者もな。
着いて来てる輩にも。
献上時に気付かず、後に気付いた者もいた。
だが、やはりヤーヤマーサ様へは告げてない。
女神様たちは、廃屋になって気付き、オロオロ。
まぁ、言い辛かったんだろう。
だからって、俺が立ち入り許可をするのは違うしなぁ。
で、館へと。
さて、入りますかね。




