ガチムチ髭面オヤジって、無能なのか?違う?姪激甘オヤジ?なにそれ?
ヤーヤマーサ様の言葉に、ピクっと反応するドルマンドルさん。
そしてな。
「おーじぃさぁまぁー!
まぁーたぁ、連絡忘れですかぁ!
いい加減にしてくださいっ!」
あー
これ、激怒ってヤツだね。
このガチムチ髭面脳筋おやじは、きっと連絡忘れの常習犯なんだろう。
そらぁ、怒るわな。
っか、報連相は仕事の基本って聞いたことがあるんだが、大丈夫なのか、この人。
報告、連絡、相談をしないと、マトモに仕事が回らないらしい。
この内の連絡が抜けてんだが、しかも今回の肝になる情報だぞ。
「ヤーヤマーサ様。
この方、大丈夫なので?」
思わずな。
したらな。
「ふむ。
実は結構優秀なのじゃがの。
姪が絡むとポンコツになるのじゃ。
ドルマンドルや」
「はい、いかがなされましたでしょうか?」
「コヤツがソナタの所へ行った時、何か無かったかえ?」
ん?
どう言う意味?
へ?
トートガラムさんがドルマンドルさんの所へ行った時、鍛錬場へ猛獣が入り込んでおり、戦闘となっていた?
鍛錬場へは猛獣を導く仕組みがなされているらしい。
これは、討伐訓練を行うためと、人里へ猛獣が行かぬための処置らしい。
いつ猛獣が現れるか分からない状態での鍛錬。
緊張感を持たせながらの鍛錬となる。
つまり、半実戦式の鍛錬だな。
けどまぁ、入り込む獣は、それほど強くはない。
山奥へ行けば違うが、この辺りではな。
だが、この度は、その山奥の獣が現れたらしい。
とは言え、普段なら、それほど苦戦する相手ではない。
それなりに修練を積んだ者たちが複数人居ればな。
実はトートガラムさんを含め、ベテラン勢が席を外しており、鍛錬場へ居たのは新兵ばかりだったそうな。
死者は居ないが、重傷者が数名な。
ドルマンドルさんは重傷者を庇いながら、なんとか攻撃を凌いでいたらしい。
この猛獣は群れで、5頭現れていた。
3頭を倒していたが、新兵も重傷者を出し追い詰められた状態だったみたいだな。
そこへ現れたのが、トートガラムさん。
軽傷を負い、追い詰められている姪を見て激怒!
即座に獣たちの首を刎ねたらしい。
いや、強くね?
現れた猛獣は、ベテラン勢でも単独ならば苦戦するレベルなんだが?
へ?
ヤーヤマーサ様の従者として動くランピアルが、弱いハズがない?
あーねぇ。
で、頭に血が昇り、重傷者を魔法で治していると、ドルマンドルさんが、トートガラムさんへ、何か用事があったのかをな。
確認されて、ヤーヤマーサ様を待たせていることを思い出し、慌てて戻って来たと。
う〜ん。
この状態なら、仕方ないのか?
しかし、そんな感じで争っていたら、争う音が聞こえそうなんだが?
はい?
鍛錬場へは、防音と視界阻害の結界が張られている?
ただし、住人が住む方向にのみらしい。
鍛錬の音が煩く、鍛錬を子供が真似て怪我をしないように、との配慮らしい。
っか、住民からクレームが入ったらしい。
まぁ、仕方ないか。
俺たちは、イキナリ鍛錬場へ入るのもなんだし、鍛錬場の外側へと来ていたからな。
中で何があったのか分からないわさ。
しかし、鍛錬場へ獣を導くのは危険なのでは?
だが、そうしなければ、住民が住まう方へ現れたか。
ちなみにだが、今回の獣は四つ足だが飛ぶ。
短時間ではあるが、ある程度の高さまで上がれるからな。
ランピアル界では、このように飛ぶ獣が結構居たりするんだ。
だから町を外壁などで囲ったりはしない。
そんなことをしても、獣は壁を飛び越えてしまうからな。
そうなると、外壁は逃げる邪魔にしかならない。
まぁ、ランピアルは飛べるから、外壁が有っても飛んで逃げれるがな。
大人なら。
老人や子供、ましてや赤子などを連れての飛行はできない。
だから退避の邪魔となる外壁はない。
で、代わりに鍛錬場へ獣を誘き出し、それを討伐する形態にな。
鍛錬にもなり、一石二鳥らしいぞ。
たまに、今回みたいな事故が発生するがなっ!




