俺って実は凄い?え?アレのせいっすか?
『ん?んんんんっ?
これって、ワーちゃんもだけど、ワーちゃん近くに凄い力が蠢いてるよ?
その力が、ワーちゃんに流れてるね。
で、その力が元へ戻るように循環してるみたい。
あ!
だから、ワーちゃんは無事なんだあー』
へっ?
俺の近く?
そんなん・・・転移門しか、ねーじゃねぇかぁっ!
「マジかぁ!
っか、本当、この穴、なんなの?
害は、今のところ無いみたいだけど。
正体不明過ぎるだろっ!」
いや、まぁ、俺を追尾するからなぁ。
離れられないんだが?
「またソナタは、何を騒いでおるのじゃ?
精霊様と、お話ししていたようじゃが?」
そうヒルデガルデさんがね。
『なぁーにぃ、このオバさん?』
いや、フィーさん?
聞こえないから良いけどさ、聞こえたら騒動になるから止めてください。
「コチラはヒルデガルデさんだよ。
この世界で僕が初めて接触した人で、言葉が分かる術を掛けてくれた人でもあるんだ。
アロンさんの状態を確認するように頼んだのも、ヒルデガルデさんなんだ」
『まぁ、そうであるや!
お礼を告げたいのやが、話せぬからのう。
渡部殿から、良しなに伝えて貰えるかや?』
まぁ、ヒルデガルデさんが言わなければ、俺がアロンさんと話そうなど考え無かっただろう。
なにせ、木だからなっ!
そう言う意味でヒルデガルデさんは、アロンさんの恩人だとも言えるからなぁ。
「ヒルデガルデさん」
「なんぞえ?」
「アロンさん。
いや、精霊樹の精霊である、アロンタルトさんから、ヒルデガルデさんへ感謝を伝えて欲しいと言われたんです。
ありがとう、生き延びられた、助かった、とのことですよ」
え?
そんなこと言ってたか?だって?
良いんだよ、分かり易く礼を代わって告げただけさ。
「ほぅ。
精霊様に感謝されるとはのぅ。
嬉しいものじゃて」
うん、喜んでるね。
めでたし、めでたし、ってね。
そんで終わり、っては、ならないもので・・・
『ねぇ、ワーちゃんさぁ。
それだけの力があれば、僕を顕現できそうだよね?
お願いできないかなぁ』
あ、やっぱり?
多分、言われるとは、思ってたんだよね。
だが、断る!
っか、出来るかぁっ!
「それって、無理ですから!
なんか力があるらしいですけど、使い方わからないし。
それに、精霊の顕現って遣り方を知りませんからね!」
俺は魔術師じゃ無ぇ、っうのっ!
「なんじゃ、藤吾は精霊召喚したいのかぇ?」
そうヒルデガルデさんがね。
「いや、精霊は、目の前に居るみたいなので、召喚は不要ですよ。
見えませんけどね。
その精霊様が、ココへ顕現したいと言ってるんですよ」
「ほぅ?
では、精霊召喚をアレンジして、顕現してみてはどうじゃ?
魔術を習得し理解すれば、アレンジ可能であるぞ」
なんか、無茶言い始めましたが、この人。
「僕は魔術を使えませんし、そもそも習得など可能なんです?
それに、魔術を習う対価なんて、僕には払えないですから」
コチラの貨幣なんぞ持ってないし、稼ぐ手段もない。
アチラから物品を持ち込むって方法もあるけど、日本で使えるお金は知れているからなぁ。
養って貰っている身だから、小遣い程度しかないんだよ。
バイトは学校が禁止しているから出来ないしなぁ。
コチラの世界の物を持ち帰って売ったら、何処から持って来たって話しになるからダメ。
海外ならワンチャンありそうだが、情報化社会の昨今、何処でカメラに映るか分からん。
身バレする可能性が皆無でない限り、不用意なことは避けるべきだろう。
そのようなことを、ヒルデガルデさんへ説明したらな。
「魔術は、我が教えよう。
そうじゃのぅ、藤吾。
ソナタ、我の弟子になれ!
あの言語理解の魔本に容易く適合できる者は、この世界では珍しいでな。
通常の魔本なれば、魔術素養があれば誰でも習得可能じゃが、アレは別格ぞ。
それに、あれは戯れで作ったが・・・ソナタなら、ソナタが関わった言語を理解できる魔本を作れるハズじゃ。
その手の魔本は需要が高いでな、値が高くとも良く売れるのじゃ。
魔本の素材は提供するでな、それを売り貢献してくれれば良いぞぇ」
あー、っうことは、俺ってアレか?魔法使いになっちゃう?
30歳童貞がなるヤツ?
俺、まだ17歳なんだけど、まじかぁー




