それって、なんてダークマター?女神様へ、食わせんなやぁっ!
ヤーヤマーサ様が頭を下げると言う異常事態にて、この度のことが遊びではなく、深刻な事態だと、皆は理解できたみたいだ。
まぁ、俺からしても料理ではなく、料理に似せた、なにか。
そう、ダークマター。
科学的にではなく、料理下手が作り出す、物語りなどで語られる、あの暗黒物質。
それって、こんな料理では?
そう思わせる味だと言える。
俺は食わなければ良い。
最悪、精霊力へ変換したら良いしな。
だが、歓待されているヤーヤマーサ様には、逃げ場はないだろう。
歓待として出された料理が、不味いって食わないのは、礼儀的になぁ。
だが、それがダークマターって呼ばれるレベルの味だとしたら?
それは、苦痛以外、なにものでもないだろう。
ハッキリ言う。
それって、拷問だぞ?
まぁ、ヤーヤマーサ様に代わり、そう語って聞かせる。
アサァーラァさんが、気の毒気にヤーヤマーサ様をなぁ。
「そんなにイヤなら、歓待を断れば良いのに」
そう告げるからさ。
「藤吾様も仰っられておられたのじゃが、歓待を断るのは礼儀的にのぅ。
ましてや、相手に悪気はなく、善意での行為じゃて。
そのような者に、料理が不味いから、歓待は要らん、などとは言えぬ。
それは礼を失するだけでのうて、相手を侮辱するに等しいでのぅ」
そう困ったようにな。
「ふーん、面倒なんだぁ。
僕なら食べないけどなぁ。
変なの」
アサァーラァさんって、あまり人付き合いして来なかったのかな?
ん?
典型的なセリアムの考え方?
ヤーヤマーサ様の方が異端らしい。
セリアムは、何もしなくとも存在できる。
何度も言うが、食事および睡眠が不用だ。
せのため衣食住の内、衣類以外は興味を示さない。
その衣服でさえ、素材が有れば魔法で造り出せるし、その素材も辺りを探せば容易く見付かる。
住居は不用だが、欲すればアムズが建てた空き家が辺りへ存在する。
セリアム界では金などはない。
全ての素材が辺りへ転がっているため、素材に不自由しないし、食べ物も容易く手に入る。
そのため、したいことをするだけの生活だ。
したいことをして作った代物は、ただ放置される。
それを誰が持ち去っても、誰も文句を言わない。
つまり、集落を巡れば、大概の物は揃う訳だ。
こんな環境に金など不用だわな。
だからセリアムたちも、欲しい物を容易く手に入れ、空き家へ住み、そして、引き篭もる。
いや、引き篭もるのかよっ!
まぁ、食事不用なら、引き篭もっても存在可能か?
だから人付き合いは滅多にしないため、ヤーヤマーサ様とは違い社交的ではないらしい。
まだ、アサァーラァさんは、社交的だと言えるそうな。
そしてな、ココへ集まった者達の顔色が変わる。
自分たちが提供した料理で、女神様を苦しめたと知ったのだからな。
特にアムズさん達は、セリアムと同じ世界へ住まう者。
だから大半のセリアムが自分たちを、歯牙にも掛けていないことを知っている。
アムズたちを気遣い導くセリアムは少ないのだ。
大体、男神のセリアムは、全員がアムズへ関わらない。
関わり導くのは、女神のみである。
そんな女神であるセリアムへ、礼を失するレベルの料理を提供していたと知れたのだ。
なんとかせねばなるまい。
正直、ここへ集まってアムズさん達は、広場で美味しい物を食べ、その作り方を教えてくれるイベントへ、参加しているつもりだった。
だから、楽しいイベントへの参加ていどにしか思っておらず、真剣には考えていなかっんだよね。
けど、ヤーヤマーサ様が頭を下げたことから事態が一変。
ヤーヤマーサ様の切実な思いが分かったみたいだ。
皆の表情が一変したな。
だけどなぁ。
「一挙に改善するのは無理ですからね。
まずは、今日教えた狩人の注意点を守り狩り、解体してください。
余った肉は持ち帰って構いません。
できたら、それを知り合いに食べさせてみて貰えますか?
いかに、この技術か重要かを理解してくださいね」
まだ入り口へ入ったばかりだからな。
焦っても仕方ないわさ。