さぁ、屋台料理だがぁ、甘味の世界へ、ようこそ!
ヤーヤマーサ様の言葉を聞き、数人の若者がな。
男女混ざっているが、女性の方が多いかな?
「そのぉ。
その美味しい物って、甘い物とかも?」
うん、かゃわいい女の子って感じな娘がね。
モジモジしながら告げる姿は、可愛らしい。
女性が甘い物を求めるのは、世の常だよね。
したらな。
「それは、どうであろうか?
妾は甘味をいただいておらぬでのう。
藤吾様や。
甘味もあるのであろうや?」
そうヤーヤマーサ様から尋ねられたのでな。
「色々と有りますよ。
それこそ、無数にです。
そうですねぇ。
広場だし、屋台料理的な甘味を出しましょうか」
そう告げたら、ヤーヤマーサ様が驚いているよ。
どったの?
「そ、そんなに有るのかや!?
いや、流石に無数は、言い過ぎなのでは?」
あー
まぁ、ねぇ。
砂糖を得るのは、本来ならば大変な労力が必要だ。
さらに、その砂糖を得る技術は秘匿されるもの。
俺たちの世界のように、普通に流通することはない。
セリアム界では果物か甘蔓が甘味であり、加工することはない。
たまに女神様たちが、バハラキ界から菓子を貰い受け、アムズたちへ配るていどかな。
まぁ、バハラキ界の果汁も、俺たちの世界からしたら駄菓子未満と言える代物なんだがな。
そんなアナタたちへ、プレゼント・フォー・ユー
テーブルへな、リンゴ飴、チョコバナナ、綿菓子を。
まぁ、屋台料理の一部ではあるが、甘味としては定番だろう。
異論は認める。
皆は、テーブルに現れた菓子に戸惑っている。
ちなみに、穴が空いた台へ棒部分を刺して、立たせています。
本来、綿菓子などは寿命が短い。
こんな感じにしていると萎んで行くだろう。
だが、テンさんの時止め技術は、パねぇんだよっ!
既に芸術的って言えるだろう。
それは、食べる瞬間まで時が止まっており、口へ入れる瞬間に、対象箇所だけが解除される。
そのため、綿菓子を食べても、口周りがベト付くこともないのだっ!
「さぁ、屋台甘味の一部です。
あまり種類を出すのもなんですから、3つに絞りました。
この赤いガラスみたいなのがリンゴ飴です。
リンゴと言う果物を飴でコーティングしてあります。
次がチョコバナナ。
バナナと言う果物へ、チョコレートと言う菓子を掛けた物ですね。
最後が綿菓子。
砂糖を綿みたいにした物です。
さぁ、ご賞味ください」
本来、これだけの品数を作るなら、準備も必要だし時間も掛かる。
労力もバカにならんだろう。
だが、俺は精霊力にて創造しているから一瞬だ。
それを見て真似ても、俺以外には出来ないんだがなっ!
で、皆さん、美味しそうに食べています。
俺も食べるかな。
まずはリンゴ飴から。
うむ。
パリ、パリパリって、飴が砕け、リンゴの部分がカリッと。
飴の甘さとリンゴの酸味がね。
これ、リンゴだけだったら、ちょっと酸っぱいかもしれん。
リンゴ飴って、日本独自の菓子かと思ったら、結構、世界中に存在するみたいだ。
日本のリンゴ飴はアメリカにて発明された物が入って来たと思われる。
負けず嫌いな者が、江戸時代に存在したと言っているが、棒にリンゴを刺した現在の形だとは思えない。
カットしたリンゴや果物を飴でコーティングした物だとしたら、それは別物だ。
さて、江戸時代のリンゴ飴とは?
次はチョコバナナだな。
コレは冷やしてあるのが美味い。
パリっと砕けるチョコの下からバナナが。
チョコとバナナって、結構、相性が良いんだよなぁ。
チョコはミルクチョコより、ちょっとビター寄りか?
その分、バナナが甘い。
大災害後に生まれたとされる品種。
その名もレインボー。
正式には、ミンダナオ・レインボー・プレミアム、らしい。
ある意味、プレミアムマンゴーを超えると言われる、超高級バナナだ。
このネットリと甘く、だがシツコクない甘味と旨味に、ちょいビターなチョコが合う。
変な色は着色されていない普通のチョコなのも良い。
このチョコバナナの発祥は日本らしい。
色々と考えるものだな。
最後は綿菓子か。
コレは和七盆の砂糖を使用してみた。
ご存知の通り、和三盆は3回ほど盆で練り上げ、蜜を排除した品だ。
これを最新の機械で、念入りに練り込み、徹底的に蜜を排除したのが、この和七盆なんだよ。
流石に7回以上は練っても蜜は出なかったらしい。
コレさぁ、練った砂糖を合わせて練るから、最終的に出来る量はかなり減るんだよ。
超高級砂糖なんだ。
庶民が手を出せる代物ではないからね。
で、この砂糖で綿菓子を。
本来なら、クレイジィ?っうヤツだ。
だが、ご安心を。
精霊力で創造するから、労力0で、お代もタダでございます。
うわぁ。
サラリって、ふわさら?
なんじゃぁ、この口当たりと食感。
いや、溶ける?
口に微かな抵抗を残し、涼やかな甘さが広がる。
なんつーパラダイス!
旨し!




