俺は人外ではありません!人間です!
「で、藤吾や。
どうなったのじゃ?」
催促なんですね、分かります。
「あーっと、ですね。
僕には分からないんですが、フォーさんが言うには」
「言うには、何じゃ?
はよ、言わんかぇ!」
焦ったそうに言うヒルデガルデさんなんだが、本当に言って良いのか、これ?
ま、良いか。
「そのですね。
分かる範囲では、魔力、精霊力、仙力、聖力、神力とかがあるみたいです。
それらも、色々と別れるらしく。
それに、まだ違う力も有るそうなんですよねぇ。
しかも量が莫大らしいんですよ。
まぁ、これは転移門から流れて来る力で、僕を経由して転移門へ戻っているそうです。
循環している感じらしいですね」
そう告げたらさ、ヒルデガルデさんが、俺をマジマジ見てな。
「のぅ、藤吾よ」ってね。
「はい、何でしょう?」
「お主、本当に人かえ?」
ヒデぇ!
「人に決まってるじゃないですかぁっ!」
「いや、しかしじゃな」
「この訳が分からない力は、転移門のせいですからね!
僕、本来の力ではないですから!
それに、この転移門も、何で僕へ現れたか分からないんです!
僕は普通の人間ですから!」
全く、いきなり何を言い出すんだ、この人は!
「むぅ。
それにしても、ちと、ズルくはないかえ?
その転移門とやらは、無茶苦茶ぞ」
いや、確かに俺も、そう思うけどね。
「でも、そんな力があっても、使い方が分からないですから。
てか、力が宿ってるって言われても分からないですからね。
感じることもできませんから」
どこぞの主人公みたいにさ、考えるで無い、感じるのだ!って言われても、出来ないから!
『ならワーちゃんは、魔術を覚えてみたら?
そして魔力をあつかえるようになれば、自然と魔力が感じられるようになるんじゃないかなぁ。
そこから、他の力も感じるようになれるかもよ?
精霊力が分かるようになったら、精霊力で理へ干渉する方法を教えられるからさぁ』
あー、そんなこと、可能なのか?
『それにさ』
ん?
『精霊召喚の魔術を覚えたら、それを改良して、僕を顕現できるかもしれないじゃんか』
それが目的かっ!
まぁ、良いけどさ。
「また、精霊様が、何か言われたのかや?」
そうヒルデガルデさんから確認がね。
まぁ、いきなり黙って、何かを聞いているような感じになれば、ねぇ。
「まずは魔術を習ったらどうか、って言われてますねぇ。
覚えた魔術から魔力を感じて、その魔力から他の力を感じるようにしたら、ってことらしいです。
できたら、精霊力を感じるようにしなさい、って言われましたよ。
精霊力なら理へ干渉する術を、フォーさんが教えられるそうなので」
そう言ったら、ヒルデガルデさんが得心したようにね。
「なるほど、なるほど。
精霊力は魔力に近しい力だからのぅ。
我も多少は精霊力をあつかえるゆえ、その話は合点が行くわえ。
ならば、精霊召喚の魔術から身に付けるかのぅ。
藤吾ならば、魔本にて容易く覚えそうじゃて」
え?
また魔本で?
「魔本って、そんな簡単に手に入るものなんです?
値段だって、安いとは思えないんですけど」
いや、もしかしたら、魔術は一般的に広まっていて、皆んな使えたりするのか?
魔本も安かったりしてな。
「まぁ、安くはないのぅ。
そう容易く手に入る物でも無いゆえ。
じゃが、我が魔本を作れるでな。
アレは使えぬ魔術であろうと、術式さえしっかりと把握しておれば作れるでな」
へー、そうなんだ。
けどさぁ。
「でも作り方を知っていても、魔本の材料が高いんじゃないんですか?
容易く手に入らない、って思うんですけど?」
素材が容易く手に入るなら普及するし、安くなるんじゃね?
「普通は、そうであるな。
じゃが、魔本の素材として最適なのは精霊樹なのじゃよ。
しかも、落ち葉から紙を漉くことも可能じゃ。
インクも葉を燃やして得られる墨を元に作れるでな。
材料費は実質掛からぬのじゃ」
んじゃ、そりゃぁ!
ちと、ズルくはありませんかね!




