解体を進めよう。あ、内臓は捨てないでね!
丸洗いすると、寄生していた虫が水球へと。
うわぁ。
実際に見ると、ドン引きやなぁ。
お次は内臓の除去だ。
腹を割り、内臓を取り出すのだかな。
ココで、ひと工夫。
「内臓を結界で覆ってください。
食道とか肛門部分を結界で切除して切り離すイメージで。
そしたら、結界ごと包んだ内臓を引き出します。
そう、そうです。
コレなら内臓を傷付けずに取り出せるでしょ」
この遣り方は、セリアム界の者だからできる遣り方だ。
バハラキ界の者はもちろん、ランピアル界の者でも行えないだろう。
ある種のチートやね。
「あ、後で説明しますが、内臓は捨てないでくださいね。
後は皮を剥ぎ、肉にするんですけど・・・言わなくても良いみたいですね」
水流の刃と結界を使用して、スルスルと皮を剥き、肉を断つ。
アッと言う間に食用可能な肉がな。
本当に、1番手に恵まれたみたいだ。
まぁ、彼は狩りに慣れているから、1番手へ立候補してくれたみたいなんだけどさ。
「それで、この内臓をどうするんだ?
まさか、食べるとは言わないよな?」
そんなん言うからさ。
「当然、食べますよ」ってな。
「い、いや、ウソだろ?
本気か?」
「本気ですよ」ったらな。
「気は確か?」ってさ、失敬な。
「むろん、未処理では食べないですよ。
キチンと下処理すれば食べれるんです!
まぁ、魔法を使わないと、凄く手間なんですけどね」
魔法を使わない場合での内臓を下処理する方法を教えると、みんなドン引きしていた。
「いや、なんで、そこまでして食わんでもさぁ」
そんなん言うからさ。
「むろん、美味いからですよ。
肉食獣は、まず内臓から食べますよね。
アレは美味いからですよ。
さらには栄養も豊富ですから」
そう告げたらな。
「栄養?
なんなんだ、それ?」って。
あー、そっかぁ。
栄養の概念は近世に入る頃からだよね。
科学的に体に良い成分なんて考え方が、こね世界にあるハズがないや。
「それを語ると長くなるので、そうですね、滋養ならどうです?」
「えーっと、体に良い食い物が、健康にしてくれる的な感じだったか?
あってるか?」
「まぁ、そんな感じですね。
ただ、体に悪い物も、大量に含んでいます。
僕の国ではホルモンって呼んでいる部位ですが、この語源は“放る物”です。
つまり、捨てる部位の意味だったんです。
ですが、今では普通に食べられていますからね」
そう告げるとな。
「はぁ、そこまでして食べたい物かねぇ?」
まぁ、そう思うよな。
けどさ。
「僕は、バハラキ界の方々へは、ホルモンの食べ方を教える気は無いんです。
まぁ、希望されるなら、ランピアル界の方々なら教えますけどね。
なにせ下処理が大変ですし、浄化が使えない方が野生の生き物から内臓を得るのは止めた方が良いでしょう。
飼育された環境なら、管理された環境にて育つため、野生の生き物より内臓へ雑菌が混ざってませんから。
飼育された生き物でも正しく処置しないと、美味しくない以前に危険です。
ましてや野生動物だと賭けみたいになりますから」
まぁ、野生動物でも内臓を適切に処理できるなら食べれるだろう。
だが、手間と労力に時間を考えると、そこまでするかは疑問だ。
で、内臓の下処理を。
まぁ、結界内を魔法で出した水で包み隅々まで水洗いだ。
汚物や余分な血、寄生虫や雑菌などなど。
何度も水を替えて行う。
完全に内臓だけとなるが、ここへ浄化魔法を。
体に害となる物は、全て神力へと変わるイメージで。
そんな曖昧なイメージで大丈夫なのか?っと、思うかもしれない。
これは、セリアム界が神力で満たされ、その力にて理やアカシックレコードへ繋がり易くなっているからこそ、可能なんだ。
ランピアル界も辛うじて、これに準ずる。
だが、バハラキ界では無理だな。
だから、セリアム界でしか、お勧めしない訳なんだよ。
で、浄化を終えると、消滅した部位がな。
食用に適さない部位だったんだろう。
「これで内臓も食べられますからね」ったら、行った本人を含め唖然としていたよ。
なんでぇ?




