言語理解魔術の検証?なんか怪しくね?
ヒルデガルデさんから、言語理解の魔術で分かったことがあれば、教えて欲しいとの話しがあった訳だが。
「1つ、分かったことがあります」
「なんじゃえ?
ソナタの世界で知らぬ言葉が分かったとかや?」
まぁ、それもあるけどさ。
「言語理解だから、他国の文字も、話している意味も分かりましたよ」
「なぬ?
もう検証したのかえ?」
驚いてるな。
「先程、説明した通信技術サービスの1つ、インターネット経由で調べたんです。
まぁ、それよりもです。
動物、小鳥と猫の言葉が分かりましたよ。
凄いですね、この魔術」ったらな。
「まて、まて、まてぇいっ!
動物の言葉がかや?
いや、動物は、意味のある言葉を発せられるのかや?
聞いたこともないぞえ!?」
え?
どゆこと?
「はぁ!?
そう言う効果を付けたんじゃないんですかぁ!?
色々な機能を付けたって、言っていたじゃ無いですか!」
「それはそうなのじゃがの。
相互思念とか、理解力向上などでな。
後は、それ系とは解るが、効果が、いまいち解らぬ術式も組み込んだのぅ
じゃが、まさか動物と話せるようになるなど、考えてもみなんだわえ」
いやいやいや、怪しげな術式を組み込んでんじゃねぇっ!
「そんな、怪しげな魔本を使ったんですかぁっ!」
「怪しげとは心外じゃ!
基礎となる術式がメインとなって発動するゆえ、言語理解に対する効果しか発動せんわい!
それにじゃな、ソナタへ不都合な効果が発動しとらんであろうが!」
ま、まぁ、確かに。
「しかし、そうと解れば、他にも確認せねばのぅ。
無理とは思うが、植物と話せるかとか試してみるのじゃ」
いや、流石に、それは無理じゃね?
「まぁ、物は試しじゃ。
ちと、外へ出て、アソコの木の意思が感じられるか試してみてくれぬかや?
どうも最近、元気がないようでのぅ。
気になっておるのじゃ」
いや、元気がないって、分かるのか?
「なんで、木が元気でない、って分かるんです?」
気になって聞いてみたよ。
したらな。
「シルファーナ人は森の民ゆえな、木々に慣れ親しんで育つのじゃよ。
ゆえに樹木の状態には敏感でのぅ。
そこの木の状態が、最近芳しくないことには気付いておったのじゃ。
一応は調べたのじゃが、いかんせん我は魔術師であって樹木医ではないでな。
祖国には樹木医が居るが、そのために呼び寄せる訳にものぅ。
この地方には樹木を労わる習慣などないゆえ、当然樹木医などおらぬでな。
もし藤吾が樹木と意思疎通可能なら、原因が分かるのではないか、とのぅ」
う〜ん、なかなかの無茶振りやね。
「試しても良いですが、全ての木に対しては無理ですよ」
窓から見える範囲だけでも、結構な本数が見えるからな。
「それは大丈夫じゃ。
樹木に優劣は付けぬが、精霊樹となれば別じゃて。
精霊が宿る木など、この国では珍しいでな。
我も祖国以外で見たのは、3度目じゃからのぅ。
ここへ庵を築いたのも、この精霊樹があったからじゃてな」
せ、精霊樹?
ファンタジーだなぁー
まぁ、エルフみたいなシルファーナ族の、ヒルデガルデさん自体がファンタジーだけどさ。
「分かりました。
試すだけ試してみますよ」
そう言う話しになり、俺たちは庵から出ることに。
っかさぁ、庵ってヒルデガルデさんは言うけど、明らかに館だよね。
俺が住んでる借家よりも、規模がデカいんですが?
まぁ、良いとこのお嬢様なんだろーからさ、ヒルデガルデさんにとっては庵なんだろう。
セレブめ!
で、そんな館から出て、ヒルデガルデさんの案内にて件の木へと。
うーん。
コレが精霊樹?
普通の木との変わりが、分からんのだが?
「この木じゃ。
どうじゃ?
神々しいであろうが!」
いや、そんなこと言われても、ねぇ。
「そ、そうですね。
凄いなぁー」
棒読みになるのは仕方ないだろ!
まさか自信満々に自慢げなヒルデガルデさんへ、分からんとは言えんわさ。




