ちょっとしたイタズラなんです
「そうそう。
初めてって話しなら、この飲み物も試してみませんか?
ただ、ちょっと刺激的な味なので、無理には進めませんが」
そう告げた後、1本を開けて自分で飲む。
ゴキュ、ゴキュ、ゴキュってな。
くぅ、喉を通る炭酸の刺激が堪らん!
俺が美味そうに飲むのを見たヒルデガルデさんの目が釘付けに。
「なんじゃ、ナンじゃ、その品はっ!
我も飲んでみたいのじゃ!
我にも飲ませて欲しいのじゃ!」
ふっ、掛かったな。
「どうぞ。
ただ初めて飲む方は、ゆっくり飲んだ方が良いです。
むせますから」
そう告げて、キャップを捻り開けてから渡す。
「ほぅ、そうなのかや?
しかし、そのようにして開けるのじゃのぅ。
さて、ソナタの真似をして、飲んでみるわぇ」
そう告げたヒルデガルデさんが、ペットボトルへ口を付けて一口を。
「な、な、なん、なんじゃ、なんなのじゃ、これは!
パチパチなのじゃ!
不思議なのじゃ。
じゃが・・・爽やか?なのじゃ!
美味い?不思議?なんなのじゃぁぁぁっ!」
うん、一口飲んだだけで、良いリアクションだね。
「結構な刺激でしょ?
無理そうなら、飲まなくても・・・」
「何を言う!
飲む!我は飲むぞぇ!」
あ、ムキになって飲まなくてもさぁ。
ほら、むせた。
「だから、一気に飲むと、むせるったじゃないですか」
慌てたメイドさんが、ヒルデガルデさんをタオル?で拭いている。
っか、布切れか?
肌触りは悪そうだな、アレ。
確か、リュックへタオル入ってたよな。
まぁ、百均の安物だけどな。
「失礼とは思いますが、コチラの方が肌触り良さそうなので、お使いになっては?」って、渡してみた。
それにメイドさんが一瞬ムッとしたんだが、渡したタオルを見て態度が変わったよ。
「なんと肌触り良さそうな生地なのでしょう。
お嬢様。
コチラを、お使いしても?」
「お嬢様呼びは止めよと、申しておろうが。
しかし、これほどの上質な生地を、このようなことに使用して良いのかぇ?」
そう尋ねられたから、一応。
「ええ、安物のタオルですから、気にせず使ってください」ってな。
って、お嬢様呼びには突っ込まないぞ!
突っ込みそうになったがな!
渡したタオルで顔を拭かれているヒルデガルデさんがな。
「この肌触りは極上じゃぞ?
これが安物なのかえ?」
信じられないて顔で見られたよ。
衣食住の加工は、全て機械にてオートメーション化されている。
生産から加工までな。
だから人が工程に入らない分、非常に安くなっているんだ。
まぁ、そのため、農家や牧場で作られる食料や、漁師が取る魚は高級品。
セレブ用だな。
野菜や穀物に果物はビルの中で管理され、オートメーション化されたAI管理システムにて作られている。
家畜や魚なども同様にな?
安定供給可能になった食材は、庶民の食卓へと。
だが、画一化された育て方にて育てられた食材は、天然物には劣るらしい。
まぁ、天然物なんざぁ、食べたこと無いがな。
そして衣類も同様だ。
植物性なら素材から生地作成に縫製まで、全てがオートメーション化されている。
だから安い訳だ。
建物だって工場で部屋を造り、現地へ持って行って組み立てる仕組みだな。
大工が造る家なんざぁ、セレブじゃないと住めないさ。
そんな仕組みを、軽く説明する。
それでも、結構な時間がさぁ。
疲れたよ、パト○ッシュ。
いや、死なんよ?
炭酸オレンジジュースとココ○ッツサブレを堪能したヒルデガルデさんが言う。
「馳走になった。
して、これらの対価は?」ってね。
ちなみに、他のお茶はメイドさんが飲んでいます。
「いやいや、要りませんて。
対価になるかは分かりませんが、言語理解の魔術に対する礼ですよ」ったらな。
「なんと律儀な。
じゃが、アレは魔本の実験もかねておるでな。
ソナタが気にすることでは無いぞえ。
出来れば、どのような効果が出たか、教えて貰えたら助かるのじゃがな」って返されたよ。
まぁ、そう言うことなら、納得しておきますかねぇ。




