いやさぁ、浄化魔法を使いこなそうよ、ね?
皆と一緒に唖然としていた彼がさ。
「浄化魔法って、こんな使い方もあったんだなぁ」
そんなことをな。
はて?
「えっとぉ。
普段、アナタ方は、どのように浄化魔法を使っているんです?」
そう聞いたらな。
「ん?
身を清めるためだが?」
当たり前のことを、なぜ聞くって感じでな。
「いやいや。
部屋の清掃とか、ゴミの浄化など、用途は多岐に渡りますよね?」ったらな。
「はぁ?」って。
いや。
「え?」
まさかな。
「身を清めることにしか、使用してない?
まさかね」
したらな。
「いやいや。
浄化魔法ったら、身を清めることにしか使えない魔法って、有名だからな。
っか、それが常識だから!」
変な常識に囚われて、活用していなかったみたいだ。
なんて勿体無い。
「アナタ、さっき服飾系に手を出してる、って言ってませんでしたけ?」ったらさ。
「ああ、言ったぞ。
それと、俺の名は、ペルサラスだからな」
あー
ペルサラスねぇ。
覚えられるかなぁ。
まぁ、俺にはテンさんが付いているから大丈夫だろう。
ん?
以前より記憶力が増していることを忘れてないか?って?
ああ、高校や大学どころか、大学院以上の知識を得たことね。
そうなんだけどさぁ。
昔から初見の人に対して名前を覚えるのが苦手でな。
だから、どうしても、それが心配にね。
まぁ、それは良いとしてだ。
「その服飾で、毛皮を綺麗にしたり、鞣したりしますよね。
アレ、全て浄化で行えますから。
出来上がりが明確にイメージ出来ていたら、その状態に不用な物を神力へ変換し、さらにイメージに近い状態へ物質を近付ける力が有ります。
鞣しは、コラーゲン繊維を安定化さることなんですが、ま、皮の状態を安定化させて革にすると言うことですね。
つまり、汚れの除去や鞣しが不用になる訳です。
作業が簡単になるでしょ?
鞣しなんかしなくても、良くなるんですから」ったらな。
「いや、そんなん、初めて聞くし。
っか、なんで浄化魔法で、そんなん可能なんだ?
訳が分からないんだが?」
まぁ、そだろね。
この浄化魔法が特殊なんだから仕方ないよね。
「この浄化と言う魔法なんですが、実は浄化ではないんですよ。
物を元の状態に保とうとする魔法なんです。
その際に不用な物を除去するから、浄化すると言われています。
これ、理からアカシックレコード情報を得て、浄化対象に不用と判断された物を神力へ変えるんです。
そして、物を適した形へと保とうとします。
その際に、術者のイメージが反映されるため、鞣し終えたイメージにて術を行使すると、アカシックレコードから適切な情報を引き出し、対象を保とうとします。
皮を鞣すのは、革として、状態を保ち劣化を防ぐ目的のためです。
つまり、術の及ぼす保存状態に該当する訳なんですよ。
だから皮を鞣さなくとも、浄化で鞣されますから」
みんな知らなかったみたいだな。
これ、既に身罷った古のセリアムが作り出した術者なんだ。
色々と規格外みたいだったようで、結構な騒動も起こしてたりする。
考え方がダイダラに近く享楽的であり、悪戯好きだったみたいだな。
天才的な発明もしたが、結構な迷惑を掛けたみたいだぞ。
最後は、新たな術の開発に失敗し、術の暴発で消滅したらしい。
いや、消滅は正しいが、死んではない。
別の世界へ飛ばされたみたいだな。
次元災害前の話しで、別世界で生きていたのだが、そちらは次元災害にて消滅している。
その際に、彼も巻き込まれて身罷ったんだと。
その滅んだ世界でも、色々とやらかしていたみたいだぞ。
懲りない人だったんだなぁ。
その話しを皆にすると、あの古の賢者か?ってことに。
太古の話しなのに、話しが伝わっているみたいだ。
どんな人だったんだろうか?
まぁ、浄化魔法の有用性を伝えたので、良しとしよう。




