エンシェントドラゴン様を説得しよう。堅物め!
俺が頼むとな。
「だから先程も申した通り、邪竜が絡んでおるからな。
それに、邪竜の意思が封じられた依代を引き渡す必要があるが、どのように依代へ封じたかの説明がな。
ヒューマンごときに、このような真似ができるハズがないが、何かしらの情報は得てるのであろう?
なにやら、帝国やダイダラの関与を仄めかしたそうではないか。
依代の方は確認したが、確かに造られし存在であった。
それへ竜の精神が封じられておるかは、我には分からぬ。
ゆえに聖竜様へ、お伺いを立てねばならぬでな。
その際に、お主の関与を告げねば、辻褄が合わぬのだよ」
あーねぇ。
そらぁ、仕方ないのか?
ならさぁ。
「それでは、報告はセムラナート様へお願いします。
間違っても、パーファラーサ様へは、行わないでくださいね」
そう告げたらな、エルダードラゴンのカヌランダーさんがさ。
「そんなことを指定せずとも、我らが長はセムラナート様ぞ?
パーファラーサ様へ報告するハズが無かろう?」ってね。
したらな。
「いや、最近はパーファラーサ様からの命にて、報告はパーファラーサ様経由にて行っておるぞ」
そう告げるもんだからさ、カヌランダーさんが唖然とね。
「仕方あるまい。
竜族からの命には、背けんよ」
まぁ、地力も違い過ぎるから、仕方ないのかもしれないな。
だがなぁ。
「それ、セムラナート様へ報告が上がっていませんから。
それに、パーファラーサ様って、結構お喋りなんですよ。
キリガンタル様が上げた情報、結構流布されてますよ?
まぁ、その情報がセムラナート様へ流れていますが・・・正直、面白く思っておられないのでは?」
えーっとぉ、ドラゴンって爬虫類だよね?
変温生物だと思うんだけど、ドラゴンなのに顔から血の気が引いたのが分かるのは、なぜなんだ?
「それは、まことか?」
そう聞くからさ。
「キリガンタル様は、理については知っておられますよね?」
「まぁ、エンシェントドラゴン種ならば、大概の者は知っておる。
エンシェントドラゴンが魔術でなく魔法を使えるのは、理を知っておるからだ」
そうなんだよね。
エルダー種以降は、魔術しか使えない。
ちなみにブレスもドラゴン用の魔術です。
前方へ魔術陣を展開し、それへ体内魔力を放出することで放っています。
口の前に魔術陣を展開するのは、脳や目などの器官に近いからだってさ。
で、な。
「それでは、世界全てを統べる理の知識は、どのようになっているのか、知っています?」
まぁ、知らない、ってことを、分かっていて言ってるんだが。
「い、いや?
単に消えるのでは、ないなか?」
まぁ、そう考えるよな。
実は記憶ってぇのは、消えない。
記憶喪失の場合も、記憶は消えて無いんだ。
それを思い出すルートが切れたに過ぎないからな。
では、ドコヘ保管されているのか?
実はアカシックレコードだったりする。
アソコは情報の保管庫って言えば、聞こえが良い。
だが実際は、情報捨て場だな。
ただ生き物は記憶との紐付きを持っており、その紐付きからアカシックレコードから情報を引き出しているんだ。
転移門が俺へ憑依した原因も、実はココにある。
アカシックレコードは、理と密接な関係にあるんだ。
つまり、記憶を持つ生物で、かつ、知的生命体は、アカシックレコードへ、知らぬ内に繋がっていたりする。
その繋がりから、理へ接続するため、俺へ憑依したって訳だな。
転移門的には、別に俺でなくても良かった訳だ。
単に、転移門が接続し易い場所へ、俺が居たに過ぎない。
だから、別時空、いや、別の時間、そうだな、過去や未来を含め、誰に憑依するか分からない訳だ。
まぁ、ダンジョン騒ぎが発生しているように、俺が生活している時空が、定着し易かったみたいだが。
でも、過去に神隠しや、行方不明になった事例の幾つかは、この事象が原因らしいがな。
さて、これを踏まえての説明は、骨が折れそうだ。
まぁ、頑張りますか。




