良し!反則技を使おう!肉を熟成しちゃうぞ!っと!
しかし熟成が終わるには時間が掛かる。
直ぐには食べれないだろう。
だが、ファーストのオリジナル技法なら、直ぐにでも食べれるようにな。
虚無から創り出された亜空間であるファースト。
虚無の特性も受け継いでいたりする。
これ、かなりの反則技である。
虚無は理外の空間であり、時には囚われない。
ゆえに、時が弄れたりするんだわ。
まぁ、虚無には意識は無いし、それを扱うなど普通はできない。
だが、虚無の特性を宿したファーストなら、その亜空間内へ内包する時を進めたり、巻き戻したり出来る。
実は1番チートだったりするのかも。
まぁ、外部へ干渉することは、できないんだがな。
そんなファーストへ、熟成中の肉を入れれば、あら不思議。
一瞬で熟成された肉へとな。
さっそくアサァーラァさんへ説明し、肉の熟成をば。
説明すると、アサァーラァさんを含む皆が、唖然とした顔にな。
「ヒルデガルデ殿が、呪文のように、藤吾様だから、っと言っておったハズじゃて。
理に外れた行いを、そう気楽に行われてものぅ」
ヤーヤマーサ様が呆れたように、そんなことをな。
いや、だからぁ、ちゃうてっ!
「だから!
僕のぉ」
「はいはい。
亜空間の力なんじゃろ?
じゃがな、藤吾様よ。
何度も申し上げておる訳なんじゃが、力場などの本人に付随する能力は、その者の力。
ゆえに、藤吾様のお力なんじゃよ!
分かられましたで、あられますでしょうかえ?」
か、被せられた、だ、とぉ!
うぬれぇ、やるなっ!女神様!
まぁ、そんなこともあったが、無事に肉の熟成が終わりました。
一部はアサァーラァさんが、普通に熟成するみたいだ。
経過観察したいらしい。
しかし、結界で包み、魔法で造った乳酸菌入り生理食塩水へ浸しての熟成かぁ。
普通とは?
そして、熟成した肉を食べることに。
さて、料理しますかね。
そう思ってたらな。
「師匠!
時を操れるって言ってたけど、巻き戻したりも?」
唐突にアサァーラァさんがね。
「あー
僕自身の魔法では無くて、力場が時を止めたり、亜空間が内部の物を止めたり、進めたり、巻き戻せるよ。
まぁ、動植物みたいな生物は無理だけど、結界内の微生物ならなんとか時間制御可能かな」
それが出来るようになったから、熟成可能になった訳なんです。
実は当初、生物を亜空間へ入れることは出来なかった。
それが、時止めした生物を入れられるようにな。
さらに、亜空間がファーストと言う自我を持ち、なんかハクに対抗意識を燃やして機能拡張を目指したりさ。
まぁ、動植物の大半は無理だが、微生物なら生きた侭でも取り込めるようにね。
むろん、望まない微生物や物質はシャットアウトしてるし、取り込んだ物は全て、ファーストの制御下におかれるがな。
なので、物や微生物ならば、巻き戻しも可能だ。
で、そう告げたらアサァーラァさんがね。
「なら!
この手記!
修復できないですか?
大切な物なんです!」
あー
古のセリアムが綴った手記やね。
うわぁ、見事にボロボロだね。
まぁ、いくら保存の魔法が掛かっていても、太古の品だしなぁ。
そらぁ、経年劣化するだろうね。
「良いよ、貸して」
そう告げて、魔法にて受け取る。
決して触れてはならない。
崩れ去るからなっ!
受け取り、即座に亜空間へと。
ファーストの技能にて巻き戻しを。
欠損箇所は、精霊力を物質化しつつ補っていく。
本来なら大作業なんだろーなぁ。
だが、本来の形へと巻き戻すため、修復作業とも違うか。
だが、全てを巻き戻す訳では無い。
そんなことをすれば、白紙のノートが出来上がるからな。
だから、記載された内容は消さずに復元し、用紙とインクを最上な状態へと。
それを維持定着させれば、出来上がりである。
掛かった時間?
刹那に満ちませんが、なにか?
「終わりましたよ」って、手記をアサァーラァさんへ手渡す。
目が点になり固まっていますが、どったの?




