色々と披露してみましたが、なにか?
「これは、どう言う仕組みなのじゃぇ?」
そう告げながら、ヒルデガルデさんが手を伸ばして来る。
俺は手を動かして、それを避けた訳で・・・
「なんで避けるのじゃ。
触らせてくれても良かろうに?」
そうは言われてもなぁ。
「コレは結構高価な品なんですよ。
個人情報も入っていますしね。
万が一壊れでもしたら親から大目玉ですから、勘弁してくださいよ」
このタイプのデバイスは、200年前くらいから存在する。
デバイスの型としては古いタイプだ。
昔に比べて軽くて薄くなっており、さらに頑丈だ。
まぁセレブな上流階級の方々が使うデバイスに比べたら、遥かに劣るがな。
アチラはアクセタイプ。
情報を映し出すウインドウを宙へ複数投写するタイプだ。
しかも、自分だけが見れるウインドウと、他人が見れるウインドウを指定できる。
欲しいんだよなぁ、アレ。
高過ぎて、庶民には手が出せないんだがな。
最新機種は、脳内へ情報をリンクさせるタイプが出て来ている。
この技術で、大昔からの物語り定番である、没入型のバーチャルリアリティゲーム、通称VRが可能に。
人の思念をゲーム内へ繋げ、別世界へ行ったような経験が可能なゲームがな。
物語りは、物語りでは無くなった訳だ。
セレブに限りだがな。
高過ぎて、一般庶民には手が出せんわっ!
ヤリテェーなあ、VRMMORPG。
なまじテレビで宣伝するから、余計になぁ。
くそっ!
まぁ、話しが逸れた。
このスマフォはセレブが使うデバイスよりは安い。
安いが、庶民にとっては高価な品だ。
だからさぁ。
「そのオルゴールより優れた品があると示しただけです。
コチラは私個人の貴重品なんで、勘弁してください」
まだ手が伸びて来るから、流石にね。
「むぅ、仕方ないのぅ」
そう、しぶしぶと告げ、手を下げてくれた。
そのタイミングでスマフォを仕舞い、替わりにリュックからお茶と菓子を。
そう、ペットボトルのお茶だな。
菓子は、ココ○ッツサブレだ。
「代わりと言ってはなんですが、コチラを提供しますから勘弁してくださいよ。
まぁ、飲ませていただいた、お茶には劣りますし、クッキーも市販品ですけどね。
アチラで庶民が気楽に手に入れられる品です。
試してみませんか?」
そう告げて渡すと、怪訝な顔をされた。
はて?
「透明な瓶に液体が入っておるが、ガラスでは無いのぅ?
コチラは紅茶みたいじゃが、なぜ濁っておる?
緑色の液体は、なんじゃ?
しかも冷えておるが?
コチラの長細い箱?みたいなのは?
テラテラとした表面?む?
もしや、包装なのかぇ?」
あー、ビニール包装もペットボトルも分からんか。
そりゃそうだわな。
「濁っているのは、紅茶にミルクが入っているからですよ。
そちらの包装は、開け方が分かりませんよね。
開けますよ、貸してください」
渡した品を返して貰い、ココ○ッツサブレの包装を剥がす。
プラスチックトレイに並べられたクッキーが現れた訳でな。
「なっ!
全て同じ形じゃとぉ!
どんな職人が作っておるのじゃ!」
あ、コチラは全て手作りなのかな?
まぁ、当然か。
工場で機械的に作られる既製品など、コチラの世界にはないよなぁ?
だが、そこら辺を告げると、また説明パートに陥る訳で・・・
「まぁ、まぁ。
まずは1つ食べてみてくださいよ」ってね。
ん?
誤魔化した?
そら誤魔化すわさ。
説明パートなんざぁ、真っ平ごめんですからね。
「むぅ?
まぁ、食べてみようわえ」
そう告げたヒルデガルデさんは、サブレを1枚手に取り口へと。
「むむっ!
なんぞ、この味はっ!
初めて食す味ぞっ!
美味・・・実に美味じゃっ!」
どうやら、お気に召したみたいだな。
て、待てよ?
ちょっと、イタズラ心がなぁ。
俺はリュックから、オレンジサイダーを取り出す。
炭酸って工業的に作らないと、作るのは難しいって聞いたことがある。
ならば当然、飲んだこと、無いハズだ。
飲ませた後のリアクション、興味ないか?
俺は興味あるぞっ!っとね。




