精霊とお話ししようかな?そうしよう。
さっき刺したみたいに、無造作に鉄串を刺そうとしたから、手が痺れたよ。
っかさぁ、鉄串の先端が潰れたんだが?
「あれ?
どうなってんだ?
さっきは、スンナリと貫けたのに???」
俺がビックリして言うと、ヒルデガルデさんが呆れたようにな。
「簡単に魔虫を、鉄串なんぞで貫いた方が驚きじゃて。
鉄や鋼ていどでは、魔虫を貫くなど出来ぬハズなのじゃがのぅ。
最低でも、アマダンタイト、いや、オリハルコンなどの魔法金属でないとのぅ。
ヒヒイロカネとかプラティオンなどが良いと言われておる。
更に、それらを合わせた合金のダマスカスなどが相応しいのぅ。
間違えても、鉄製の武具で魔虫を倒そうなどと考える者など居らぬわえ。
と、言うか、鉄串なんぞで、どうやれば魔虫を倒せるのじゃ?」
そう言われてもなぁ。
「転移門を触った侭で、時間を止めた状態で刺したんですよ。
時間が止まっていたら、鉄串でも刺さるんですかねぇ?」
そう告げたらな。
「全く、無茶苦茶であるな。
ソナタの、その力はズル過ぎぬかえ?」
うーん、確かにチートだと言えるかも。
そんな話しをしていたらな、精霊樹の方から声がね。
『そうなんだぁ。
アロンちゃんて、危なかったんだね。
そうなの?
ふーん。
そこに居る男の子がねぇ?
強そうには、見えないんだけど?』
ココに男は、俺しか居ない。
っう、ことは、俺のことだよな?
強そうに見えない?
そら一般的な男子高校生だからなっ!
ほっとけ!
っか、誰も居ないのに、声だけ聞こえるんですが?
「誰だっ!
姿を現せっ!
っか、強そうに見えなくて、悪かったなっ!
まぁ、実際に強くはないんだけどなっ!」
思わず告げると。
「ソナタは、いきなり何を言っておるのじゃ?」って、ヒルデガルデさんに呆れられたよ。
「いやいや。
精霊樹の方から声がするんですよ。
姿は見えないんですけどね」
そう告げたらな。
「ふーむ。
精霊樹は精霊が宿る木であるからのぅ。
精霊の知り合いでも来ておるのやもな。
精霊樹と親和性が強いとなれば、水精霊か地精霊あたりやも。
まぁ、火精霊以外ならば、現れてもおかしくはないからのぅ」
え?
精霊の声なの?
「それって、本当なんです?」ったらさ。
「我に分かるハズがあるまい。
声が聞こえておるのは、ソナタだけなのじゃからのぅ」っわれたよ。
まぁ、確かに、そうなんだけどさ。
そんな話しをしているとな。
『あははは。
本当に、僕たちの声が聞こえてるんだね』っう声がね。
うん、ヒルデガルデさんが言うように、精霊なのかもな。
『ねぇねぇ、君さぁ。
アロンちゃんが、仲間外れは酷いって言ってるからさ、アロンちゃんとも話してよ』
アロンちゃん?
誰のことだろ?
あ、精霊繋がりと考えたら、樹精霊のこてかな?
そう思った俺は、一応聞いてみる。
「そのアロンちゃんって、樹精霊のことかな?」ってね。
そしたらさ。
『そうそう、アロンちゃんだよ』ってね。
いや、微妙に返答がズレてるけど、多分そうなんだろう。
「分かったよ」
そう告げて、精霊樹の幹へ手を着ける。
したらな。
『ようやく話せるのや。
妾を助けてくりゃり、感謝なのやぁ〜
流石に助からぬと思うておったでな。
お主は、命の恩人なのやぁ〜』
凄い勢いでな。
したらさ。
『ふふ、アロンちゃんたら、おーかし!
木が枯れても、アロンちゃんは精霊界へ戻るだけでしょ。
消滅する訳でもないのにねー』
あ、そなんだ。
『確かにフォートナ殿が告げられるように、そうではあるのやがな。
じゃが、コチラへ顕現するための木など滅多にないであるぞ。
つまり、こちらでは死んだと同じやえ』
へー、精霊って、死んでも自分の世界へ戻るだけなんだね。
「なるほどねぇ。
コチラへ顕現するには媒体が必要なんだね。
でさぁ、フォートナさんって、何の精霊な訳?」
そう聞いたらな。
『僕?
僕は水精霊だよ。
水は辺りに存在するからさ、大概の場所には行けるんだ。
まぁ、地精霊や風精霊ほどじゃないけどね』
へー、そんなもんなんだね。




