さて、昼食を食べるかぁ。ん?トブのは、デフォルトで!
おかしいなぁ。
精霊力で、物が創れるって言ったハズなんだが?
「金属製品などしか、創れぬのでは?」
そんなことをな。
んー
もしかして、ベッドを創ったとしか言ってない?
目の前で、朝食創って食べたんだが?
え?
ヒルデガルデさんは、朝食をアチラから持って来たと思ってる?
マジかぁー
なら、食い物も創れることは知らないのかぁ。
「あー
あのですね。
大概の物は、精霊力で創れますからね」
「最早、無茶苦茶じゃの。
うん、藤吾じゃ、藤吾」
いや、その納得の仕方は、どうなのよ?
「兎に角、食べましょう。
精霊様方も来られましたし」
俺が召喚したり、顕現したりしたからな。
俺を起点に転移できるんだとさ。
で、皆が席へ着いたんだがな。
「ねぇ、ワーちゃん?」
ん?
「フォーさん、どうしました?」
「これ、肉を焼いたり、野菜を焼いただけだよね?
生の野菜を食べるの?
アソコで食べたヤツだと、コレじゃ食べれないんだけど?」
不満そうだね。
「いや、素材の違いが際立つように、ワザとシンプルにしているんです。
まぁ、食べてください。
多分、トビますから」
まぁ、冷蔵の魔術で、精霊力が宿り過ぎて惚けてたんだ。
コレ、精霊力から創り出したんだぞ?
言わんとしていること、分かるよね?
まぁ、先に、俺から食べるか。
肉は後だな。
先ずはサラダから。
うん、普通に美味い。
ドレッシングが絶品やね。
しかも、ドレッシングに漬けてから引き上げているみたいだ。
そう、野菜にドレスを纏わせるが如しってな。
ドレッシングを掛ける遣り方だと、野菜にドレッシングが付いてなく不満な場合がな。
だが、この遣り方なら、満遍なくドレッシングが付いている。
だから、そんな不満はない。
ドレッシングの油は植物由来で、さらに体温以下で溶ける。
しかも体内吸収され難いタイプだから、摂取しても吸収されずに体外へな。
つまり、この油で作ったドレッシングを使っても太らない訳だ。
うーん。
ドレッシングもだが、野菜のパリパリ、シャリシャリが楽しい。
エグ味もなく、仄かに甘い。
賽の目に切られたトマトとパプリカ、クルトンが、良いアクセントを。
このサラダは、正解だな。
次は、いよいよ肉だ。
先ずは牛肉から。
シャトーブリアンのステーキは、初めてなんだが。
ん?
柔らかい?
スッとナイフが入ったな。
切り分けて口へ。
ほぅ。
ヒレだけに、脂は薄いか。
その代わり、肉らしい歯応えと旨味がな。
日本人の脂身信仰とは、違った路線だろう。
脂ぎった牛ステーキとは、全く違う。
噛むと噛むだけ、旨味がな。
こりゃぁ、美味い!
えっとぉ。
シャトーブリアンで、これよ?
え?
じゃぁ、ドラゴンステーキは、どうなんだ?
転移門が推しに推すから、採用したんだが。
切って、口に・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
ハッ!
あ!
意識がトンだ!
え?
なに?コレ?
美味い、って、レベルじゃねぇぞ!
口の中が旨味で蹂躙?
いや、そんなレベルじゃねぇ!
身体が旨味に溺れるレベルだ。
っか、知らん内に、肉を食い切っているんだが?
いや、美味かった記憶はある。
その余韻も。
多福感がハンパないんだが、思い出してはならない。
思い出した途端に、旨味を思い出してトブからな!
付け合わせの野菜が、旨みに溶け込む。
これが、また、美味い!
あー
幸せだなぁ。
このステーキ、俺が再現しないと食べれない品だ。
何せ、次元ごと滅んだ世界の肉であり、調理技術だからな。
でも麻薬では無いが、味の虜になってしまいそうだ。
一度食べたら、依存率が高そうだな、コレ。
ん?
フォーさん?
文句言ってたのに、早速トンでますねぇ。
っか、ヒルデガルデさんを筆頭にに、精霊様たちもだな。
オーデットさんと使用人さん達は、皆が食べる姿を見て羨ましそうにしている。
まぁ、雇われ人だから、主人と客が食べた後、自分で用意して食べるのが普通だ。
だから、コレ、食べられないのよねぇ。
まぁ、ドンマイ!




