セリアム界へ酪農や調理技術を持ち込む?なにそれ、面白そうやん!
まぁ、動植物が過ごし易い環境になっているのは、ヤーヤマーサ様が儀式で精霊力をセリアム界へ導いているためだったりする。
セリアムって、ブッチャケ神力さえ有れば生きて行けるからな。
食事に排泄や睡眠は不用。
寿命も、ほぼ無い感じだ。
そのためか、子供は滅多に生まれない。
ここ数千年は、産まれてないハズだ。
魔法も極めてしまい、セリアムたちにしたいことはない。
大半は何時も暇している状態だ。
そんな中で、下々を導き育てる者がな。
どのように育つかが、楽しいらしい。
うん、育成ゲームやね。
リアル育成ゲームって、笑えないんっすが?
「まぁ、セリアム界なら農業も容易く行えるでしょうね」
俺の世界と、この世界の全農民がブチ切れるようなことを告げたが、事実だから仕方ない。
そもそも農業とは、食料になる植物を育て収穫する作業のことだ。
そのため、収穫量を増やしたり、病気や災害にて収穫量が下がらないように、様々な取り組みをしている。
これは、そのような努力をしないと、収穫する量を確保できないからだ。
だが、何もせずとも、その作業をしたよりも収穫が望めるとしたら?
実はセリアム界は、神力で満たされており、その神力にて精霊力が向上したりする。
ただ元々は充ち満ちる神力のため、精霊力が薄い世界だったんだがな。
そこへヤーヤマーサ様のようなセリアムが、この世界から精霊力を導いて増やしているんだわ。
そうなると、増えた精霊力が神力にて効果を増し、動作植物の補助を。
農業や酪農などを行わずとも、簡単に食料を得られる世界になってしまっている訳だ。
コレはセリアムのためではなく、セリアムが下々と呼ぶアムズたちのためだ。
アムズたちは、セリアムが育成ゲームみたいに育て導いる種族である。
セリアムの指導の元、全員が読み書き計算ができる。
また、自由に学べる環境があるが学校ではない。
行けば、誰かが知りたいことを教えてくれる場であり、学ばないのも自由である。
だが魔法社会であり、皆が普通に使っているため、学びに行かないアムズは居ない。
また学ばなくとも、日々新たな建築を模索して建てられる住居は余っており、町外へ行けば食べれる植物が、そこら辺に生えているため飢えることはない。
このような環境であるため、酪農などは行われず未発達だ。
合わせて、料理技術も壊滅的だと言える。
代わりでは無いが、建築や服飾、工作や美術に音楽が発展している。
魔法を駆使して、住居や衣服に家具などを造り出し、移動も魔法だ。
雨風は魔法障壁で防ぎ、大量の物資を障壁で包み浮かばせ運ぶ。
そう、物流も魔法で簡単に行っている訳だ。
個人的に障壁ごと中に浮き移動できるため、乗り物などない。
インテリアや家具を設置した空間を魔法障壁で囲み、その空間を浮かせて移動する者も居るため、それを乗り物と呼んで良いなら、存在するのかもしれない。
高いビルなどは皆無であり、電子機器などは無い。
紙は魔法紙が存在し、念写にて念じた内容を魔法紙へ記録している。
コレは魔法にて複製可能であるため、書籍は普通に流通しているな。
やりたいことだけ、自由に行い、実にのんびりと過ごしている。
実に羨ましい世界だ。
そんな充ち満ちた生活のため、穏やかな性格の者が大半だ。
人を支配する者は居ないため、朴訥な者ばかりである。
まぁ、セリアムの支配下とは、言えるのだが。
セリアムは、アムズたちを育てるのを娯楽にしているため、支配する感じではない。
このため、政治経済は未発達であり貨幣などもない。
皆が造りたい物を造り、それを皆が自由に使う文化だからだ。
しかも繁殖力は低く人口も少ないため、大概のアムズは知り合いだ。
寿命も数千年規模となるため、知識量も半端では無かったりする。
こんな世界へ酪農や調理の文化を持ち込む?
なに、それ。
面白そうやんね!




