さぁ、町へ帰ろう。っか、宿泊場所、どうしよう?
皆さん、食べ終わるの早いですねぇ。
いや、ジィィィッと器を見ても、食べた料理は戻りませんからね。
「さて、僕は学び舎へ行った師匠の様子を見に行きますから、そろそろ解散しましょうか」
そう告げたら、アムズさん達は頷いて、土産として用意した肉を持って帰って行ったよ。
で、教皇様たちに、ランピアルのお二人、それと女神様2人が残る。
師匠の様子もだが、休む場所の確保も必要だろう。
一旦、町へ戻るかねぇ。
そして町へ戻ったんだが、まぁ、狩ってた場所からさほど離れてなかったしなぁ。
直ぐに着いたよ。
まずはヤーヤマーサ様にね。
「泊まる場所とかは、在るんですかねぇ?
空き家を勝手に使って良いんでしたけ?」
そう確認を。
別に危険とか不利益になることではない。
だから調べてはないんだ。
前にも言ったが、なんでもアカシックレコード情報へ頼るのはさぁ。
テンさんとファーストは理解してくれるんだが、ハクは不満みたいだ。
思考が女性型だからだろうか?
どうも効率優先で、使えるのに使わないのが気に食わないみたいだ。
いや、だってさぁ。
効率だけを追い求めても、面白くないじゃん。
すべて先を知ったら、それこそ楽しみがないからね。
で、その空き家情報なしで、町へ来た訳なんだがな。
「結構な数、空き家が在るんですね。
勿体無くないですか?」
人口の数倍近く家屋がな。
まぁ、建築技術を磨くのに、大工関係者が常に建ててるからなぁ。
「アムズ達にとって、物を造ることが生き甲斐じゃてなぁ。
ゆえに造ることしか考えておらん。
土地が足らねば、そこら辺の森を切り開いておるな。
そんな感じで、ドンドン町が広がったのじゃ。
たまに老朽化した建屋を解体し、そこへも建てておる。
食うに困らぬゆえ、技術を磨くことしか、考えておらぬからのぅ」
うーん、凝り性なのか?
しかし、全ての家屋へ、華美とも言える装飾が。
彫刻もだが、色彩がなぁ。
家屋と言うより芸術品?
とりあえず、空き家の一つへ入ってみる。
入ってビックリ玉手箱。
うーん、見事なホールです。
長椅子も置かれ、壁紙も素晴らしい。
シャンデリアらしき物がホール中央へ。
様々な彫刻が施され、調度品も充実している。
いや、確かに素晴らしいんだがな。
「家の大きさから考えると、ホールが大半を占めるように感じますけど?」
まさかね?
「そのようじゃな。
まぁ、寝るだけであるゆえ、誰も気にしとらんぞぇ?」
あー、なるほど。
略して、あーなる。
つまり、建屋としての工芸品を造っているに過ぎず、人が住み易いとかは考えてないと?
「もしかして、全部似たような?」
「まぁ、中には人が住み易いように工夫された家も在るのぅ。
ま、そんな家は、既に誰かが住んでおるでなぁ」
ま、そりゃぁ、そうか。
雨露をしのぐならば、居住性を考慮しなくても良いのだろう。
だが、しばらく逗留するならば、コレはダメだ。
「ヤーヤマーサ様」
「なんじゃえ?」
「空き地か、撤去して良い家屋が在る場所って在ります様か?」
そう尋ねたらさ。
「空き地はないのぅ。
そのような場所へは、直ぐに家を建て始めるでな。
不用な建屋かえ?
ふむ、昔に妾へ献上された建屋があったのぅ。
千数百年は経っておるか。
しばらく行っておらなんだが、あの建屋は、どうなっておろうや?」
いや、放置かぁーい!
「その家屋を解体除去している可能性は?」
「妾は、これでも女神として崇められておるのじゃぞ?
そんな妾へ献上した家屋を勝手に解体はせぬハズじゃ。
いや、せぬよな?」
いや、俺に聞かれてもなぁ。
「ヤーヤマーサ様へ献上された家屋と知らなければ、解体するかもしれませんね。
まぁ、周知されているんでしょ?」
いや、なぜ顔を背ける?
若干、顔が青くなり、冷や汗が流れてるような。
ほんと、大丈夫なのかっ!!